#178 肉離れについて改めて考えてみる
運動やスポーツを積極的に行っている方や
プロのアスリートの方には
比較的起こりやすいケガに
肉離れがございます。
人によっては同じ箇所を肉離れしてしまったり
肉離れをすることによって
代償動作が出てしまったり
かばう動作が身に残ってしまい
あるべき身体の使い方から
外れてしまい別の箇所を
肉離れしてしまうこともあります。
肉離れは筋損傷のひとつと言われておりまして、
私が勉強しました柔道整復学の教科書には
以下のように筋損傷の程度による分類が
なされております。
【第Ⅰ度】
顕微鏡的損傷で筋間損傷が主なもの。
筋力や可動域に障害をきたすことは少ない。
自動あるいは他動運動時に
不快感や違和感などがある。
また、遅発性筋痛の原因のひとつとして
捉えられているものもある。
MRIでは出血所見のみが認められる出血型である。
1~2週間でスポーツが可能になる。
【第Ⅱ度】
部分断裂損傷であり、一般に肉離れと呼ばれる。
即時に痛みが出現し、圧痛と腫脹、
軽度の筋力低下がみられる。
MRIでは筋腱移行部(とくに腱膜)損傷型である。
競技復帰には1~3ヶ月(平均6週)を要する。
【第Ⅲ度】
完全に断裂しているもの。陥凹があり、
強い圧痛が出現し、筋の収縮はみられない。
断裂端は縮み腫瘤を形成する。
MRIでは筋腱付着部損傷型(裂離を含む)で、
手術による修復が検討される。
肉離れは、筋肉であればどこにでも
起こる可能性がありますが、
特に下半身の筋肉に起こることが多く、
好発部位は以下の通りとなります。
・ハムストリングス(太もも裏の筋肉)
・大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)
・腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)
・内転筋(太ももの内側の筋肉)
ハムストリングスでは、
大腿二頭筋(外側)の受傷が多く、
ふくらはぎでは、腓腹筋内側頭の受傷が
多いとされております。
肉離れの簡単なチェック方法を挙げてみます。
・ハムストリングス(仰向けにて、膝を伸ばし
脚を挙げ、角度を確認)
Ⅰ度損傷:70° 以上
Ⅱ度損傷:30〜70°
Ⅲ度損傷:30° 以下
・大腿四頭筋(うつ伏せにて、膝を曲げていき、
角度を確認)
Ⅰ度損傷:90° 以上
Ⅱ度損傷:45〜90°
Ⅲ度損傷:45° 以下
・腓腹筋(一般的なアキレス腱の
ストレッチを行う)
Ⅰ度損傷:膝を伸ばして軽い痛み
Ⅱ度損傷:膝を曲げて軽い痛み
Ⅲ度損傷:膝を曲げても強い痛みがあり
爪先立ち不可
肉離れはよく再発しやすいと言われたりしますが
それには理由がございます。
肉離れで損傷した部位には
瘢痕組織(かさぶた)ができます。
瘢痕(かさぶた)は数カ月かけて
筋肉に入れ替わっていきます。
瘢痕(かさぶた)は、
本来の筋肉よりも強度や柔軟性などが
減少してしまうため、
再損傷が起こりやすいと言われております。
肉離れは柔軟性の低下、筋力に左右差がある、
疲労、間違ったフォームでの運動の繰り返しなど
が原因で起こることが多いため、
適切なアプローチが必要となってきます。
また、競技復帰に関しましても、
伸ばしても力を入れても痛くない、
筋力の左右差がないなど
最低限チェックする必要があります。
また、損傷部位に負担のかかる身体の使い方が
改善できていない場合ですと、
再発の恐れがあることは相互理解として
持っておくことが大切になります。
肉離れが起こってしまうのは、
決して筋力不足が主な原因では
ないことがありますので、
闇雲に筋トレをメインでリハビリを
行うことは私はオススメしません。
筋肉メインの考え方ではなく、
骨、骨組みを意識した身体の使い方も
頭に組み込んでいくことが
ケガとの上手な付き合い方になってくると
私は考えております。
上記の考え方に関しましては、下記の投稿も参照していただけると幸いです。