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#おむすびの本棚 『少年と犬』

おむすびの本棚では私が読んだ本を紹介します。
お気に入りの本とあなたがむすばれますように。


どうもー、おむすびです。



『少年と犬』 (馳星周)

を紹介します。

第163回直木賞受賞作の短編集です。


あらすじ

2011年の秋。
被災した犬、多聞が仙台にてとある男に拾われます。
多聞は恩返しのように犬特有の不思議な力で、男のことを救います。
しばらく月日を共にするのですが、男はとあることに気づきます。
多聞は南に行きたがっている
車に乗っているとき、決まって南の方角を向いているのです。

そこから多聞は5年をかけて南へ、西へと旅をしていきます。
道中で助けてくれた人々を癒しながら。
一体、多聞の旅の目的とはなんなのか。
人と犬との絆に感動する物語。


感想

多聞と出会う人々は様々な人生を送ってきました。
罪を犯した人、自殺を試みようとしている人、死が迫ってきている人......。
それぞれ何かしらの“節目”に立っています。
前に進むこと、道を選ぶことを躊躇っている彼らの背中を多聞はそっと押してあげるのです。
希望の光を見つける人もいれば、逆に背を向けることを選ぶ人もいます。
どちらにしても新たな人生を歩み出そうと再生する彼らがとても力強く感じました。

私のお気に入りは『娼婦と女』です。


※注意!ここからネタバレ入ります。まだ見たくない方は目次から“むすびの一言”に飛ぶことをオススメします。


愛している人のために家族を捨て、身体を売っていた美羽。
しかし愛している人は必死に稼いだお金をギャンブルに注ぎ込む。
久しぶりに帰ってきたと思ったら「金くれない?」とせがんでくる。
あるとき偶然ステーキハウスで他の女と食事をしているのを見たとき、ついに限界が来て彼を殺してしまいます
彼女はこの罪を隠し通すつもりでいましたが、多聞との出会いで気持ちが変化、自首することを決意します。
自分で選んだ道を歩んでここにいる。だれかを責めることはできない。
追い詰められて殺人を犯したことを恋人のせいにしない彼女の強さに胸を打たれました。
自分の人生に責任を持つとはこのことなのだと思いました。


むすびの一言

自分にできることをひとつひとつやっていこう。
それしかできないし、それが生きるということなのだ。

ふとしたときに「何をやっているんだろう」とか「これをやって意味あるのかな」とか思うことがあります。
でもやっていることにちゃんとした理由はなくてもいいんだと思います。
それがたとえ自分が本当にやりたいことなのかわからなくても、未来の役に立つのかわからなくても、“今やるべきだ”と思ったことに一所懸命になればいいのです。
理由”ではなく“やっていること”そのものに意味があるから。
それが生きるということなのかなと思いました。


ここまで読んでくれてありがとう!

またねー!