韓国佛教#04. 白蓮寺でバラの舞と韓国演歌を楽しんだ日〜お寺ではしゃぐアジュンマを見て新世界を知る~
2年ほど前ですが、白蓮寺(백련사)というお寺で開催されたお祭りに行ってきました。
普段はお目に掛かれない仏教の伝統舞踊を観賞したり、韓国演歌を生で聴いたりして意外にも楽しかったので、こちらでご紹介したいと思います。
お祭りの始まり
お祭りは夕方の5時からでした。日本のお祭りでよく見られるような屋台はありませんでしたが、無料で素麺(にゅう麺)が振舞われていました。
普段はこのように静かで趣のある落ち着いたお寺ですが、この日は大きなステージが設けられ、アジョッシ(おじさん)とアジュンマ(おばさん)で溢れ返っていました。
お祭りでは、トロット(트로트)という韓国演歌の歌手の方々が登場する予定となっていたこともあり、こんなにも多くの人々が集まっていました。どう見てもファンクラブの御一行様といった雰囲気の団体までいて、不思議な空間にやって来たなと思いました。
僧侶によるバラの舞(바라춤)
お祭りではまずバラの舞(바라춤)が披露されました。
バラの舞は韓国佛教の儀式の際に踊られる舞踊のひとつで、打楽器のバラ(哱囉)を持って踊るのが特徴です。
この舞には「仏法を守護する」という意味が含まれており、儀式の道場(※1)を浄化し、神聖化させる力があるといわれています。また、陀羅尼(※2)と真言に合わせて踊るため、時間の掛かる舞踊でもあります。
(韓国民族文化大百科事典より)
※1)道場とは「仏道の修行を行う場」を意味します。この白蓮寺は韓国において最初で最大の浄土道場として知られています。
※2)陀羅尼(ダラニ)とは仏教で使われる比較的長い呪文のことで、通常は翻訳せずにサンスクリット語原文を音読して唱えます(Wikipedia)。
僧侶の方はその場でゆっくりと滑らかに回りながら、タイミングよくバラを鳴らします。楽器、真言、舞、バラ、すべてが一体化された空間です。
一見するとそこまで難しそうには見えない舞ですが、慣れていないとバラ同士がぶつかり合ったり、動きがぎこちなかったりするそうです。ここまで流れるような自然な動きを作るには、長い年月が必要とのことでした。
少しずつ薄暗くなっていく時間帯でした。それがさらにこの舞の神聖さと神秘性を際立たせます。とにかく美しい舞でした。
バラの舞は、奉元寺(봉원사)で毎年開催されている霊山斎(영산재)でも披露される舞踊です。下記のサイトでは、その霊山斎でのバラの舞を動画で見ることができるので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
トロット(트로트)
韓国では、お祭りやイベントにトロット歌手を呼ぶことがよくあります。トロットとは韓国版の演歌のことで、曲調やこぶしを聞かせた歌い方も日本の演歌と似ています。ただ、個人的に大きく異なるなと思う点は日本の演歌は悲恋の歌ばかりですが、韓国の演歌は明るくて聴いていると元気が出るような曲が多いように思います。
ご興味のある方は、ジャン・ユンジョン(장윤정)さんの 『花(꽃)』という歌を張り付けておくので、良かったら聴いてみてください。とても有名な曲です。
このジャン・ユンジョンさんですが、韓国では知らない人はいないと言っても過言ではないほど有名なトロット歌手で、今回のお祭りでもラストにSPに守られながら登場しました。
当然ながら物凄い人気です。
そして、普段からトロットには全く興味がない私も、この方の歌を聴けてとても嬉しかったです。今回登場した他の方たちは全く存じ上げなかったので(笑)
アジュンマのアイドルスター登場
しかし、この日の一番人気はジャン・ユンジョンさんではありませんでした。この方です。
じゃーん!
(画像が見えづらくてすみません。これが限界でした)
歌手兼ミュージカル俳優のこの方、アジュンマたちにとっての大スターだそうです。彼がお寺に現れた途端、お寺中のアジュンマが叫び出し、大興奮していました。
手にはペンライトとメッセージボード。スマホやタブロイドでメッセージを表示するアジュンマもいて、客席が一気に輝き始めました。そう、少女に戻ったアジュンマの瞳のように、客席も光り輝いていたのです。
一方、大声援のなか登場してきたこの歌手が誰なのか全く見当がつかない私は、すぐさまスマホで検索しました。どんな人物なのかを確認し、そして思います。
え? 今日はシン・ユのソロコンサートに来たんだっけ?
それまでも結構盛り上がっていましたが、その何倍も盛り上がっていたと思います。どこにそのエネルギーが残っていたのか聞きたい。
アジュンマパワーは無限です。
正直、シン・ユさんの歌なんて一切聞いていませんでした。私はシン・ユに熱狂するアジュンマに夢中。
ーーこれこそ、新世界。
とてもおもしろかったです。
しかも、ここはお寺です。みんなで音楽を楽しむのは分かりますですが、ここまでわーぎゃー叫ぶってなんだかシュール。韓国の仏様は意外にこういうのがお好きなのかも知れません。
ではでは😊
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