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<地政学>メキシコは超大国のアキレス腱だった?

 記憶が正しければメキシコの地政学について書いてほしいというリクエストがあったような気がするので、今回はメキシコについてである。

 メキシコは一億人以上の人口を抱える国だが、その割にはなんだか地味である。所得水準は典型的な中進国のそれであり、地域大国になるわけでもなく、歴史的な最盛期も特に思いつかない。

 そんなうだつの上がらない国でありながら、メキシコは地政学的に非常に重要な立ち位置となっている。それはメキシコが世界帝国アメリカに隣接しているからだ。今回はそんなメキシコの地政学について考えていきたいと思う。

新大陸のトップランナー

 メキシコは新大陸の中では最も高度な文明が花開いた地域である。マヤやアステカと言った文明の存在は良く知られているだろう。メキシコではとうもろこしを中心として農耕文明が栄えていて、文字も発明されていた。人類史上、文字を独自に発明したのは他にメソポタミアと中国だけと言われているので、メキシコの古代文明はそれなりに優秀だったと言えるだろう。

 新大陸の文明は低緯度の高地で繁栄していた。インカもアステカも全て高地の国である。ベネズエラからボリビアにかけての南米諸国を見ても、やはり人口の大半が山岳地帯に暮らしている。これは穀物がこの地域が開発されたかららしい。米国やアルゼンチンには広大な耕作可能地が広がっていたが、気候の違いにより農耕が浸透するのが遅かった。ようやくこれらの地域で農耕が始まった頃にはヨーロッパ人が進出してきていた。この時間的な遅れが新大陸の命運を左右することになる。

 米国には広大な耕作可能地が広がっていたが、先住民はあまり多く住んでいなかった。いわばまだ未開拓の地だったわけだ。この点はヨーロッパ人にとってラッキーである。白人入植者は無人の野を行くがごとく米国に入植し、人口稠密地帯となった。お陰で米国の人口の大半はヨーロッパからの入植者である。

 一方、メキシコはすでに農耕文明が繁栄していたため、ヨーロッパ人にとって無人の地とは行かなかった。したがって、この地域では白人入植者と先住民の間の階級社会が形成された。ラテンアメリカ特有の大土地所有制度である。メキシコ人のうち、ヨーロッパ系が占めるのは2割程度であり、残りは先住民か混血だ。メキシコという国はスペインの子孫というより、アステカの子孫なのである。

永遠の新興国

 そんなメキシコだが、あまりその後繁栄したとは言えなかった。メキシコは貧しい国ではないが、豊かな国でもない。この理由を地政学的要因だけで説明することはできない。経済学的に中進国の罠と呼ばれる現象があり、先進国の30%程度の水準で経済が停滞する国がやたらと多いのだ。特に顕著なのがロシアとメキシコで、両国の相対的な所得水準は100年以上変わっていない。

 メキシコはアメリカやカナダのような安定した民主主義が定着しなかった。ラテンアメリカ特有の寡頭制が現在に至るまで続き、ダロン・アセモグルが呼ぶところの「収奪的な政治制度」が残っている。カシキスモと呼ばれる地方ボスを中心とした支配体制が強固で、社会のあらゆる階層に恩顧主義が蔓延しているのがメキシコという国である。なぜそうなったのかはいろいろな説があり、決着を見ていない。先住民と白人入植者の階級制に起源があるという考え方もできるが、母国スペインも負けず劣らず中進国の罠にはまり込んでいたので、スペインの後進性に起因しているという見方もできる。実はスペインは1980年代まで西欧にありながらメキシコやアルゼンチンとそう変わらない国だったのだ。

 メキシコの歴史は独立当初から苦難続きだった。19世紀初頭のナポレオン戦争でスペインが大被害を受けると、ラテンアメリカで独立運動が高まった。メキシコではイダルゴを中心として独立運動が巻き起こった。これを鎮圧するために派遣された司令官が途中で心変わりし、勝手にメキシコ皇帝を名乗り始めるという怪しげな形でメキシコの独立は達成された。

 メキシコの帝政は長続きせず、直ちにクーデターが頻発した。その後もメキシコの政治は混乱続きだった。1846年に米国と米墨戦争が勃発するが、壊滅的な敗北を喫し、首都のメキシコシティが陥落している。この和平交渉でメキシコは領土の半分を米国に奪われ、もはや地域大国となることは絶望的となった。以降、メキシコは隣接する超大国に何かと振り回される命運をたどることになる。

 メキシコは今後はナポレオン3世のフランスによって侵略されることになった。しかし、メキシコ人はフランスによる支配を良しとせず、すぐさま反乱が勃発する。結局傀儡皇帝のマクシミリアンは処刑され、メキシコは再度の独立を達成する。そのちょっと後に権力を握ったディアス大統領により、一応の安定が達成され、30年ほどメキシコは安定期を迎えることになった。このディアス時代に限定的ながら工業化も進んだ。

 1910年、ディアス政権が崩壊すると、再びメキシコは大規模な内戦に陥る。メキシコ革命の経緯は複雑なので省くが、ありとあらゆる勢力が代わる代わる戦闘を行い、メキシコは混迷に陥った。最終的に混乱を収集した勢力によって制度的革命党という政党が形成される。この制度的革命党は自民党を更に極端にした政党で、ありとあらゆる政治勢力を取り込んで政権を握り続けるという体制を作り上げた。制度的革命党には特定の政治主張はなく、単に権力を維持するという目的だけで維持されていた。ここまで開き直った一党独裁体制は珍しい。

 制度的革命党は70年にわたって政権を維持したが、流石に国民も飽きてしまったのか、2000年についに下野することになった。それ以降、メキシコは一応民主主義らしき政治が行われている。ただし、その政治が先進国の人間が考えるところの民主主義かは怪しい。メキシコの政治腐敗は主要国の中でもかなり酷く、中国やインドよりも下という位置付けだ。メキシコに匹敵する腐敗を見せているのはロシアくらいだ。ロシアのプーチン体制と何ら変わらない政治がメキシコでは行われているのである。こうした現状を踏まえると、発展途上国において独裁制とは単に一個人に権限が集中している以上のものではないということだろう。独裁制と民主政の違いは一人が腐敗しているか、みんなが腐敗しているかの違いしか無いということである。いや、民主主義をやっているとされる途上国の大半は単なる寡頭制なのかもしれない。

世界の政府腐敗度合いを示した図

独裁制だろうが民主政だろうが等しく
途上国ではまともな政治は行われていないようだ。

 そんな状態なので、メキシコは200年間全く発展が見られない。アメリカに張り合うどころか、大国らしき振る舞いもまったくなく、ただ単に国内の政治が腐敗して終わっているのである。このような特徴はラテンアメリカの大半の国に見られるものだが、メキシコの場合はある1つの地政学的要因によって重要度が高まっている。それはメキシコが隣接しているのは世界最大の超大国アメリカ合衆国であるという事情である。

麻薬取引の地政学

 世界で最も交流の激しい国境はアメリカとメキシコの国境である。年間一億人以上がこの国境を通過する。アメリカの政治では常にメキシコとの国境をどう扱うかが議題になっている。

 アメリカとメキシコの国境を特徴付けているのは両国の経済格差である。アメリカとメキシコの経済格差は三倍で、この事実がいろんなトラブルを引き起こしているのだ。その最たるものは不法移民である。アメリカの人口の二割はメキシコから北上してきたヒスパニック系移民だが、その中のかなりの割合は不法移民である。アメリカに行けばメキシコよりも遥かに良い暮らしができるため、移民希望者が後を絶たないのである。メキシコ国内はありとあらゆる業界が腐敗していて、ビジネスで成功できるような状況ではない。カルテルと恩顧政治でメキシコにはろくな産業が育っていないのだ。

 そんなメキシコに強力な資金源を提供しているのは麻薬である。アメリカは世界最大の麻薬消費国であり、アメリカへの密輸は莫大な利益を産むのである。これも両国の国境の盛んさと大きな経済格差が生んだ問題の1つだ。意外だが、メキシコの麻薬中毒者は多くない。メキシコ人にとって麻薬は売り物である。密貿易の莫大な利益は多くのメキシコ人を違法ビジネスに引き付け、結果として強大な犯罪組織が林立することになった。

 メキシコの麻薬組織の強大さは常に話題になる。中には軍隊よりも強大な装備を持つ組織もある。政治家や役人の買収も日常茶飯事だ。それが可能なのは結局のところ麻薬ビジネスが大変生産的で、収益が多いということに起因する。アメリカから流入したナルコマネーで簡単に役人は買収できるのだ。

 犯罪はいくつかに分類できる。1つ目はテロやレイプのように非経済的な動機で行われる犯罪。2つ目は詐欺や強盗のように他人から不法に財産を窃取する犯罪。3つ目は被害者がいない犯罪だ。3つ目の犯罪は取引自体は普通の商取引だが、何らかの事情で国家によって規制されているものを指す。伝統的には麻薬・賭博・売春の三羽烏が有名である。これらは市場原理に則っているため、規制するのが桁違いに困難だ。純粋に経済的な側面に注目すれば役人にとって麻薬を規制することは世界的ベンチャーを禁止するのと同じくらい不合理だからである。

 アメリカ政府はメキシコが麻薬を野放しにしていることを批判し、もっと真面目に取り締まるように求めている。しかし、とうのメキシコにとっては麻薬を取り締まるメリットはあまり多くない。政府はもちろん規制したいだろうが、経済的なインセンティブを覆すのは容易ではない。メキシコ人から見ると、むしろ問題を抱えているのは自国民の麻薬乱用を止められないアメリカということになるだろう。

麻薬戦争勃発

 麻薬密輸がメキシコにもたらす最大のデメリットは抗争である。麻薬で得られる莫大な収益を巡ってメキシコ国内では常に暴力が蔓延している。アメリカとの国境まで短冊のように麻薬組織の縄張りが続いており、そのルートを巡って常に無数の犯罪組織が離合集散しているのだ。したがってメキシコの治安は主要国の中では最悪レベルである。

 メキシコの麻薬戦争は2つの理由で激しくなった。1つは1980年代にメインだったコロンビア経由の密輸が難しくなったことである。それまでコロンビアからカリブ海を経て船で麻薬は運び込まれていたのだが、海上の警備が厳しくなったことで海上ルートは厳しくなった。911テロ以降、空輸も難しくなった。そこでアメリカへの密輸ルートはメキシコからの地上ルートに集中することになった。まずコロンビアやペルーからコカインをメキシコに運び、そこから陸路でアメリカに運び込むのだ。お陰でメデジン・カルテルをはじめとしたコロンビアの組織は衰退し、メキシコの組織の下僕と成り下がった。

 もう一つの理由とされるのは、2006年にカルデロン政権が進めた麻薬撲滅運動である。政府は珍しくやる気を発揮して麻薬組織のリーダーを逮捕することにしたのだが、これが却って治安の悪化を招くことになった。それまで単一の組織による独占体制が敷かれていたのが、無数の組織によって利権が争われることになったからである。そもそも裏社会に独占体制が発生するのは通常の法的な秩序の維持が難しいからにほかならない。ヤクザの「シマ」はある意味で室町時代の大名のような側面がある。裁判所に頼れない以上、誰か特定の勢力が暴力を独占しないと、問題解決ができないのだ。こうした秩序を無理やり壊してしまうと、むしろ混乱が発生しかねない。日本の警察がヤクザを締め付けながら、生かしておいているのはこのような事情が要因と思われる。

 かくしてメキシコでは2006年以降、異常なまでの殺戮が吹き荒れることになった。一連の抗争で死亡した人物は20万人を超える。もはやイラクやシリアとそう変わらないレベルとなる。メキシコ麻薬戦争が本来の意味での戦争なのかは議論あるところだ。暴力の水準や犠牲者の数を考えれば低強度紛争といっても差し支えはないだろう。ただ、麻薬戦争には紛争に存在しているような政治的な動機が欠如している。犯罪組織は政治家と癒着することはあても、政治そのもののは無関心なのだ。これは通常の犯罪組織とテロ組織を区別する重要な要素にもなる。テロ組織は正統政府に成り代わるのが目的なのに対し、犯罪組織はそういった目標はなく、裏社会の存在でしかない。悪人はある種のフリーライダーなので、自分のやっていることが正義とは思っていないし、みんなが裏社会の住人になってしまったら社会が回らないことも分かっている。だから、いくら麻薬組織は強大になったとしても、本当の意味で政府に反乱を起こすことはない。

 とはいえメキシコ麻薬戦争が通常の犯罪の域を超えていることも確かである。警察や裁判所の中にも麻薬組織は深く浸透しているし、地域の警察を駒のように使う組織もある。麻薬組織に批判的なジャーナリストは次々と暗殺されている。

なぜ取り締まれないのか

 こうした麻薬組織にアメリカ当局は怒りを抱いており、麻薬組織の中でも最も残忍なロス・セタスはテロ組織に指名しようとする動きもあった。しかし、アメリカはこれらの麻薬組織に対して有効な手段を打てないでいる。そもそも国内の麻薬を取り締まれないのに、外国の組織を取り締まれる訳が無い。それにラテンアメリカの反米意識は強く、アメリカの当局がメキシコの犯罪者を逮捕しようとしても、思わぬ反発を受けることがある。いくら国際犯罪と言えども、アメリカがメキシコの頭越しで介入してくることに腹を立てるのだ。

 アメリカはメキシコから流入してくる麻薬によって国内の治安が悪くなっていると感じる。しかし、メキシコもまたアメリカの社会問題が自国に輸出されている用に感じている。メキシコの麻薬組織が使用する武器の多くはアメリカから流入してきている。北から南に武器が流れ、南から北に麻薬が流れているのである。

 そして、これらの背景にあるのはメキシコとアメリカの経済格差と、メキシコ国家が脆弱で、国内をまともに統治できないという問題だ。貧しいメキシコ人にとって麻薬を隣国に輸出することは経済的に理にかなっているので、止めさせるのが難しいのである。麻薬組織の圧倒的な資金力によって、メキシコの役人や警官は簡単に買収されてしまう。取り締まりは困難を極める。買収どころか、国防大臣が麻薬組織のボスだったことすらある。

 興味深いことに、メキシコ麻薬戦争は国境を超えて北に拡大することはないようだ。メキシコの組織がアメリカ国内にもネットワークを持っていることを考えると、意外である。ニューヨークにせよ、ロサンゼルスにせよ、麻薬組織は仲良く麻薬を販売している。麻薬戦争はやはりメキシコの脆弱な国家体制が生んだ現象と言えるのかもしれない。

 一応希望もある。最近は麻薬組織との戦いにおいて、メキシコ海軍が活躍しているようだ。海軍は海にいるので、陸軍や警察と違って浸透されにくいのが理由と思われる。麻薬戦争の経緯を見ても、メキシコ海軍は優秀である。最大の麻薬カルテルを率いるエル・チャポを捕まえたのも海軍だった。

 余談だが、セタスは女性名詞だから、定冠詞はロスではなくラスになると思うのだが、この辺りの事情ってどうなっているのだろうか。スペイン語に詳しい人がいたら教えてほしい。

北米を揺るがす米墨国境

 今後のメキシコはどこへ向かうのだろうか、より広い視野で北米大陸の地政学を考えてみたい。

 現在、アメリカは超大国として圧倒的な力を誇っていて、対抗できる国は全く存在しない。これはアメリカが島国という地政学的優位に根ざしている。言い換えると、アメリカが衰退するとすれば、それはアメリカが事実上の島国であるという構造が崩れたときである。

 陸からアメリカに影響を与えられる国はメキシコしか存在しない。そういう意味ではメキシコはアメリカにとっての唯一の弱点になるだろう。アメリカの地域覇権を崩す可能性があるのはメキシコだけだ。北米大陸はアメリカ海軍によって他の地域から切り離されており、メキシコが外部の大国から援助を受けるのは容易ではない。これはロシア・ウクライナと異なる点だ。ロシアは旧ソ連圏の外部勢力の介入を排除できないため、西側はウクライナを支援することで容易に勢力均衡を作り出すことができる。しかし、北米大陸は完全にアメリカによって支配されているため、例えば中国がメキシコと手を組んでアメリカに脅威を与えようとしても、うまく行かないだろう。

 アメリカの一極体制にメキシコが脅威を与えるとすれば、それは軍事問題というよりも社会問題だろう。例えばメキシコから多数の移民が流入し、アメリカ国内に政情不安をもたらす可能性が挙げられる。現在、テキサスやカリフォルニアといった州ではヒスパニックの人口が白人を上回っている。アリゾナやニューメキシコではもっと激しい。これらの動きが従来の移民と同様であれば問題はないが、もしメキシコの北方への拡大となれば深刻な危機をもたらすだろう。途上国の人口爆発は収束しつつあるが、今後もアメリカに移住したいという貧困層は絶えないだろう。現在も大量の難民がメキシコ経由でアメリカに密入国している。長期的に見るとアメリカにとって最大の脅威は中国でもロシアでもなく、メキシコ国境から来ているのかもしれない。

まとめ

 今回はメキシコの地政学について考えた。メキシコは典型的な中進国であり、少なくとも200年にわたって経済が停滞している。その要因は地政学だけでは説明がつかない。国家間の経済水準の差異は未だに謎が多く、十分な説明はなされていないのである。メキシコは貧しい国ではないが、豊かな国でもない。国内の経済格差は極めて大きく、政治的にはいつまで経っても寡頭制が続き、先進国の基準ではありえないような腐敗が横行している。

 度々話題になるメキシコ麻薬戦争は、メキシコの地政学的性質が生み出したものだ。麻薬戦争の要因はメキシコが莫大な利益を産むアメリカ市場に隣接しているという地理的要因と、メキシコ国家が脆弱で犯罪組織を取り締まれないという政治的要因に起因している。米墨の巨大な格差が是正されない限り、今後もメキシコ麻薬戦争は継続されるだろう。

 今回の記事は内政がメインであり、安全保障上の脅威についてはあまり触れなかった。メキシコは対外的には安全とも言えるし、危険とも言える。メキシコはアメリカに攻められればひとたまりもないが、アメリカは軍事的にメキシコにとことん無関心である。人間社会一般に言えることだが、力の差が大きい場合、強者は弱者を攻撃したり、軽蔑することはない。ただただ無関心になるだけだ。国内を結集できないメキシコは、取るに足らない存在と思われている。共産主義革命がメキシコで起こっていれば話は別かもしれないが、そういったことは起こらなかった。メキシコの安全保障はアメリカによる無関心によって成り立っていると言える。メキシコ人にとっては屈辱的だが、アメリカの国力はメキシコの10倍を優に超え、メキシコは外部から援助を受けることもできないので、アメリカに脅威と思ってもらうことすらできないのだ。

 そんなメキシコがアメリカに与える最大の影響は人の移動だろう。ローマ帝国がゲルマン民族の移動で滅びたように、アメリカ帝国の繁栄を突き崩すのもメキシコ経由の何かかもしれない。アメリカは事実上の島国と言われるが、メキシコになにか動きがあればこの前提は雲散霧消する。メキシコは数百年タームで見た場合は地政学的な重要度がかなり高い国だろう。

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