楽しいは創れる!〜公共空間活用の取り組み〜(公園防災キャンプ 後編)
地方都市で行政職員がまちづくりに取り組むには、まずは自分自身がプレイヤーになっていろいろ企画とか手続きとか集客とかしてみないとわからないよね!というお話。
前編では、企画の主旨や背景、実施内容や結果についてお話ししました。
今回の後編では、企画の設計書や振り返りフィードバックについて、お話します。
【以下は2019.10.6記事の振り返り投稿です(一部修正)】
感想だけで終わらせるのは少し勿体ないので、今回の企画の目的や設計内容を、以下にメモしときます。
全体構造を分析して、特殊解を一般解に下ろし、良事例の水平展開をマネジメントするのは、行政の役割なので。
せっかくなので全国の自治体や国にいる仲間に届いて、水平展開できていったらいいな~。まちづくりに著作権はないのだ◎
開催目的
①公共空間(公園)の利活用の提案
特にカフェと併せた有効活用を実施し、職員・市民・公園管理部局・カフェ運営会社に、有効な使い方や使ってよいという発想に気付いてもらうこと。
②プレイヤーとしての経験
主催者が、きちんとした法的整理や行政手続き、関係部署協議を行い、正しく場をつくる経験を蓄積すること。
③職員への意識啓発
本市の職員に、正しく動けば楽しいことは創れることを、体感し、あるいは見てもらい、気づいてもらうこと。
④後輩職員の育成
後輩職員にリーダーとなって、最後まで主催をやりきる経験をしてもらうこと。また、それを見た他の若手職員に、自分でもできることだと気づいてもらうこと。
⑤まちづくりの先輩と周りの後輩たちをつなげる
これまで自分が関係してきた、まちづくりや公民連携の最前線にいる先輩方、同じ技師の後輩たち、そして自分と繋がっている色々な部署の若手職員たちを、一つの場に集め、斜めにつなげること。
企画設計書(作戦)
①公式な自主研修グループ制度の活用
庁内の電子掲示板の使用など、公式に動きやすくするため、自主研修グループ制度を活用する。また、公共性のある活動目標を掲げるため、結成目的を「職員の防災意識の向上」及び「公共空間の利活用」とし、企画の趣旨を「災害時の一時避難を想定した公園空間における防災キャンプ体験」と位置付ける。
②公園部局へ筋を通すこと
こちらの活動で公園部局に迷惑をかけることのないよう、真っ先に話を通し、協議を行う。原則、条件には全て従う(火気不使用、占用許可申請)。
※行政職員がまちづくり活動する際、規制・管理部局を悪者扱いする場合がよくあるが、相対するのではなく、隣に座って一緒に同じ方向を見るつもりでやるのが大切(カップルシート作戦)
なお、今後の活動を重ねて、緩やかに自由使用の範囲に落としていくのが理想。
③カフェの運営会社の協力を得ること
火気の代わりに使う外付け電源(コンセント)の使用承諾を得るため、また今後の公園空間との利活用につなげてもらうため、カフェの運営会社と事前に協議を行う。なお、調理はIHコンロや電気ケトル、ホットプレート等で行う。
④食品衛生法の規制・手続対象外とすること
食品衛生法に抵触せず、許可・届け出行為に該当しないよう、参加対象を本行政職員のみとし、あくまで身内の飲み会(花見のようなもの)に位置付ける。また、飲食代金をとらず原則無料参加とする(別途カンパやご厚志は受け取る ※エライ人ありがとう)。さらに包丁・まな板を使った調理行為を極力行わず(汚染防止)、全ての食事に熱を通して提供する。
⑤周辺市民に迷惑をかけないこと
公園の利用者やカフェの来店者に迷惑をかけないよう(クレームが発生すると公園管理部局に迷惑をかけるため)、各動線を妨げず、活動エリアを必ず点字ブロック内に収める。
※官民問わず、まちづくり活動は、一見大成功に見えて、実はただの身内盛り上がりになっていて、その他大勢の周辺市民に迷惑をかけていた、ということは非常によくあるので注意
⑥本来業務(公務)と明確に切り分けること
本来業務と徹底的に切り分けるため(公務外活動)、一切庁内のスペースや備品等は使用せず、全て運営メンバーの自宅や所有物を活用して実施。その際、手間となるテントやタープは使用せず、持ち運びが簡易な椅子・テーブルと調理器具のみを持ち寄る。
※行政職員が自主的にまちづくり活動する際、ついつい勤務時間内に準備をしたり、業務上の備品や会議室使ったりしがちなので注意(それをやると周りの同僚に総スカン食らいます)
⑦天岩戸作戦の実施
庁内の職員の認知度を上げ、今後の活動に繋げるために、また当日の通りすがり職員を呼び込むために、庁舎から駅・繁華街方面に抜ける主要動線上で実施する。会が始まったら自分が徹底的に広報役に回り、最前線でひたすら見知った同僚を呼び込み続ける。
※オープン空間にしたところで、割と強引に誘われないと座りづらい・混ざりづらい人は多いので、face to faceで直接声をかける(心理的きっかけづくり)がとーーーーっても大事です。
⑧楽しいイベントに魅せる
以上のような堅苦しい真面目な目的はあるものの、広報(電子掲示板、メール)の際はできる限りそれを見せない。楽しい部分を全面に押し出して、最後にちょこっと注釈としてつける程度。
※だから、事前の周知や当日通りかかった際に「何をやってるんですか?」「え?仕事なの?遊びなの?なんなの?」「そんなことやっていいの?」と何度聞かれたことか
うまくいった点
①大勢の職員に参加してもらえたこと。
50名は余裕で超える。60名以上かも。
②大勢の参加人数でも臨機応変に回せるよう、事前に準備していたこと。
椅子は運営メンバーで用意できる上限まで準備。せっかく興味ある人が寄ってきたのに、空間として居場所がなくて帰る、というのは最も避けたかったため。また、飲食は離れたスーパーで購入する分だけ事前に用意しておき、飲み物など追加購入が必要なものは適宜隣接したスーパーで追加するよう設定していたのもよかった。
③雰囲気づくり。
ランタンによる空間づくりや、缶詰やキャンプ飯によるアウトドア感はばっちりだった。BAR先輩の用意したスピーカーや音楽もばっちり。
④後輩が最後まで代表として全うできたこと。
当日まで気が張って不安でしょうがなかったと思うし、当日も余裕なくいっぱいいっぱいな様子だったけど、本当にやってもらってよかった。
⑤自分の知り合いを混ぜれたこと。
自分直下の技師若手集団が真っ先に座ってくれて、自主研修グループ活動(ミルフィーユ)やバレー練習会なんかで知ってる他の後輩たちが混ぜこぜに来てくれて、その様子を他技師や他職種の先輩方が嬉しそうに見ている。その風景がとても素敵だった。
⑥官民連携まちづくり塾の報告ができたこと。
できなかったら仕方ないと思っていた官民連携まちづくり塾の報告も、しっかりできたこと。
今後の課題
①女性の参加者が想定より少なかったこと。
全体の1,2割くらいかな。少し寄ってくれる人はいても、なかなか座ってくれたり、そのあともい続けてくれる人は少なかった。女性は単独参加は難しいからかなー。一番の課題。
②参加者に自分の知らない人がほとんどいなかったこと。
9割以上が知り合いだったかな。自分が呼んだか、自分が呼んだ人が呼んでくれた人がほとんどで、自分にとって新たな出会いがなかったのがちと残念。
③事前周知・広報の不足。
やっぱり電子掲示板だけでは見てない人が多く、「何これ?」「何のためにやってるの?」と聞かれることが多かった。
今後本気で集客するなら、エントランス等への掲示やSNSでの発信など、もっと周知に仕組みが必要(まぁ知ったところで飛び込みでくるかは別だが。。)
その他気づいたこと
①手すりのバーカウンター化
バーゴラ横の手すりは、人が多いときには臨時の立ち飲みバーカウンターとなっていた。これは予想してなかったがなかなか面白い。以前、西村浩さんが、手すりの天端を幅広に変えたら手すりがバーカウンターになったと投稿してたけど、まさに同じことが起きていた。
②市民の方々の関心
オープンな場所でやると、思った以上に通りすがりの市民の目を引いた。立ち止まってしばらく見てる人や、ずっとその話題で盛り上がってるカップルなどもいた。というか準備段階からめっちゃ見られていた。あれをイベントと捉えられず、自由使用と認識してもらったら、彼らが次に気軽に使ってくれるんだと思うけどなー
③夜間×屋外×プロジェクターの親和性
屋外でのプロジェクターを使ったプレゼンは、思った以上に目立つし画面が映えた。今後も是非やりたい。次はもうちょっと、がっつりプロジェクター使った企画をしたいなぁ。
④自分は一切飲み食いできなかったこと
座る間もなく延々と呼び込みや裏方調整に走り回ったため、気づけば一杯も飲めず、キャンプ飯も缶詰もアヒージョもチーズフォンデュも一口も食べれず。くそう。こんなはずでは。。
まとめ
以上が、今回の企画の設計書とフィードバックです。
実はこの企画、この後第二弾にも続きます(その後コロナ禍で一旦終了しちゃうのですが。。)
またいずれ、第二弾の取り組みについても、折を見て紹介する予定です。