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お茶の時間の幸福

家族が、ルピシアの「ルピシア ブック オブ ティー 100」を買ってきた。
ある日突然に。
大きい本のような外装のそれが、リビングのテーブルにどんと置いてあった。

「何で買ったの?」と訊くと、
「何かよいと思ったから」と返る。
いつものことである。
「どうして?」には「何か」「何となく」が高確率で返ってくる。
無類の本好きである家族が「ブックオブ」の箇所に興味を持ったことは推測できる。
しかし、「よしこれを買おう」と思うまでに何を考えたのか、それは教えてもらえなかった。いつもの通り。

そもそも、ルピシアの店舗で「ブックオブ」の文字を見つけるには、ルピシアの店舗に行かなければならない。
そこまで紅茶(あるいはお茶、あるいはルピシア)が好きだとは知らなかった。私がチャイを作るために大量購入するリプトンでは、家族の好奇心とその他の何かは満足できなかったらしい。

さて、我が家において多大なインパクトを放ち、燦然と輝く「ブックオブティー」は、夕食後に保管棚からダイニングテーブルに持ち込まれる。
中に入ったあらゆるお茶の説明書を読みながら、「これだ」というものを選び、淹れる。
家族が揃う時には「どれ選んだ?」「これにする」「それ私狙ってた」と会話が弾む。家族が揃わないときにはひっそりと、一人で、心はうきうきと。

食後のお茶の時間、というのは今までも曖昧に存在していた。
けれどもそれは曖昧なもので、開催されるかされないかわからないし、飲むのは常時飲んでいる緑茶などであり、特別感はない。

それが、「ブックオブティー」の到来により、クリスマスプレゼントの交換会のような、わくわくとしたお茶の時間が毎日発生している。すごいことである。
尚、食後のおやつを食べすぎる(なにせ別腹だ)ことも、このお茶の時間によってなくなった。これもすごい。

我が家に浮き立った楽しい時間とおやつ食べすぎ防止をもたらした「ブックオブティー」は、なにしろ「100」なので、中身はまだたくさんある。
おいしいお茶を飲む時間はよいものだと知った。多分これがなくなったら、また食後のためにお茶を買うのだと思う。

素晴らしい時間を提供してくれたルピシアのお茶たちと、それを「何となく」買ってきてくれた家族に感謝したい。

お茶の時間、ぜひ設けてみてください。

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