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オーケストラの練習は楽しい!——ティンパニ奏者の視点から
オーケストラの練習に参加する楽しさとは?
オーケストラの練習には、本番では味わえない楽しさがたくさんあります。
ティンパニ奏者として練習に参加すると、演奏するだけでなく、試行錯誤を重ねる楽しみもあります。
1番後ろの位置から見えるもの
オーケストラの中で、ティンパニは一番後ろに配置されます。そのため、客席からは見えない光景が広がっています。
• 指揮者の微妙なニュアンスを察知すること
• 弦楽器の弓使いや管楽器の息遣いから、音楽の流れを感じること
• 自分の音がどのように響き、オーケストラ全体と馴染むのかを意識すること
こうした「後方からの視点」は、オーケストラ全体のバランスを考えるうえでとても勉強になります。
練習だからこそ試せること
本番では一発勝負ですが、練習ではいろいろなことを試せます。
• マレット選び
ティンパニの音色はマレットによって大きく変わります。同じフレーズでも、硬めのマレットにするか、柔らかめにするかで印象が変わります。練習では、どの音色が曲に合うかをじっくり試せます。
• ダイナミクスの探求
ティンパニは「大きな音」だけではなく、「細かい表現」も求められます。強弱の幅をどうつけるか、どのタイミングでクレッシェンドするかなど、試行錯誤できるのが練習の醍醐味です。
• 叩くタイミングの微調整
ティンパニは、指揮者の振りに対して「どの瞬間に叩くか」が非常に重要です。特にアタックの強い音の場合、ほんのわずかに前に出るか、少し遅らせるかで全体のノリが変わります。
ティンパニストの悩み「音の時差問題」
ティンパニの音は、打った瞬間ではなく「響きが広がるタイミング」が重要です。
• 会場の広さによって響き方が違う
• 指揮者の振りに対して、実際に音が聴こえるまでに若干のタイムラグがある
• ほかの奏者が自分の音をどう聴いているかを考えながら演奏する
この「音の時差」をどう克服するかも、練習で試行錯誤するポイントです。あれ、ちょっと早すぎてズレてるかも、と自分が感じるくらいが客席にはちょうどのタイミングで聞こえている、という事になる訳で、それって叩いている私からすると大変不安なわけで。でも、それはオーケストラの中に入り1番後ろから叩いてみて初めて経験できることです。
まとめ——オーケストラの練習は楽しい!
オーケストラの練習は、単なる「リハーサル」ではなく、「音楽を探求する時間」です。
• 1番後ろの位置から、オーケストラ全体の流れを学べる
• 練習だからこそ、マレット選びやダイナミクスの工夫ができる
• ティンパニならではの「音の時差問題」に取り組める
こうした試行錯誤があるからこそ、練習は楽しい!
そして、それが本番での演奏の喜びや感動につながるのです。