囚人番号6(高嶋規之)
シリーズ第一弾。【1】の前書きにある様に本作は、10数年前に某SNSで発表し好評を得た読み物をベ―スにした読み物です。押川春浪の原作、東宝特撮版、OVA版を主軸に、様々な東宝映画からキャラクターを流用させて貰っています。東宝特撮は無論のこと、冒険活劇、時空SFがお好きな人向けになっております。
死闘の大洋編【1】■祖国への帰還 空母「A・リンカーン」率いる叛乱艦隊との戦いに勝利はしたものの、轟天号も無傷ではなかった。ドリル突撃はむろんのこと、なにより島で受けた空襲による傷が思った以上に大きく、ドックに入渠しての修理と調整が必要だった。 報告を国防総省経由で知った大統領は米海軍のドックと資材、必要とされる人員の提供を申し出るが神宮司はこれを固辞する。 深海帝国の本格的侵攻が始まった今は、とにかく“組織”からの指示を受けるためにも日本へ帰還しなければならない、と
謀叛海域編【3】■計画再始動 時は経ち昭和27年――。 大戦終結から七年、深海帝国は世界の各国政経軍各所の要人やこれはと狙い定めた人物を、ある時は富を餌に籠絡しある時はクローンと入れ替えていった。 これを察知した“組織”は桔梗率いる秘密戦グループを用い、様々な手段を使ってその陰謀を叩き潰すべく活動を続けていた。有名な下山国鉄総裁事件も、桔梗たちの仕業だった。 一方、天才工学士・丘見丈児博士をリーダーとするプロジェクトチームが深海帝国に対抗する超兵器の設計――X計画に
謀叛海域編【2】 ■世界人口調節審議会 都内某所。黒澤をはじめとする、戦後日本を裏から牛耳ってきた老人たちが集まっていた。楠見が何者かに誘拐されそうになったことを知った彼らは、世界人口調節審議会が“敵”の手先に違いないと判断、いよいよ戦いの時が近づいてきたと口々に囁く。 「勝てるかな、我々は?」 「さてなぁ。事が露見すれば安保反対どころの騒ぎではなくなることは間違いない。敵を前にして国内世論を統一できるかどうか、それが問題だ」 「ふむ。池田くんで大丈夫かな」 「なぁに、信
『ザ・ムーン』作・ジョージ秋山 週刊少年サンデー、1970年発表 「神は死んだ!」 この漫画は、政界に大きな影響力を持つと推測される大富豪、魔魔男爵の言葉からはじまる。 「この世の悪を見よ!! 悪がはびこり悪の天下だ!! 神の死んだ証拠だ!!」 「神は死んだのだ!!」 「わたしは偉大なる発明をした!! 正義を発明した!!」 彼は米国の宇宙研究費と同額の二兆五千億円(当時)を用い、巨大ロボット ザ・ムーンを建造した。 「力がなければすべてが無意味だ!! 力がなけれ
前書き 本作は小説とプロットの中間層に位置する、喩えるならばゴジラのような作品であり、かつてMixiで公開し好評を得た過去を持つ。 当時交友関係のあった大艦巨砲漫画家飯島祐輔氏が気に入り「僕がイラストを描くから絵物語風にしよう」とまで言ってくれた。 家が近いこともあり打ち合わせを重ねたが、氏の急逝により絵物語化は頓挫してしまった。 その後、仮想戦記を出していた版元の編集氏が飲み会で「変わった企画が欲しい」と零していたので、本企画を売り込もうとしたが古典小説&有名な特
空想(こういうヤツが見たかった)特撮シリーズ 第2回 ベロクロン逆襲<1> 二次元でもなければ三次元でもない、どこか次元の狭間。 そこは筆洗い様の容器に赤や青、様々な色をぶち込み描き回している様な、不安定且つ奇妙な空間だった。 そこは少なくとも人間の住める様な場所ではないだろう。真っ当な感覚を持つ人間なら、その奇妙な混濁とした色をした異様な空に、いや、地面に、空間そのものに耐えられないはずだ。 だが、この空間を住まいとする者たちがいた。 その名はヤプール。 こ
空想(こういうヤツが見たかった)特撮シリーズ 第一回 絶望の焔と閃光の巨人 それはMATが再建されてから20年近く経った、陽の光が強い四月のことだった。広島県福山市に巨大な生物が出現した。 数少ない生存者によると、地底などから現れたのではなく、突然、目の前の景色が歪み、気持ち悪くなり、それが収まってみると怪獣の姿があったという。 MATが各地に設置した通称怪獣観測計、地底や空に異常に大きな波動を感知する装置も、その怪獣――後に超獣と呼ばれる巨大生物の存在を観測してい
空想(こういうヤツが見たかった)特撮シリーズ 第0回プレヒストリア2 <MAT誕生譚> 天変地異とそれに続く、世界規模での怪獣の出現頻発。 TDF建制以前なら「怪獣退治の専門家」の二つ名で呼ばれた科特隊の出番だったが、彼らが本来の特異事件を解決する国際間警察という役割に立ち戻ってから、時が経ち過ぎていた。 前回も記したように、各国支部の規模は縮小され、対怪獣用重火器の類いはすべて封印、支部によっては廃棄されていたのだ。これでは怪獣退治など不可能である。 そこで
空想(こういうヤツが見たかった)特撮シリーズ 第0回プレヒストリア <MAT再建せよ> 20XX年春に起きたバット星人事変により、MAT-J(“J”は日本をを意味する符牒。劇中で使用された)本部は壊滅状態に陥った。さらに郷秀樹という、実働部隊としては初の戦死者をも出した。 銀色の巨人ウルトラマンとの連携で、バット星人と宇宙恐竜ゼットンの撃破には成功したものの、それは郷隊員の犠牲と引き換えの勝利だったのだ。 バット星人事変以後、原因は不明だが異星人による侵略事件は激減
昨夜『快傑ライオン丸』の第1話を観てたら、出来が良くてついついスペクトルマン・・・じゃなかった、成川哲夫がゲスト出演する第3話まで一気してしまった。 やはりこの作品、特撮時代劇としては群を抜いて出来が良い。先ず展開にダルさがない。第1話はそれこそジェットコースターの様な展開で、戦国乱世とい時代背景を簡潔に描くと、返す刀で魔王ゴースンが主人公たちに差し向けて放った刺客との戦闘。 苦戦の末にそしていよいよ待ちに待った獅子変化。 ヒーローに変身する青年、それを援けるヒロイン