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書籍17.『悟りを生きる~非二元へのシンプルなガイド』スコット・キロビー(著)~思考のない気づきに戻る~
普段から同じ本を繰り返し読むことはあまりありませんが、スコット・キロビー氏の『悟りを生きる~非二元へのシンプルなガイド』は、自分の意識を本来あるべき状態に戻したいと思う度に開いてしまう、そんな書籍です。
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◆目指すところ
本書は仏教にも通じる非二元(Non-duality/ノンデュアリティ)の実践書です。
気づくという基本的な能力の「気づき」に日頃から帰ることで、気づきは常にあることを認識し、思考や感情、感覚、状態、体験などの現れはすべて気づきに訪れては去っていくものだと理解し、さらには、「あらゆる物事は独立して存在しているのではなく、それ以外のものとの関係性によってのみ現れる」という中道を直接的に経験することを意図しています。
それは言い換えると、今の体験を深く観察することで、追い求める完全性と癒しは既にここにあることを発見し、その際に自ずと現れる愛や安らぎ、慈悲、英知を体験することを目指しているのです。
ただしここで注意したいのは、愛や安らぎを体験するからと言って、今後は困難な出来事に出逢わなくなるということではありません。「相変わらず苦しみや追及、葛藤を体験するならば、他人や物事があなたとは別に存在するという思い込みがどこかに残っている(kindle版、p.181)」と見抜くことが重要なのです。
◆「大切なこと」
そのために「大切なこと」が以下の3つです。
・気づきを認識する
・現れている物事すべてを、あるがままにしておく
・現れているものは別々に存在しないことを見抜く
本書ではこれら一つひとつを丁寧に説明し、日常で行える実践方法を紹介しています。
◆感想は、気づきが一番難しい
著者は「気づきとは気づくという基本的な能力」であり「単純なものだ」と主張します。確かにそうだと納得はするですが、実際に意識的に気づこうとすると、これまた困ったことに、何が気づきなのか非常に分かりづらいのです。
理由は(気づきだけでなくあらゆる事柄に関してもそうですが)、何かを理解しようとすると決まって思考を使い、論理的に理解しようとするためでした。思考は言葉に頼っているため言葉で説明できないことは理解し難く、それ以上の領域には辿り着けないのです。
筆者は言います。「気づきを頭で理解しようとしないように」と。そうすることで初めて「思考のない気づき」を認識することができるのです。
そして、まさにこの「気づき」こそが、本当の自分だったのです。
◆最後は忘れよう
学びが多く実用性の高い書籍ですが、「はじめに」にはこうあります。
この本に書いてある言葉はどれも、読んだらすぐに忘れてしまいましょう。
なので皆さまも、本書を読まれることがありましたが、書かれている言葉はすべて、最後には忘れてしまいましょう。