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#おむすびの本棚 『図書館危機 図書館戦争シリーズ③』
おむすびの本棚では私が読んだ本を紹介します。
お気に入りの本とあなたがむすばれますように。
どーもー、おむすびです。
『図書館危機 図書館戦争シリーズ③』 (有川浩)
を紹介します。
全6冊ある『図書館戦争シリーズ』の第3巻です。
あらすじ
本を検閲機関から守る図書隊の防衛部員として働く郁。
相変わらずメディア良化委員会や政府との戦いは続いている。
とある人気俳優のインタビュー記事に使われた差別用語をめぐって世間を巻き込んだ騒動が勃発する。
さらに郁の地元、茨城にて開催される美術展で最優秀作品に選ばれた『自由』が良化特務機関を批判するものとして検閲・没収を要請される。
特殊部隊として郁たちも警護のために駆り出されるが、水戸準図書基地、そして付属図書館である茨城県立図書館の歪んだ思想があらわになりーー。
感想
あとがきでも触れられていた3章『ねじれたコトバ』では差別用語についてのエピソードが描かれていて、考えさせられました。
物語の中では“床屋”という言葉について論争が繰り広げられています。
検閲対象となるため記事には書けない出版社、けど“床屋”という職業を誇りに思っている祖父を持つ俳優......。
“床屋”って私にとっては全く耳にしないものでもないし、あからさまに侮辱するような表現でもないように感じられる言葉だったので差別用語として扱われていることに驚きました。
メディアはたくさんの人の目に触れるものだから違反語、放送禁止用語といった表現の自主規制はある程度は必要だと思います。
だけど規制によって得られる安全と奪われる表現の自由のバランスはもう一度考え直す必要があるのではないかと私は考えました。
“床屋”のように、差別用語とされていても誰かにとっては大切な言葉だったりするわけで。
差別として世間に叩かれるという“最悪の事態”を危惧し避けるためにした行動が、逆に差別になっている。
ちょっとおかしな構図が出来上がってしまっています。
特別扱いはときとして差別と変わらないものになる。
そんな風に感じました。
ストーリーでは諸々がひと段落したあと、ついに郁が恋心を自覚しましたね......!
そしてトップが交代となった図書隊の行く先が気になります。
むすびのひと言
・・・批判を受けない人や組織なんてこの世に存在しないじゃない。
世の中にはいろんな特性を持った人がいて、それぞれに考えがある。
信じているもの、従うものは違う。
だから多かれ少なかれ批判があってあたりまえで、0になることはあり得ないんですよね。
守ることで失うものがあることを忘れてはいけない。
“床屋”の話を例に挙げると、一部の人が傷つく可能性に配慮した結果、一部の人の思いを踏みにじっているように。
多くの批判を浴びてでも守るべきものもあるのではないかと思いました。
ここまで読んでくれてありがとう!
それでは!
(他の図書館戦争シリーズの記事はこちら↓)