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ウィリアム征服王(ギヨーム)

世界史の「この人、気になる!」13
オヤジブログ怪気炎 vol.176

イギリスに伝わると伝説の王と言えば、アーサー王の物語を思い浮かべる人も多いでしょう。未だに実在が証明されていないのですが、ある程度言えそうなことはアーサー王はサクソン人に対して戦ったケルト人側の王だということです。では現在のイングランド王室は、誰から始まるのか。そこに関わるのがノルマン人です。
バルト海沿岸に住んでいたノルマン人が、現在のフランス北西部に移動してきてできた国がノルマンディー公国。それだけではない。イタリアに移動してシチリアに国をつくり、さらには十字軍に加わって現在のシリアにアンティオキア国を建てている。
今回の主人公は、ウィリアム1世。本人はフランス語的に自称していたのでギヨームと呼ぶべきかもしれない。ノルマンディー公の庶子として生を受けた彼は、ノルマンディー公を引き継ぐと共に、譲り受けた形で隣国イングランドの王にもなる(1066年)。前王の義兄ハロルド2世とイングランドの王権を巡る争いが起こるが、これに勝利してイングランド国内を統一する。これ以降イングランドは他国からの侵入を許したことがなくウィリアム1世を始祖とするノルマン朝が、今日まで続くイギリス王家のスタートとなるのです。
ノルマンディー公はフランス王の配下(地方の殿様)であるので、ビミョウな関係に感じますが、まだ国境という概念が曖昧でイングランド側が今のフランス国内に広大な領地を所有していても、両国内に領土がまたがっていても違和感がなかったのでしょう。イギリスとフランスの国境が明確に意識されるのは、ジャンヌ・ダルクの活躍が有名な百年戦争まで待たなければなりませんでした。

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