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フロムソフトウェアについて1
※かなりコアな趣味の内容です。
生まれてこの方、己の力で出来ないことに我慢できない私は、無論、無宗教である。
ただ、強いて、と言われれば二つある。
『葉隠』と『フロム』である。
前者は『無駄だ。私はもう死んでいる。』で書いてある。
一般的な武士道と比較する。
一般的に知られている武士道は「死の覚悟」であるのに対して、『葉隠』は「武士道とは死ぬ事と見付けたり」と謳っているいるその内容は、
「死の覚悟ではなく、死人として生きること」である。
毎朝起きる前に頭の中で鮮明に死んでおく。そして死人として目を覚まし、生きていく。死人であるのだから、何事もこわいものはなく、動じるものではない。というもの。
主題ではないので、説明はここまで。
で、今回の主題の『フロム』とは、ゲーム会社のフロムソフトウェアのこと。
この会社のゲームは、もはやゲームの枠を超えている。
後々説明するが、ストーリーの作り方が、そこらの小説など比べ物にならない壮大さと緻密さがある。しかも、いわゆる「行間を読む」ということをしないとストーリーが読み取れない。芸術と言っても良い。
フロムゲームの面白さ
さてさて、フロムの話。
ゲーム自体は、ある時期を境にほとんどプレイしていなかったのだが、ある時、またやってみようかな、と思った。どうせならとても難しいゲームをしたいので、検索した結果、「死にゲー」という言葉があった。そこに堂々たる首位で書かれていたのが、フロムソフトウェアという会社の『デモンズソウル』というゲームだった。
やってみると、大きな衝撃を受けた。最近髪の毛が寂しくなっている気がするのは、その時の衝撃が原因だと思う。
とても難しい。
とても難しいので、すぐに死ぬ。トライ&エラーのゲームなのである。
衝撃を受けたのはこのあと。
死ねば死ぬほどに、敵が強くなってくるという、かなりイカれたシステムなのであった。
最初はハマりきらなかったし、当時の私は、趣味で財布やカバンの職人をしていたので、ゲームは売った。女性の誘惑なら涙を流しながらも耐えられるが、ゲームの誘惑にはとてつもなく弱いので売るしかない。
しかし、頭の中にはデモンズソウルの光景が浮かんでくる。それに耐えて日々を過ごしていたのだが、フロムソフトウェアの次作『ダークソウル』が出てきてしまっては、どうにもならない。カバンや財布を作りながら、ニコニコ動画でプレイ動画を見ていたので当たり前だ。
さすがにデモンズソウルのイカレシステムは受け継がれなかったが、それでも難易度は最凶である。ただ、頑張ればクリアはできていた。しかし、ここ何年かのフロムのゲームは常軌を逸している。
『隻狼』というゲームは、ゲームに新ジャンルを確立するようなゲームだった。時代劇で見たことのある剣劇や殺陣。あれを再現したゲーム。
敵の攻撃に対して、設定されたボタンを押して攻撃をはじくのだが、連撃が飛んでくるし、居合抜きの達人なども出てきたときは冷や汗もの。しかも、弾く瞬間にスローモーションになったりしない。
あまりに難しく、チュートリアルの時点で、
「クリアできないかも」
と思った。
ただ、慣れてくると文字通り最高に気持ちが良い。
「これがゲームだ!」
と、本気で思った。アドレナリンが分泌されるという言葉を実感した瞬間であった。
基本的に、どのボスも会敵3秒くらいで絶命することができる。
幾度も死ぬ。何十回も、何百回もリトライして、ボスの体力が0に近くなるほどに、私の心臓は、恋慕した人への告白よりも鼓動が早くなり、禁煙して一週間のあの先輩の手指よりも、ガタガタとふるえてくる。
●ブラッドボーンDLCの「ゴースの遺子」は8時間かかった。
●エルデンリングの「マレニア」は13時間かかった。
→『隻狼』のボスだろ。と思った。ゲームを間違えてると思った人は多くいたようだ。倒した時には少し吼えた。これ以上のボスと戦うことはないだろうと思った。
●エルデンリングDLCの「レラーナ」は8時間かかった。
→DLC3体目のボスでこれは。。。なんだこのゲーム。
●エルデンリングDLCの「ラダーン」は23時間かかった。
→マレニアを倒した13時間かかっても、体力を半分減らせたくらい。本気でクリアできないかもと思った。
正直、この会社のゲームはスポーツと一緒だ。
私はダイエットのために水泳を続けている。5キロをクロールでノンストップ。90分くらいを無音の水中。気が狂う。己との闘い。常にやめる葛藤があり、90分葛藤している。
このボスたちとの戯れでは、こんな感覚になる。楽しくないのである。イライラもする。やめたい。
ただ、苦境からは逃げたくないので挑戦を続ける。
鼓動は早く、手指はふるえ、一喜一憂してしまう。そのために自発的に心を落ち着かせようとする。修行。
何度も挑戦するたびに上手になっていく。運ではなく、100%実力で倒すゲームだ。
この世を生きていく手段の努力に比べれば、このゲームほど簡単に、継続の力強さを実感できるものはない。
何年も前に、ダークソウルをプレイしている80歳のおじいさんのテレビを見たことがある。
「いや、冗談じゃなく心臓麻痺なるで」
と思いましたが、フロムのゲームが出るたびに、私も死ぬまでクリアしていく。
ちなみに、初見プレイはバフ効果道具も魔法も協力も使わず、正々堂々が一番楽しい。
フロムソフトウェアの芸術性については、次回書きます。