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【ショートショート】エネルギーの未来
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
彼はエネルギー研究所のエース研究者。
新たな太陽光発電技術を開発し、世界中で称賛された。
しかし、その胸の内には個人的な野心が隠されていた。
ある日、政府の高官が彼を訪ねてきた。
「君の技術は素晴らしい。しかし、これが普及すれば石油業界が壊滅する。そこで提案がある。この技術を公表せず、我々と協力しないか?」
高官の言葉に一瞬迷ったが、巨額の報酬に目を奪われた彼は、その提案を受け入れた。
数年後、彼の生活は一変した。
豪華な邸宅、高級車、贅沢な食事に囲まれる日々。
しかし、外の世界では地球温暖化が進行し、異常気象が頻発していた。
彼の技術が封印されたまま、エネルギー危機は悪化の一途を辿っていた。
ある日、彼の娘が尋ねた。
「パパ、どうしてこんなに暑いの?」
その問いに彼は答えられなかった。
高官の笑顔と、自分が世界を裏切った瞬間が蘇ったからだ。
エネルギーの未来を変えるはずだった彼の技術は、今や彼自身の心の重荷となり、後悔と罪悪感に苛まれる日々。
彼は、自分の選択がどれだけ多くの人々を苦しめたのかを知り、胸の内で深く後悔するしかなかった。
「パパ、これからどうなるの?」
彼はただ娘を抱きしめ、何も言わずに空を見上げるしかなかった。
彼の選択が世界を変えたその重さを、彼は一生背負うことになるだろう。
そして、娘が寝静まった後、彼は冷房の効いた部屋で冷えたシャンパンを飲み干した。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。
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