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家族信託の組成には時間がかかる!?

家族信託については、過去何度かの投稿で、あらゆる視点からお伝えし、その中でも、家族信託を活用するのであれば、早い段階で進めたほうが良いとお話をしています。
 
その主な理由として、
 
委託者の健康面:委託者(親や配偶者等)が元気なうちに手続きを進めることで、急に認知症が悪化して手続きができなくなるリスクを回避できる。
 
将来の不安やトラブルを解消:家族信託は認知症対策のみならず、相続対策や財産管理の手段として有効です。早めに手続きを進めることで、将来的な不安やトラブルを回避できる。
 
家族に安心感が得られる:家族全員が納得できる内容を定めることで、今後の財産管理や相続に対し明確な対策を示すことができ、家族全員に安心感が得られる。
 
家族全員が満足できる組成内容:家族信託の組成には高度な法律知識が必要です。また将来を見据え、あらゆる可能性を想定したうえで作り込む必要があり、家族全員が納得できるものにするには、それ相応の時間がかかる。早めに専門家に相談し、余裕をもって進めることにより、家族全員が満足できる信託が完成する。
 
などが挙げられます。
 
その中でも特に、委託者が意思能力のあるうちに進めなければならないという点については、例外なく、非常に現実的な話です。
 
しかしながら、実際は親の物忘れなど、認知機能の低下が気になり始めてから相談に来られる方が殆どです。
公証役場で公正証書を作成する際に、委託者の認知症が進んでいたなんてことも過去にはありましたので、出来るだけ早めにご相談に来ていただけることを望みます。
 
では、家族信託の組成にはどのくらい日数がかかるのでしょうか。
 
一概には言えませんが、だいたい3ヶ月~6ヶ月かかります。
その流れは、以下になります。
 
① 関係者(委託者、受託者など)から意向を伺うなど、信託契約内容の詳細の打ち合わせ
② ドラフトを作成し、関係者に確認(数回行うこともある)
③ ②に並行して、信託口口座を開設してくれる金融機関を選定
④ 信託契約内容がほぼ定まってきたら、上記金融機関での事前審査
⑤ 公証役場との調整
⑥ 信託契約内容の確定
⑦ 信託公正証書(公証役場)の作成
⑧ 信託口口座開設(金融機関)
⑨ 信託不動産については、信託を登記原因とした所有権移転登記
   (委託者⇒受託者)及び信託登記(信託契約の内容を登録する登記)

家族信託を組むには、複雑な手続きや法的な書類作成を正確に行ったり、また、家族全員の同意や信託に含む財産の価値の評価などにも時間を要します。
しかし、次のような要因があると、更に日数が延びてしまい、思いの外、信託組成を長引かせる場合があります。 
❶ 関係者間での意向(信託契約内容)が定まらない
❷ 信託口口座を開設してくれる金融機関が見つからない
❸ 信託財産の中に、株式など有価証券が含まれている
※家族信託に対応してくれる証券会社を選定、事前審査が必要
※実際は、家族信託に対応してくれる金融機関、証券会社は少ない
❹ 信託不動産に金融機関等の担保(抵当権、根抵当権等)が付いている
 
❶に関しては、受託者(第二受託者を含む)が決まらず、信託組成がそこで止まってしまうことも稀にあったりします。
受託者は、委託者の財産を管理する必要があるので、やはり信頼できる人でないといけません。
にも関わらず、該当する受託者が決まらないという問題点、また第一受託者までは決まったとしても、第二受託者に該当する人がいないということも一例として挙げられます。
受託者が決まらないという問題は、意外と組成が進まないパターンの一つです。
 
特に、❹の場合には、抵当権者(根抵当権者)である金融機関等に承諾を得なければなりません。抵当権者(根抵当権者)が信託口口座を開設できない金融機関の場合、交渉に時間がかかり、場合によっては協力が得られないこともあり得ます。実際に、過去に1年くらいかかった事例もありました。そのような時には、借り換えも視野に入れて進めたりもしますので、組成期間もその分、かかってしまいます。
 
このように組成が進まない間に、親の病気や認知機能の低下などが進んでしまい、思いのほか時間がかかってしまったり、最悪、家族信託が組めなくなることもありますので注意が必要です。
 
ぜひ、家族信託組成のご相談は、余裕をもってお願いします。
また、家族信託や遺言に興味のある方、活用を検討されている方も、お早めにご相談ください。
 
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