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前回、相続人の中に認知症の人がいる場合について触れました。
https://note.com/lucky_borage26/n/na85d26bca554
家族が認知症になってしまうと、遺産分割協議に限らず、様々な不具合が生じてしまい、それにより、思いがけない問題が発生することがあります。
 
今回は、相続コンサルタントから見て、家族が認知症になるとどういう問題が生じるのか、それに対し、どう対処したら良いかなどについて、お話をさせていただきます。
 
先ずは、認知症になり、判断能力が無くなると出来なくなってしまうことを、いくつか列記します。
 
1.不動産の売買・賃貸・修繕などの契約行為が出来なくなる
→ 資産凍結状態となってしまうおそれがある
 
2.預貯金からまとまったお金がおろせない
→ 銀行窓口での預金引出しが出来なくなり、事実上の口座凍結状態になってしまう
 
3.有価証券の解約などが出来ない
→ 売りたいタイミングで売れない
 
4.遺産分割協議が出来ない
→ 遺産分割協議に参加出来ないため、相続手続きが進まなくなってしまう
 
5.相続対策が出来ない
→生前贈与、遺言書作成、養子縁組などが出来なくなるため、相続対策をしないまま相続に突入し、莫大な相続税がかかったり、揉めごとが勃発するおそれも。

我が国では、近年の超高齢化社会により、来年2025年には高齢者(65歳以上)の5人に1人が認知症になると言われています。
この数字は、症状が軽い人も含めての数ですので、判断能力が完全に失われている人ばかりではありませんし、
また、高齢者になったからといって、すぐに認知症になるわけでもありません。
 
しかし、人によっては進行が早く、
「最近、親の物忘れが激しくて」という話を伺ってから、半年もしないうちに、認知症が悪化した例も過去にはありました。
 
認知症の人に代わって財産管理や法律行為を行うには、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうほかはありません。
※【成年後見人】については前回参照
https://note.com/lucky_borage26/n/na85d26bca554
 
成年後見人は、必要な契約や手続きなどを本人に代わってするだけでなく、詐欺被害から本人を守ってくれたり、家族などが本人の預貯金などを使い込まないよう、財産を守ってくれるというメリットはあるものの、前回お話したようなデメリットも伴います。
 
家族が後見人になりたいというご希望もけっこうありますが、裁判所が家族を後見人として選任した例は、全体の20%に満たないというのが現実です。
 
どうしても後見人になりたいという場合には、任意後見制度を活用すれば良いでしょう。
※【任意後見制度とは】
本人が十分な判断能力があるうちに、あらかじめ自分が選んだ代理人(任意後見人)に財産管理などを任せることを公正証書で契約しておくものである。
 
しかしながら、家族に後見人になってもらうことはできますが、裁判所が選任した任意後見監督人により、監督は受けることにはなりますので、ご注意ください。
 
近年では、成年後見制度を活用したくないために、民事信託(家族信託)を組成する方が増えてきております。
『民事信託』とは、例えば父親が、判断能力があるうちに自分の財産の管理・運用を、信頼できる子供などに委託するという方法です。
裁判所に監督されることがありませんので、成年後見や任意後見と比べると財産管理や処分、承継などに対する自由度が高いと言えるでしょう。
 
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