#115 失われつつある足裏の感覚
日本の生活様式は、
畳の素足からフローリングのスリッパ
に変わってから何十年も
経ってまいりました。
加えて、履く物もとても進化し、
足に優しい履き物でしたり
危険から守ってもらえる履き物が
主流になってきました。
世の中は便利になり、
得られたものはとてつもなく大きいですが、
反対に人が失われつつあるものも
あったりします。
私が考える失われつつあるもののひとつに
足裏の感覚があるのではないかと思います。
日常生活で立ったり歩いたりする時に
身体の中で唯一地面と接地しているのが、
足の裏になります。
足の裏には感覚情報を集積する
機械受容器(メカノレセプター)が
多数存在おり、
「体重が足のどこに体重が
かかっているのか」、
「重心の位置がどこにあるのか」、
「滑りやすくなっている」、
「凸凹がある」などの情報を
脳のほうへ送っています。
メカノレセプターは、
常に変化し続ける身体重心の動揺と
床面との関係に関して床反力として
求心性情報を提供していると
言われています。
バランスを崩した時には
その情報をもとに転倒をしないように
姿勢を保つ指令を
脳から身体へと送ることで
転ばずにバランスをとることが
出来ています。
加齢や何らかの病気の発症や
活動不足などによる足の裏への
感覚刺激の機会減少により
メカノレセプターの機能が
低下してしまいますと、
足の裏からの感覚入力が減少し
バランス能力の低下を
引き起こしやすくなってしまいます。
足の裏でメカノレセプターが
集中している箇所は、
親指・足の指の付け根・小指から踵に
掛けての足の外側のライン・踵周辺に
なっています。
年配の方やお子さんの中で、
・立っている時にふらふらしてしまう
・歩くと左右にふらついてしまう
・片足立ちが苦手
などの状態がある場合は
足裏の感覚センサーがうまく
働いていないことが考えられます。
メカノレセプターが鈍くなる原因で
挙げられますのは
・浮指(うきゆび)
・扁平足
・後脛骨筋機能不全
・回内足
・回外足
などになります。
上記の原因は、スリッパ生活や
足に優しい靴を履き続けていることに
よって起こってきたりします。
そこで、メカノレセプターを
活性化させていくためには
不安定な状態や感覚情報を脳に記憶させてを再教育させていくが大切になります。
感覚情報の再教育は、短時間でも
あまり強くない刺激でも効果はある
と言われています。
ですので、足裏でゴルフボール
などを転がしたり、
足つぼマットに乗ったり、
青竹踏みを行って利することも
効果的になります。
また、自宅内を素足で動くだけでも
良かったりします。
シンプルに片足立ちを行うことも
大事になってきます。
足の指を動かし、足底に関係する
筋肉を使っていくことも
メカノレセプターを活性化させるのに
重要になります。
メカノレセプターを活性化させることは、
日常生活の中で積み重ねていくことが
できます。
転倒は、老若男女にとって
大きなリスクになりますので、
足の裏の感覚を養うことで
転倒予防を行ってみましょう。