自己啓発本の落とし穴〜悪い思考に陥るわけ / デール・カーネギーの欠点〜
悩みの多い世の中でどうしたらいいか分からない。頑張って生きてきたのになぜ不幸なんだ?という人はたくさん居る。宗教に救いを求める人も居れば病んで病院へ通う人も居る。
根が真面目な悩み人は本を読んで勉強すれば物事の対処法が分かって人生が良い方向へ変わるのではと思う。そこで自己啓発本の出番ですよ。
本屋へ行くと自己啓発本が山ほど売っている。定番の物や新刊、ほぼタレント本みたいなのもある。ハウツーやQ&Aが豊富なのを気に入り買って帰る。
読んでみると参考になる。相手の身になって行動するとうまく行くんだな。明日から実践しよう。
押し売りにならない親切を心がけるというちょっとしたことを行うだけで効果が数日であらわれた。周囲の人達との距離が縮まり接しやすくなった。これは自己啓発本読んで良かった私は生まれ変わった!
「生まれ変わった私」に対する周囲の態度が目に見えて変わった。なんだか頼られてる。今までに無かった感覚だ。皆の為に出来る限り期待に応えよう。はい、雲行きが怪しくなってきましたね。私は皆にとってただの便利な人になっていたのだ!
本人薄々気付いているが認めたくない状況で悶々としだす。ある日あきらかにそいつがやる仕事を人にやらせようとしてきたのでもうこんなの終わりだ。なんでもかんでも人がやると思ってんじゃねえ!と叫び書類を撒き散らす。何日か前に人生生まれ変わったと充実してた人がこの有り様。
自己啓発本なんか読まなければこんなことにならなかったのに。
どういった心理の変化があってこうなるか。
対人関係に悩みがある
↓
自己啓発本を読む
↓
本の通りに人に気を使うようにする
↓
結局周りに振り回される
↓
こっちは本まで読んで周りに気を使って生活してんのにお前らときたら人のことないがしろにして好き勝手しやがって
↓
やりきれない、バカバカしい、不公平だ
↓
私もお前らみたいに好き勝手やるからな
↓
過激な行動
あなたのまわりの人も含めて一斉に後述するデール・カーネギーの自己啓発本などを読んでいればガラッと環境が変わるなんてこともあるだろうがそんなことはまずない。企業向けにセミナーを行う会社なんてのも山程あるけどね。本を読んで人間関係の知恵を付けたのは私だけ。そんな事も露知らず普段通り人に対して無神経な人達。本に書いてあるこういうことを人に対してしてはいけないという例のような事をずっとされ続ける。
なんて不幸な。悩みの元が自分の考え方にあるから直さないとと思い込んでしまっている。でも日常で起きてる対人関係の悩みの原因が100%自分だなんてことはどっちも人なんだからありえない。
相手の気持ちや状況を考えない人、この例では仕事を押し付けるヤツが悪いのであってそんなヤツの気持ちを汲んであげる必要なんてサラサラ無い。
鬱陶しいヤツの黙らせ方という本がこの世にあるか分からないがナメられない方法を学んだ方がよっぽどいい。
「あなたが生活態度を改めれば悩みの原因となっている相手が変わります」
この図式がほとんどの自己啓発本に極意であるかのように書かれてるが本当にそうか考えてみない?
これってものすごく都合が良すぎて非現実的。悩みの原因になっている人が他人に対し思いやりが無い事が原因でそれはその人の性格が悪いから。
あなたが日常の話し方を小手先のテクニックで変えたくらいで性格悪い人が悔い改めると思うのがおこがましい考えだ。
このありえない未来に期待したら更なる現実が待ち受けていて絶望を味わうことになる。
「性格悪い人が性格悪いのは元々性格悪いから。原因はあなたでは無い」
というあたりまえな事を書いても本は売れない。悩んでいる人に対してお前が原因だお前が罪深いから不幸なんだ悔い改めよというのは悪質な宗教がずっと使ってきた手法だ。脅して縋り付けさせてカンタンに洗脳出来る。騙されないしっかりした自我を持とうな。
ここで書いた例の人は最終的にブチ切れてしまったから社内での評価が落ちる。一回怒鳴るくらいならまだしも周囲を信用出来なくなって態度が荒々しくなり、ビックリするような罵詈雑言のメールを全員に送って出社しなくなったとかね。不幸だ。
私の場合は仕事を押し付けてこようとした人が近付いてきて内容を全部説明されてから、この書類とこの書類は業者からなかなか出てこないから急いだ方がイイですね。この書類は検討会の日から逆算してかなり納期キツいから頑張って下さいね。と満面の笑みで突き放してやったよ。
近ごろ自暴自棄になってついに犯罪までする人をジョーカーと呼ぶ。その人達が何でそこまでヤケになったかは知らないけど、もがき苦しんだ人がどうにでもなれとなった時は恐ろしい。やけのやんぱちな割に細々準備も出来てたりする。
さて、自己啓発本についての注意点だ。
今売っている自己啓発本の内容は9割9分デール・カーネギーのインスパイア、亜流、パクリだ。
定番中の定番、カーネギーの3部作。
・道は開ける
・人を動かす
・カーネギー話し方入門
あまりにも近代人の悩みと解決法に希望を与えた内容でベストセラーになった。良かったので、これを読んで事例を現代日本の自分の経験に置き換えて書き直したら本出せるんじゃね?的なのが山ほど溢れている。コンビニでもタイトルばっかり目を引く薄い自己啓発本が雑誌の横に置いてあるよね。
私はパクりを手にするくらいなら元の方がいいと常々思っている。ジェネリックは避けたい。僕たち音楽のルーツはリズムアンドブルースなんだと言うバンドがいたら、ほなお前らがイイと思ってるその元のリズムアンドブルース聴くわと思う。
故に、つまらないパチモンを買って10分で読み終えるならカーネギーでいいんじゃね?
ただし、デール・カーネギーの本が万能ではないことを始めに分かっておいた方が身のため。
「ケンカは同じレベルの者同士でないと発生しない」という有名な掟がある。これはケンカであっても和解であってもね。住む世界や価値観、民度が違うと対話にならないんだから。
ニューヨークのスラム街でドラム缶を囲んでいる暴力やドラッグに明け暮れている無法者にあなたが近付いて「やあ、今夜も冷えるね。犯罪は良くないからやめてみないか?」なんて言っても会話が成立しない。財布出しなイイ時計してるじゃないかと身ぐるみ剥がされるのがオチ。
同じく、日本で悪さしている外国人に「日本の生活は大変だろう言葉は覚えたかい?クルマや銅線盗むのやめてみないか?」なんて言ってやめるか?
実はカーネギーの本はこういった事例が多くてさすがにそれはないなと。問題は読者が真に受けて誰でも話せば分かるんだ!と感銘を受けてしまうこと。
モラルが低い者に対して悪いことやめろなんて言ったらやり返される。これの想像が出来なくて自分が親身になったら改めてくれるかも?なんて発想がおこがましい。何様だよってね。
自分にとって不利益なこと迷惑な事を相手がしている→頭ごなしに抗議する→反感買って聞いてくれない→相手を気付かう一言+お願い→聞いてくれた!
このパターンが何回も繰り返し出て来て読んでいると真に受けてしまう。現実はどうかな?
交渉、駆け引きの世界だから現実はシビア。敵からこっちを気付かう態度なんて見せられたらどう思われる?
相手はこっちを気付かっている→自分よりこっちの事考えているのか→じゃあお望み通りこっちのしたいようにやらせてもらうね! で終わる。人って何でも自分に都合よく解釈する生き物だから。相手を気付かえばこっちの意見が通る?寝言は寝て言えレベルがベストセラー。
長年この本が売られているアメリカの人がこの実は現実的ではない対処法に意味が無いこと気付いていない事は無い。
バック・トゥ・ザ・フューチャー パート1のノベライズは映画に無いシーンがたくさん書いてある。 イケてないマーティの父が自己啓発本を読んで生まれ変わったと勘違いして本の通りにイジメっ子のビフと接したら普段通りイジメられたというヒドいエピソードがある。陰キャが本読んで付け焼き刃で態度変えたって所詮陰キャだと作者がバカにしている。
じゃあ自己啓発本が全く無意味なのかと言うとそんな事は無い。
「人を悩ませている側」のモラルが低くて社会的地位が低く世間に認められず所得が低い、なんとか人並みになりたいという人におすすめする。
世間一般の人間はこうやって意思疎通をトラブルなくこなしているのかと分かる。だが運好くモラル無しDQNから人並みになれたとしても今度は人並みに悩みが出てくるんだよねえ。
これは大きな声では言えないが真実を書くとDQNになるのが悩みからの解放の極意なのだ。人の迷惑をかえりみずにゴミやタバコを撒き散らして子供を公共の場で大暴れさせて爆音のクルマに乗る。人に対する悩みなんてあるわけがない。
これを分かっていても実際にDQNになり下がるのは難しい。そこで、平日は人並みにおとなしく暮らしていて週末はジャージ着てバカ家族総出でDQNになり精神のバランスを保っている人も居る。とても賢い人だ。
そろそろまとめないと。
まずあなたが人生変えたいとしてたかだか本一冊ですべてが良くなるなんて虫のイイ話は無い。
もし変わったとしても急激な変化はぶり返しが来る。ヤケを起こしたら負け。
本屋で売ってる自己啓発本の9割はゴミ。
一番イイとされてる自己啓発本でも非現実的。
自己啓発本なんて話半分で都市伝説みたいなもんだと思って読まないとダメよ…。自己啓発本に頼ったらいけないというセミナー開こうかな。