ハングル検定3級で始めた通訳の仕事:挑戦と成長の実体験
韓国語の勉強を進める中で、ハングル検定3級を取得しました。
たったこれだけのスキルでどこまで通用するのだろう。そんな不安を抱えつつも通訳の仕事を始めたのが、勉強を始めて、ちょうど1年の時です。
この記事では、私の実体験を元に、ハングル検定3級のレベルでどのように通訳業務をこなしているのかをご紹介します。
これから通訳の仕事を目指す方、語学力を活かしたいと考えている方の参考になれば幸いです。
目次
・そもそもハングル検定とは??
・ハングル検定3級で通訳業務は可能?
・通訳を始めたきっかけ
・現場での体験
・ハングル検定3級で通訳するコツ
・まとめ
そもそもハングル検定とは??
ハングル検定、正式名称「ハングル能力検定」はハングル能力検定協会が行っており、日本語を母国語とする人向けの検定試験です。
ちなみに私が合格した3級のレベルは以下の通りです。
・決まり文句以外の表現を用いてあいさつなどができ、丁寧な依頼や誘いはもちろん、指示・命令、依頼や誘いの受諾や拒否、許可の授受など様々な意図を大まかに表現することができる。
・私的で身近な話題ばかりではなく、親しみのある社会的出来事についても話題にできる。
・日記や手紙など比較的長い文やまとまりを持った文章を読んだり聞いたりして、その大意をつかむことができる。
(ハングル能力検定協会ホームページより抜粋)
通訳を始めたきっかけ
韓国語の勉強を始めた時から、少しでも早く、韓国語に携わるような仕事をしようと考えていたためです。
本当はもう少し上の級を取得してから、と考えていたのですが、ハングル検定3級を取得した際、あまりに嬉しくて我慢できず……。
無謀にも求人探しを始めました。
紆余曲折あり、現在は百貨店のインフォメーションで韓国語と英語を使用した通訳業務をさせて貰っています。
現場での体験談
実際に現場に立ってみると、参考書で学んだ韓国語では対応出来ない場面がたくさん現れました。
1.ブランド名の発音が微妙に違う
「ディオール」や「セリーヌ」など聞けばなんとなく分かるようなハイブランドが、韓国語だと微妙に違います。
「ディオール」=「디올(ディオル)」
「セリーヌ」 =「셀리느(セㇽリヌ)」
などなど。
毎日聞き取った音を元に連想ゲーム状態でした。
ちなみに、個人的に1番連想出来なかったのは
「포터(ポト:吉田ポーターのこと)」です。
2.お菓子に対する独特な表現
いわゆる「デパ地下」は重要な観光スポットです。
個人のブログやインスタグラムを見てお越しいただく方が多いのです。……が。
お菓子に対する表現が日本とは違うことが多々ありました。
「フルーツ大福」=「과일 모찌(果物餅)」
「フルーツサンド」=「산도(サンド)」
などなど。
こちらも連想ゲーム状態でした。
しかし前述した通り、SNSの投稿を通して来店される方が多かったので、これを逆手に取りました。
韓国の方が投稿されたブログやインスタグラムを見て、予習するようにしたのです。
3.聞き取りとスピーキング
韓国の方が話す韓国語はとても速いです。
知ってる単語もサラサラ流れてしまい、話の概要が掴めない、なんてことも多々ありました。
ただこれは、聞き返して耳を澄ませばなんとかなります。
問題はスピーキングです。
言葉が出てこない。
初歩的な単語すら、使い慣れていなければ出てこないのです。
伝えられなければ通訳の意味はありません。
毎日焦げそうなほど悔しい思いをしながら、家で音読練習を繰り返しました。
4.頼られることへの責任と喜び
「ちょっとすみません」と韓国語で話し掛けられた時は、頼られていることへの責任と共に、喜びも感じられます。
中には店内滞在中、質問があるたびに来てくださる方もいらっしゃいます。
リピートがあるということは、信頼されている証だと私は考えています。
苦悩の連続ですが、同時にとてもやりがいのある仕事です。
ハングル検定3級で通訳するコツ
1.知ってる韓国語で表現する習慣をつける
とにかく言葉を捻り出す。これに限ります。
ハングル検定3級まで取得されている方は、基礎文法及び基礎的な単語はマスターしているはずです。
あとはそれらを使ってどう表現していくか、だと思います。
例えば、
「免税カウンターで手続きをしてください」
この場合、
「면세 카운터에서 수속을 바랍니다.」
こちらだと丁寧な言い回しです。が、咄嗟に出てこない場合、
「면세 카운터에서 수석이 헐 수 있습니다.(免税カウンターで手続きができます)」
または
「면세 카운터에 가세요.(免税カウンターに行ってください)」
でも充分意図が伝わります。
使える韓国語を使って表現する練習を日々続けましょう。
2.音読練習
家に帰ったら反省会です。
あの言い回しは正しかったのか、もっと良い表現はないのか、検証していきます。
私はこれにChatGPTを利用しています。
スピーカーモードで話すか、韓国語を入力すれば、それが自然な表現なのかどうかを判定してくれます(勿論AIなので絶対に正しい訳ではありませんが)。
あとは咄嗟にその言葉が出てくるよう、ひたすら音読です。
ふとした瞬間にその文言が浮かぶようになるまで、何度も繰り返しましょう。
同時に、イントネーションや発音も修正していきます。
3.数字・固有名詞ははっきりと発音する
私の発音の問題もあるのでしょうが、数字は必ず聞き返されます。
なのであえて数字だけ強調して伝えるようにしています。
例えば「10番出口から出てください」というこの文言。
私は必ず「십번.십번 줄구부터 나가세요.」とまず数字を強調し、そこから文章を繋げています。
この方が話がスムーズに進むことが多いです。
他にも建物の名前や駅の名前はゆっくり発音するなどして、相手の反応を確かめながら話を進めるようにしています。
まとめ
ハングル検定3級は中初級レベルですが、使い方を考えれば仕事で充分に活かせます。
業務を通して以下のことを学べます。
1.実践的な韓国語
2.表現の仕方
3.コミュニケーション力の向上
通訳は語学スキルだけでなく、人と人との架け橋になる仕事です。
これから韓国語を使った仕事がしたいと考えている方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。