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ルチアがルチアとして生まれ変わる瞬間〜死の淵から自分を取り戻すまでのライフストーリー27〜

第27話 医者から告げられた「卒業」

2020年1月21日、私は医師からうつからの完全卒業を言い渡された。
2018年5月31日にこのクリニックに来てからたった1年半、7種類の薬は無くなり、その後のリバウンドもあまり起こらなかった。
その日、診察室に入ると、先生はにっこり微笑んで私に話しかけた。

「ルチア、おめでとう。もう卒業だよ。完全卒業。よく頑張ったね。また、何かあった時はいつでも来ていいんだからね。でも、そうじゃなくて遊びにきてね。」

そう、告げられた。
ちょっと呆気に取られながらも「ああ、もう私はうつではないんだ。病人ではないんだ・・・」
晴れやかな、雲間から日の光が光がさして来るような感じがした。それと同時に、何だかあっけないというか。こんなに簡単だったの?それまでの6年は何だったのだろう?と残念さも否めなかったが、それだけの時間が私には必要で、もがき続けたこの時間が私にとって多くを学ぶ時間だったのだと受けとめた。

それから先生はこうも言った。
「仕事に復帰する人もいる。薬を飲まなくなる人もいる。だけど、こんなに元気に目をキラキラ輝かせてこの部屋に入ってくる人はあなただけだよ。何があったの?あなたは私の希望だよ。」
そう、言ってくれた。
何だか誇らしかった。そんなふうに先生から見えていたんだということに驚いた。初めて先生と会った時、私は絶望のどん底から一筋の光を求めてやってきた。それがたった1年半で寛解したのだ。

翌朝、デイリーコヒーランスでゆみさん、玄さん、くみくみをはじめみなさんに報告した。今まで、折に触れてお話しさせていただいていたこともあって、みなさんとともに乗り越えられたという感謝の気持ちを伝えたかったこともあった。
それを聞いたゆみさんは泣いていた。まるで自分のことのように喜んでくれた。玄さんは穏やかに微笑んで「あなたは、コネプラを体現している。」と言ってくださった。
くみくみにはその日のうちに伝えてはいたけれど、その朝も泣いているのが見えた。
みなさんから温かいメッセージがチャットから入ってきた。
その時、強く感じた。

人は変われる。本気で変わろうとしたその瞬間から・・・

私が変われたのだから、誰だって変わることができる。全ての人にその可能性は在る。ただ、その術を知らないだけ。
それはきっと、元気になりたい。自由になりたい。などその人が願う理想の自分を、そして未来を心の底から願った時に目の前に道が現れるのだろう。
あの時の私がそうであったように・・・

うつから克服した。と言ってもまだ何も始まってはいない。これから始まる。あの時、3000年前の自分が心から願っていた心に痛みや苦しみを抱えている人に寄り添うために学ぶことが沢山ある。私が今まで沢山の人に支えられてきたように、必要としている人が必ずいる。
その第1歩として、シンポジウムでの「初めにラスールありき」に向けてコミットする1年が始まるった。


               次回へ続く

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