チェインフェリス-幸せの再定義#11
設立して11年目になってあることが起きた。メディアが伸び悩んだのだ。
会社の売上は引き続き高いが、毎年更新していた企業成長率が120%以上だったものが昨年は105%で、今年は100%となりそうだった。
メディアのPVランキングも5位に下がっていた。
メディアが何か悪いわけではなく、炎上が起きることもなくなってきたが何かマンネリ化していた。
目新しいものがなくなり、記事自体のPVが伸び悩んでいた。
事業責任者と役員会議を行い問題解決策を話し合った。
「現在PV数が伸び悩んでいます。記事も新規で作成したのですが
なかなか伸びません。何か解決策を考えましょう」
「PV数がどのようなタイミングで伸びたか分析してくれないか」
「はい、分析した結果『中部豪雨』が起きたタイミングで伸びてます。
これは世の中が不安に感じたタイミングで幸福を欲することによって
伸びている状況です」
「なるほど、、偶発的なことか」
「あとは取材した芸能人がスキャンダルなどが起こしたタイミングで、
取材した記事を多くの人が見ております。
その記事をみることで『この芸能人は悪いことをしているだけじゃない』という風に思うことができるというコメントが多いです」
「うーん、、、これも偶発的だな」
鈴木が
「新規で芸能人などのではなく、地方の有名人などの
『幸せの瞬間』などを取材するのはどうだろうか」
雄大が
「それだと母数が少ないと思う。インパクトが小さいんじゃないか」
他役員・事業責任者は
「いや、東京に住んでいる人も地方出身の人間は多い。
地元愛が強いところから攻めていけば、PV数は増えていくと思う。
やってみる価値はあるかと」
結局鈴木の案が採用されて地方向けの記事を掲載するようになった。
しかし、PV数はそこまで増えず継続して伸び悩んだ。
また、雄大が幹部や事業責任者に不信感を抱くようになった。
自分のチェインフェリスが奪われてしまうのではないかという、不安も感じるようになった。
やはりPV数を革新的にV字回復させることが重要。
過去の分析から、『不安や不幸』が事業の拡大に大きな影響をしている。
しかし、偶発的のなので安定しない。そこで思いついたのが
「不安や不幸を起こせばよいのではないか
自分でその不幸を作り出すことができれば幸せを欲する。
辛いものを食べれば、甘いものを食べる
愛がなければ、愛を欲する
不幸があれば、幸福を欲する。
悪を作り出す。組織を作る。」
不幸を作ることを目的とする組織を考えて、チェインフェリスとは別会社を設立することを決めた。
「名前はアンチェインフェリスだ。」
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