サッカースパイクとカンガルーレザー
先日、ネット上の記事で、少し驚くような記事を目にした。
サッカースパイクの大手企業であるナイキとプーマが、将来のサッカースパイク作りにおいて、カンガルーレザーの使用をやめるという。
わたしと同世代又は上の世代の方からすると驚きのニュースではないだろうか。
約20~30年前、高級なサッカースパイクといえば、必ずといっていいほど、アッパーは“カンガルーレザー”だった。皮が柔らかく、履き込むほどに足に馴染む素材で、高額なスパイクで必ず使われる素材だった。
アシックスのインジェクター2002、プーマのパラメヒコ、アディダスのコパムンディアルなどがその代表例となる。
当時の価格は15000円~16000円ぐらいで、憧れのスパイクだった。
当時の高級スパイクは、自分の足にジャストサイズまたは少し小さめを購入し、使いながら自分の足に馴染ませていく、そんなスパイクだった。
使い込むほど自分の足に馴染み、唯一の自分専用のスパイクを作っていく、そんな育てる感覚があった。
近年では、サッカースパイクのアッパー素材として、人工皮革が主流となった。それに伴い、デザイン・カラーリングも多様化し、軽量化も進んだ。
耐久性についても格段に向上した。
昔の人工皮革と比べ、現代の人工皮革は、様々な加工を施すことで、プレーに様々な効果を生み出すことが出来るようになった。
ボールに回転をかけやすくなる、ボールが吸い付くなど様々な効果をプレイヤー自身で選択することができる。
品質の向上と共に価格も上昇し、販売価格が20000円以上する人工皮革のスパイクが多く店頭に並んでいる。
今後もサッカースパイクの主流を担っていくのは人工皮革かもしれない。
その一方で、フィット感や足馴染の良さを求めるプレイヤーからは、カンガルーレザーのスパイクを求める意見も多くある。ミズノのモレリアシリーズでは在庫が品薄になる店舗があるなど、変わらずの人気を誇っている。
動物愛護や環境への配慮がトレンドとなる現代において、今回のナイキ・プーマの動きに対して他のメーカーがどのような動きをとるのか注目している。この流れを汲んで、新たな画期的なスパイクが開発されるかもしれない。
わたしは先述したアシックスのインジェクター2002やプーマのパラメヒコのようなスパイクが、現代の技術で復活することを願っている。