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#171 ドケルバン病って知ってますか?

日常生活を送っておりまして、ふと
「スマホをスクロールすると手首が痛い!」
「親指側の手首に痛みや痺れを感じる」
など、痛みや違和感、不快感を感じたり
することはありませんか?

その痛みや手の痺れ、ドケルバン病
言われるものかもしれません。
あまり耳慣れない言葉かと思います。

ドケルバン病とは、
簡単に表現しますと腱鞘炎の一種で、
主に手首の付け根(親指側)に痛みや腫れを引き起こす疾患となります。

腱鞘炎の一種ではありますが、
この腱鞘炎は狭窄性の腱鞘炎になります。

狭窄性腱鞘炎の場合、
摩擦が大きな原因になってきます。

この場合、腱鞘と内部の腱が擦れてしまい、腱鞘は腫れて厚く、
腱は腫れて太くなってしまい、
摩擦と共に炎症も増していってしまいます。

ドケルバン病には、
短母指伸筋腱長母指外転筋腱という
2つの筋腱が関わっています。

短母指伸筋腱は主に母指の第2関節を
伸ばす働きをする腱の1つになります。

長母指外転筋腱は主に母指を広げる働きを
する腱の1つになります。

この2つの筋腱は手の甲側にあります
伸筋支帯という靭帯性のバンドの下を
腱鞘に包まれる形で通過しております。

この伸筋支帯の下には6つの区画
(トンネルのようなもの)があり、
短母指伸筋腱と長母指外転筋腱は、
第一区画を通過しています。

ちなみに6つの区画は以下になります。
第1区画:長母指外転筋、短母指伸筋腱
第2区画:長・短橈側手根伸筋腱
第3区画:長母指伸筋腱
第4区画:指伸筋腱、示指伸筋腱
第5区画:小指伸筋腱
第6区画:尺側手根伸筋腱

ドケルバン病は、特に女性の方になりやすいと言われております。

中でも、20~30代と50~60代の方々に
多くみられます。

20~30代の方は、妊娠、出産期に
女性ホルモンのひとつであります
プロゲステロンの分泌が増えます。

プロゲステロンには、
腱鞘を収縮させる役割がある
と言われており、
このため摩擦が増えてしまい狭窄性腱鞘炎が起こりやすくなってしまいます。

50~60代の方は、閉経に伴い
女性ホルモンのひとつであります
エストロゲンの分泌が急激に
減少してしまいます。

エストロゲンには、
髪や肌の保湿機能に加えて
腱や関節を柔軟に保つ役割が
あると言われており、
このため腱鞘にストレスや負担が
かかりやすくなり、炎症が起こりやすく
なってしまいます。

ドケルバン病を引き起こしやすい方には
以下の方も考えられます。

・スマホを片手で操作する方(スマホ腱鞘炎)
・パソコンを長時間使用する方
・ゲームで親指を酷使する方
・料理人・美容師など手や手首を酷使する
職業の方
・ピアノなどの楽器演奏者
・テニスやゴルフなど手を使うスポーツを
する方

基本的にドケルバン病を
はじめとする腱鞘炎は
使いすぎ(オーバーワーク)によって
起こることが多いです。

ドケルバン病は、親指の使いすぎによって
腱鞘に炎症が起きます。

そのため、手関節や親指に
運動痛がみられます。

また、伸筋支帯の第一区画部に腫れ、痛み、熱感、硬結などを認めるものもあります。

ドケルバン病に対しては、
患部には炎症が起きていますので、
炎症症状を抑えることが第一となります。

ただ、炎症を抑えるために、
安静は大切ではありますが、
親指は、手の中で最もと言えるほど
使いますので、
完全安静は基本的には難しいかと思います。

使いながら症状を良くしていくためには、
身体の使い方や患部以外の場所を
改善していくことが
大切になってきます。

身体の使い方では、
一般的に多くの方は、五本の指を使う際
親指、人差し指、中指の側を
主に使うかと思います。

ご家族やご友人などと握手をしていただき、
握った時に上記の指達に
力が入っていましたら
普段から上記の指達を優位的に
使っている形になります。

そうしますと、自分の中では
使いすぎと思っていなくても
五本指の中では優位的に
使っていることになります。

身体を連動させてひとつとして使う場合は、
小指、薬指、中指側を使う割合を
増やすことが大事になります。

こちら側も使うことで、
手のひらが前を向きやすくなり
腕から身体の背面も連結させて使うことが
できるようになります。

これは、筋膜の繋がりによって
説明するができます。

患部以外の場所では、
主に肘関節や肩関節の動きが悪かったり、
痛みなどを伴っておりますと、
代償として庇ってしまうことで
手関節や親指を多分に使ってしまう流れが
出来てしまいます。

ですので、患部を良くすると同時に
肘関節や肩関節の状態を
良くしていくことも
肝心なところになります。

また、肘関節や肩関節の動きが
悪くなっている要因が
背骨や股関節、足関節の状態不良から
来ている可能性があるとしましたら
これらの場所もチェックしていくことが
大事になるかもしれません。

ドケルバン病で手が痛いのに、足関節?と
思われるかもしれませんが
身体は繋がっておりますので、
突き詰めていきますと
こういうことが原因ということも
あるかもしれませんので、
ご自身の身体に少しでも興味を
持っていただければ幸いです。