未来
140字で、リズムよく、生と未来を綴ります。 詩人の中原中也が好きです。
志した夢の道に、釘を刺され、 私の魂に傷がついた その責任を、私以外の誰がとってくれるというのか。 これから先の生きる意志に、水をかけたあのひとは、 私を振り返りもしないだろう。 散歩の途中で私に冷水をかけただけなのだ、遊びであった… さあ、私は強くなる、燃え盛る魂を宿しなさい
貴方は本を、破られたことがありますか 私はきっと、破られてしまったことに涙を流したのではございません、 彼人が本を私のものだとわかっていて、 少なからず悪意を持って心を壊しに来たことが、 とてつもなく恐ろしかったのでございます。 それがまた、悲しかったのでございます。
子供の声が花火を灯す 写真を撮っているみたいだと声をかける 私も嘗て持っていたのだ、その無邪気さを。 私たちも嘗て声を出したのだ、思いのままに 目に映る全てが新鮮であったあの時代に 時々後ろ髪を引かれてしまうけれど 忘れてしまう、その無邪気さを。 どうか繋ぎ止めていたい
続けていたことが ぷつりと切れてしまうこと 音もなく糸は行き場が無くなる 我慢ならないのです 彼の人は正義を盾にしただけで あんなにまで心を壊されてしまったこと 我慢ならないのです それだけで心が壊れることも、 それだけで傷をつけんとするその根性も 私は怒っている、怒っている!
光が、差した。 僕の言葉を喉で止めるかの如く、 光が、刺した。 貴方の涙を太陽に移すかの如く、 それで私は、泣いた。 言葉が喉に詰まって出てこなくなってしまった。 それで貴方は、笑った。 嗚呼待ってくれ、待ってください。 そんなふうに、別れを笑わないでください。 お願いです。
飛行機雲は赤子が引っ張ったクレヨンのやう ひょろひょろと頼りない線は 大人の掛け声で一筋の光となる よたよたと歩く稚児も ぴょんと飛び跳ねた 一筋の光もいつかまた寄り道をする その時もまた、 せぇの、! 掛け声を思い出して
おばあさん、貴方は突然私が立ち上がったと思うでしょうが そうではないのです、そうではないのです。 そこには幾分かの遠慮と、数多の踏みとどまった一歩がありました。 あゝけれどね、それでも貴方を傷つけようとする心は、 なかったのでございます。 誠です、私は方法を誤ったのです。
背中を占領した妖精 母の肩越しの挨拶は 視線を合わせるだけ 摺り寄せ擦りあって 三日月は笑う 妖精のような貴方もきっと、 今の私のようにゴミ袋を持つようになるのよ まっさらで綺麗な貴方もきっと、 今の私のように夢を持っているの 笑え、笑え、カラコロと音を鳴らして 肩に頭を乗せて
鋭い瞳にほんの少しの臆病さを秘めて怒る貴方を どうして愛しめないことがあろうか 私は愛した 本当の心を映すガラス越しに愛した その鋭い瞳にバレないよう、メガネをかけて 精一杯に愛した 人を傷つけんとする言葉は、貴方の瞳に溜まって、 いつか零れてしまいそうだ ハンカチは用意しとくよ
酔いのまわった大人と話すことは好きだ 矜持やら立場やら 諸々を脱ぎ捨てた、果てしなく子供に近づいた大人と話すことが好きだ 暗い話も流れに沿って流れてゆく 愉快な話も弾んでゆく 矢張り、年の違う人とは話すべきなのだろう 時代の差を埋めていくのだ それを多様性と呼ぶのならば。
人をみくびってはいけないのだ 人を一度でも蔑めば、その思考はなかなか拭えない いじめっ子のあいつも、いじめられっ子のあいつも、 互いに貶し合っているけれど 真の価値を計りかねているけれど 人をみくびってはならぬのだ あいつが将来大きくなった時 負けた気がしちまうだろう?
自分で選んだ道くらいは、笑ってみせたかったが そうもいかない世の中らしい 人のせいにできるのなら、文句も言わず飲み込める 人のせいにできぬから、自分に嫌気が差しちまう 人のためならば、いくらだって役に立つ 己のためだから、手を離しちまう 手を放せちまう
しゃっくりを止めるように悲しみを飲み込んで 声が出ないようにマスクを押さえ込んでいる 私は少し寂しいのだ しゃっくりを止められない私をみて笑う 貴方がいないことが。 この上なく、寂しい
自由に生きていいよと言われなければ、自由でいられない 鳥籠の中で石を投げられるのを恐れる人間は、果たして自由だろうか さめざめと泣くような風が、ふわふわと髪を揺らす 特別ではない、己をそれでも託したくはない 愛しめるさ、だって私は16だもの この体ごと、慈しめるさ
強く生きなければならなかった者と 弱くても生きられるようになった若者 柔くて脆いが選べる者と 堅くて濃いが選べぬ者よ 安心するな!邁進せよ、 後ろを見よ、前を見よ! 互いに尊敬し、そして互いに生きてゆこう? そして真に強くあれ そして真に弱くあれ
独りぼっちで生きたものに 一人じゃないと伝えることがどれだけむつかしいか 隣にいようにも逃げちまう 声をかけようにも怯えちまう そんな奴に、どうやって伝えりゃいいものか 猫、おまえも大変だ どの手が柔いか、どの手があったけぇか、 見分けのつかない愚かな猫よ 全部人間のせいなのよ