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黒という色について

黒。黒という色は、どういうイメージをもたらすだろう?
静謐。無。知的?艶やか。高貴。無敵?

黒という色を、私は「とにかく美しい色」と教えられて育った。
実際にそう言われたわけではないけれど、幼い頃服飾品を選ぶ際に迷うと、黒にしなさい、と言われた。
そこには、「何にでも合わせやすい」とか「無難」とかを超えて、「美しいから」という言葉が透明に上乗せされていた。

小学生にして黒信仰の厚かった私は、同級生に「暗い服を着ている」と率直な意見をぶつけられてもへこたれなかった。黒の美しさがわからないのか、とふんぞりかえっていた(えらそう)。

何を選ぶにも黒が基準だった私は、少し前に一世風靡(セピア)したパーソナルカラー診断に遭遇する。
自己診断ではあるものの、「黒が似合う」タイプではないことが判明した。
私のワードローブ全否定か?と思った。

けれども。
コートの試着の際「こちらの方がお似合いになると思います」と淡いピンクのコートを差し出された。
珍しく白地に花柄のスカートを履いていたときに、かわいいねと褒められた。
そんな記憶たちがくるくると蘇り、あら、本当に黒が似合わないのか、と気づいた。
そりゃ「暗い」と言われる。


それでも、「黒は似合う色ではない」とわかっても、私は黒が好きだ。

私の大好きな宇多田ヒカルの曲、「COLORS」に「黒い服は 死者に祈る時にだけ着るの」とある。
私は死者に祈る時以外にも、似合う色でなくても、黒を着る。
長年連れ添った馴染みのある色であるし、黒の美しさにやはり魅せられているから。


パーソナルカラー、ちょっと結構気にしているのは内緒である(誰に?)。

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