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モーストリークラシックを読んで②2025年1月号vol2
世界最高齢、97歳の名指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットがNHK交響楽団(N響)の3公演を指揮した際の様子が詳しく紹介されていました。この3公演では、ニールセンのクラリネット協奏曲やブラームス交響曲第4番、シューベルトの交響曲第7番「未完成」、第8番「ザ・グレート」などが演奏され、記事ではブロムシュテット氏の指揮の特徴や演奏がもたらした感動に焦点が当てられていました。
記事の中では、ブロムシュテット氏は、年齢を感じさせない見事な指揮ぶりを見せ、座りながらも的確な指示を出してオーケストラをリードしていたことや、彼の指揮は一切の無駄がなく、まさに音楽そのものが身体から流れ出るような自然さがあったと述べられています。
私は実際にC定期を聴きに行きました。「未完成」では、第1楽章の冒頭から静けさと緊張感が支配する中、ブロムシュテット氏が丁寧に音楽を紡いでいきます。第2楽章の柔らかな響きでは、N響の弦楽器セクションが一体となって繊細な音の流れを作り出し、シューベルトが表現した孤独や希望が見事に表現されていました。続く「グレート」では、壮大なスケール感とリズムの推進力が際立ちました。ブロムシュテット氏は細部にまでこだわりながらも、楽曲全体を見通した構成力でオーケストラを導いていました。特に印象的だったのは第4楽章で、終盤に向けて徐々に高まるエネルギーが会場全体を包み込み、聴衆を圧倒する瞬間がありました。
会場の雰囲気も特別なものでした。開演前から観客はブロムシュテット氏の登場に期待感を持っており、静かな熱気が漂っていました。演奏が始まると、オーケストラと指揮者が一体となり、特に「グレート」のフィナーレでは、音楽が会場全体を支配する感覚がありました。その瞬間、時間が止まったかのように感じるほど音楽に没頭していたことを思い出します。
演奏終了後、会場は嵐のような拍手と歓声に包まれました。観客が拍手を送り続け、なかなか鳴り止まないその音に、ブロムシュテット氏への尊敬と感謝が込められていることが伝わってきました。私自身、これほどまでに感動的な拍手に包まれるクラシックコンサートはなかなか経験がなく、「これが本物の音楽の力なのだ」と深く心を打たれました。
特集記事を通じて、ブロムシュテット氏の生涯にわたる音楽への献身や哲学を改めて知ることができ、私の体験がより豊かなものになりました。音楽が持つ力、そしてその力を観客と共有する素晴らしさを再認識させられる記事であり、これまでにない感動を味わえた公演の余韻を再び楽しむことができました。来年も是非来日して、N響を指揮してもらいたいと思います。絶対に聴きに行きます‼️