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Photo by
エドガー・ドガ / メトロポリタン美術館
輝く喪失
[何かがおかしい]
頭のはげかたを研究する事に失敗する。
それは不毛な体験だろう。
これは今後の話にかかわりがない事をことわっておく。
なにかがありそうで何もないのだから「はげ」それは。
はかない風が今すぎていく。
ブロウイング。
老いた肖像。
黒き面影
つりびとのはげを魚がみつけた時、時刻は正午だった。こなをふいたような太陽からの白い光に、ゆれる毛のおもかげ。だがそこに毛はない。それがいっそういとしくさせる育毛剤。日がかげり頭皮はひからなくなる。愛の深さと同じように。楽器の音もきこえない黒の沈黙。
毛の退却,ベージュがあらわれるとは思いもよらなかった。
肌は今、黒髪を席巻しゆく。頭皮の存在感を主張しては、ウィッグをほしいままにする時、驚愕の真実は、毛穴と同時に、あらわれる。悲願の瞬間、薄毛は、新事実に、リニューアルされた。男性ホルモンの過多と愛情の渦巻く展開に生き馬の目をぬく。髪は取り戻せるのか。それとも?
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