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私選・面白かったSF小説トップ20!

 私の好きな創作のジャンルは3つある。ホラー・ミステリー・そしてSFである。今回は人生で読んだ中で面白いと思ったSF小説を書いていこうと思う。

第20位:プロテウス・オペレーション

 ナチスドイツが圧倒的勝利を収めた世界を描いた歴史改変SF。主人公たちはヒトラーの核兵器取得を防ぐべく、未来からのタイムトラベラーの介入を阻止する秘密作戦を行う。

第19位:第四間氷期(安部公房)

 安部公房の名作。主人公たちの作成した未来予言マシンが将来の海面上昇と人類の変貌を告げる。

第18位:オニキス(下永聖高)

 5編収録のSF短編集。過去改変の能力を持つ物質を巡って主人公たち科学者が奔走する表題作をはじめ、異世界の創造をテーマとする作品が多い。個人的に面白いと思ったのは「三千世界」。

第17位:恩讐星域(梶尾真治)

 地球滅亡が確実視され、宇宙船で旅立った人類と、ワープ航法で別の惑星に移住した人類の相克を描く群像劇。数百年のタームで描かれる壮大な物語が特徴。

第16位:私を離さないで(カズオ・イシグロ)

 ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの代表作。謎の孤児院で育った主人公の回想を軸に、不気味で物悲しい雰囲気のストーリーが展開される。「新世界より」の前半に近いかもしれない。

第15位:リライト(法条遥)

 タイムスリップをテーマにしたSFミステリー作品。時をかける少女を元ネタにしたと思われる。最後のオチがサスペンス的で面白い。二作目以降は微妙。

第14位:虐殺器官(伊藤計劃)

 伊藤計劃三部作の一作目。2000年代の対テロ戦争を背景とした世界観が特徴。主人公は米軍のエージェントとして世界中の紛争地帯を巡る中で虐殺事件の背後に潜む1人の男を追っていく。

第13位:落下世界(ウィル・マッキントッシュ)

 主人公が気がつくと世界が異空間に浮かぶ沢山の孤島のようになっていて、全員が記憶を失っているという奇妙なシチュエーションの作品。同時並行で行われる世界大戦の描写により、世界が変貌した秘密が明かされていく。

第12位:華竜の宮(上田早夕里)

 安部公房の「第4間氷期」をさらに膨らませたような作品。海面上昇で陸地の半分が水没し、人類の半分が身体改造をして水上生活を営むというハードな世界観が特徴。作中に登場する様々な人物や国家の繰り広げる群像劇である。

第11位:地球の長い午後(ブライアン・オールディス)

 古典的SF小説。遥かな未来に地球の自転が停止し、人類の子孫は知性を失っている未来を主人公たちが放浪する。展開は緩慢で退屈に感じる人が多いかもしれない。ただ、私には妙に地球の終わりを彷彿とさせる世界観が魅力的に感じられた。 

第10位:百年法(山田宗樹)

 大学受験が終わってすぐに読んだ作品。もし不老不死の技術が達成されたら・・・という世界を描いた作品。作中では不老不死の技術を使われた人間は百年で安楽死させられることになり、様々な人間の悲哀が描かれる。

第9位:あなたの人生の物語(テッド・チャン)

 大学時代、先輩に薦められて読んだ作品。表題作は「メッセージ」というタイトルで映画化された。SF短編小説の中では一番の名作と言われることが多い。特に面白いと思ったのは「地獄とは神の不在なり」と「バビロンの塔」だ。

第8位:天球の回転について(小林泰三)

 大学時代、生協で買って読んだ作品。短編集の中では一番面白かったと思う。科学が忘れられた未来で主人公が宇宙に向かう表題作ほか6編。個人的には「性交体験者」と「300万」が面白かった。

第7位:パインズー美しい地獄ー(ブレイク・クラウチ)

 大学生の時に生協で買って読んだ作品。SF作品という情報はネタバレになってしまうかもしない。パインズという小さな町に捜査に訪れた主人公はどうやっても町を抜け出すことができないことに気がつく。次第に町に漂う不審な雰囲気に気が付き、脱出計画を練るが・・・

第6位:未来からの脱出(小林泰三)

 会社帰りに近くの本屋で買った本。一見、老人ホームを舞台にした張り合いのない作品に見えるが、中盤で明かされる世界観に衝撃を受けた。技術的特異点を超え、遥かな文明の先に人類が向かう結末を予期させる。


 ここまでの作品は正直横並びだったが、私の中では上位5作品は飛び抜けて評価が高い。これらは珠玉の歴史的名作であると考えている。


第5位:ハーモニー(伊藤計劃)

 私の高校時代の授業でミシェル・フーコー論に関連して紹介された本。伊藤計劃の三部作の二作目に当たり、日本SF大賞を受賞した名作。虐殺器官から数十年後の世界を舞台にするSF小説で、全てが医療用AIによって管理され、社会が安全に満ちた時代の息苦しさを描いている。

 余談だが、私は「ハーモニー」を読んだ後に「虐殺器官」を読んだので、「虐殺器官」のラストシーンで「お前が犯人だったのかよ!」と衝撃を受けた。

第4位:星を継ぐもの(ジェイムズ・ホーガン)

 私が高校の図書室で見つけて読み、感動した一作。人類が宇宙に進出し、月面で宇宙飛行士の死体を発見する。しかし、その死体は数万年前のものだった・・・作中で明かされる衝撃の世界の真実と、ラストに見える人類への希望が感動を呼ぶ作品である。

第3位:ジェノサイド(高野和明)

 高校時代、学校をサボって渋谷の本屋で立ち読みをしていた時に出会った一作。日本の大学院生と難病の息子を抱える米兵が世界の異なる場所で相互に絡み合っていき、進化した人類の謎を探るというストーリー。作者は大衆小説家だけあって、ラストの感動的なシーンは非常に印象に残った。

第2位:幼年期の終わり(アーサー・C・クラーク)

 大学に入ってすぐに生協で買って読んだ一作。おそらくエヴァの人類補完計画の元ネタである。未知の宇宙人が地球を管理する序盤、宇宙人が姿を表し目的が仄めかされる中盤、心に秘めていた宇宙人の悲哀が描かれる終盤という三部構成が魅力的だ。

第1位:新世界より(貴志祐介)

 高校時代に塾の帰りに御茶ノ水の本屋で見つけた作品(上位は高校時代ばかりだな)。日本SF大賞受賞作で、アニメ化もされた。私が読んだ作品の中でも最高の傑作である。1000年後の世界を舞台に超能力者が暮らす町を描いたディストピア作品。隠された1000年間の暗黒の歴史と主人公の奮闘が興奮を呼ぶぶ。この作品を日本SF史上最高に挙げている人間はかなり多く、人生で一度は読んでおきたい名作である。

その他の名作

 これらはあくまで筆者が読んでいて面白いと思った作品である。名作の中には読んでおきたかったが、あまり面白いと感じなかったものもある。夏への扉・ユービック・世界の中心でアイを叫んだけもの・たったひとつの冴えたやりかた・アンドロメダ病原体・都市と都市といった有名作はあまり読んでいて面白いとは感じなかった。もちろんあくまで一個人の感想に過ぎないので、作品の客観的評価を断じるものではない。


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