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#213 成長期に厄介な腰椎分離症

スポーツの部活動やある特定のスポーツを
やっている成長期のお子さんで
とても悩ましいケガに腰椎分離症
いうものがございます。

もしかしたら、
見ていただいておられます方々の中には
実際に腰椎分離症で悩んでおられる方も
いらっしゃるのではないかと思います。

今回は、比較的見聞きします腰椎分離症
について綴っていきたいと思います。

腰椎分離症とは、
成長期に椎間関節部の椎弓関節突起部に起こる
疲労骨折と言われておりまして、
成長期のスポーツ選手に多く見られ、
特に10~15歳の発育期に好発します。

両側に発生して過大なストレスが続きますと
分離滑り症にも移行してしまう恐れがあります。

スポーツなどによって腰を反らしたり
ひねったりする動作を繰り返すことで発生し、
成長期のスポーツ選手に多く見られます。

腰椎分離症が発生するメカニズムとしましては、
腰椎を含む脊椎は、一つ一つの椎骨が
積み木のように重なり連なっております。

椎骨どうしは、前方が椎体と椎体の間にある椎間板により、後方は椎間関節により繋がっております。

分離が発生しますのは、
腰椎後方上位椎骨の下関節突起と
下位椎骨の上関節突起の間の関節突起間部
で起こります。

この部分に腰椎の伸展、回旋が繰り返し加わることにより疲労骨折が発生する形になります。

腰椎分離はほとんどが第5腰椎(90%)に発生すると
言われております。

また、腰椎のそもそもの回旋可動域は
5度しかなかったりしますので、
腰の回旋をスポーツ動作の中で
意識的に起こってしまっておりますと
腰椎分離症になってしまう可能性が考えられます。

私は高校までサッカーをしておりましたが、
高校の同級生に腰椎分離症に
なってしまった子がいました。

オーバーハンドスポーツ、特に野球の投球動作や
器械体操の動作なども腰椎分離症になりやすく
私自身の体感ではサッカーのキック動作も
なりやすい動作かと思います。

サッカーのキック動作のバックスイングでは、
腰椎には毎回伸展・回旋ストレスが
加わりやすかったりします。

特に股関節・胸椎のタイトネスを
している場合ですと、
腰椎の代償的伸展・回旋が起こりやすいと
言われております。

蹴り足の股関節伸展可動域に制限がありますと、腰椎の伸展で後方へのスイングを代償してしまい、
腰椎後方組織への圧迫ストレスを招いてしまいます。

また、胸椎の伸展可動域の低下も、同様に腰椎の
代償的な伸展を生み出してしまいます。

胸椎の伸展・回旋には、上肢の水平外転・肩甲帯の内転可動域も大きく影響しており、
大胸筋や斜角筋、胸鎖乳突筋など頚部・前胸部の
タイトネスを有している場合ですと、
鎖骨や肩甲帯の可動域が制限され、胸椎の伸展も
不十分となりやすかったりします。

関節可動域制限とともに、
反り腰のような過度の腰椎伸展による
上半身重心の後方化も、
腰椎伸展モーメントの増大を引き起こします。

股関節や胸椎のタイトネスによる
腰椎の過度な伸展と後方重心は、
腰椎の椎間関節や、
上下の椎間関節間の椎弓組織に対し
圧迫・剪断ストレスの増大を引き起こし、
椎間関節症や腰椎分離症の
メカニカルな要因になってしまいます。

特にタイトネスが生じやすい成長期では、
定期的なメディカルチェックと
柔軟化のコンディショニングが
重要となってきます。

腰椎分離症の主な症状は腰痛で、
腰椎を後ろにそらしたときに強くなります。

加えて運動時や長時間同じ姿勢でいると
痛みが出ることもあります。

また、腰の筋肉がつっぱる感覚や、
お尻から太ももの裏側にかけて
広い範囲が痛むこともあります。

腰椎分離症の初期段階では
自覚症状がないことも多く、
症状がでる場合は腰に電気が走るような
痛みを感じるのが特徴だったりします。

発症初期では骨癒合が期待できますが、
偽関節型になると骨癒合は
難しくなってしまいます。

腰椎分離症が疑わしいときは、
腰椎を斜め後方に倒した状態のまま
腰をひねる動作をおこない、
痛みが誘発されるかどうかを確認します。

このテストをKempテストといい、
腰の伸展や回旋時の痛みが2週間以上続く場合、Kempテストが陽性の場合は
腰椎分離症の可能性が高まります。

腰椎分離症が疑わしい場合、
精査で進行の度合いを判断するためには
必要に応じてMRIやCT検査が必要になります。

症状の現れ方としましては
スポーツ活動中に突然腰に
激痛が走ることがあったり、
徐々に腰痛が現れ、運動するたびに
痛みが強くなることもあります。

腰椎分離症への対処法は、
症状の程度や時期によって異なります。

腰椎分離症の治療の基本は保存療法となります。
安静:痛みが強い時期は、運動や激しい活動を避け、安静に過ごします
装具療法:腰椎を安定させるために、コルセットなどの装具を装着することがあります
薬物療法:痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛剤などが用いられることがあります
リハビリテーション:痛みが和らいできたら、腰周りの筋肉を強化する運動やストレッチなどを行います

リハビリテーションでは、
腰部への負荷が増大した原因を評価して
改善・修正していくことが大切になります。

私見にはなりますが、
痛みが発生している場所を中心にしまして、
上下一関節や上下の部位や箇所に
何らかの問題があるために痛みが
発生してしまう場合が多かったりします。

腰椎分離症の場合、上下の部位でみますと
胸椎と股関節になります。

胸椎や股関節のタイトネスや可動域制限、筋力低下、筋力不足、筋アンバランスなどがみられますと
これらをカバーする形で腰痛に負担がかかりやすくなってしまいます。

また胸椎では肩甲帯や上肢との関係性、
股関節では膝関節や足関節との関係性も
無視することができませんので、
腰椎分離症ひとつみましても
身体全体が関わってきますので、
成長期のお子さんがなりやすい
腰椎分離症は特に注意が必要になってくるかと
考えております。

部分と全体をバランスよく俯瞰できる
視点が大切になりますので
頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。

腰の構造に関しましては、こちらの投稿も参照していただけると幸いです。