くるくる巡るめくるめく旅路: 『アレンジャー・ロールパズリングの旅』をプレーした話
『アレンジャー・ロールパズリングの旅』クリアしました。個人的にこの作品は、リリース前のPVを観た時からそのシンプルかつ面白そうなパズルシステムに心惹かれ、先のBitSummitでも試遊をしにいくなど大注目の作品でした。そして、めでたくリリースを迎え、プレーしましたのでその感想を記したいと思います。
作品の概要
『アレンジャー・ロールパズリングの旅』とは一体どんなゲームなのか?百聞は一見にしかずということで、まずはPVをご覧ください。
主人公ジェマを操作する見下ろし型の2Dアドベンチャーなのですが、この作品を特徴づける「ジェマが移動するとその方向の世界の床も一列丸ごと動く」というシステムの影響で、「ジェマの移動の全てがパズルになっている」というパズルアドベンチャー作品になっています。列の端に行くと反対側に抜けることができたり、ジェマの移動の影響を受けるものと受けないものがあったりして、歩くだけでも楽しい作品となっています。
クリアだけならおおよそ5時間でできたので、興味のある方はサクッとプレーしてみてはいかがでしょうか?各種プラットフォームにて現在配信中です。
ロールパズルな旅を味わってみて
さて、この不思議な移動能力を持つジェマと旅をして思ったことについて、いくつかの話題に分けて記していきたいと思います。今回、Steam版でのプレーだったので、もしかしたら他のプラットフォームでは何か違うところがあるかもしれないことにご留意ください。
◼︎ パズルの話
まず、この作品について語ることといえば、特徴的なパズルシステムについての話でしょう。ジェマの移動に合わせて世界も変化していくこのシステムは、プレーしてみるとなかなか頭をひねる面白いものでした。
・列が丸ごと移動するということ
この作品を実際に最初に触ったのはBitSummitでの試遊でそちらのレポでも書いたのですが、このアレンジャーのシステムは「見知ったものと似ているようでパズルとしては違う」もので、その違いに気がつき順応するまでは結構頭を悩まさせられました。
最序盤では、「ジェマの移動に合わせてアイテムを運ぶ」というこの作品の基礎的な感覚を身につけるためのパズルがストーリーに合わせて用意されています。このとき、「グリッドの中で移動に合わせてものを運ぶといえば倉庫番だ」という感覚から、倉庫番のような感覚でパズルを解き進めていってしまい、ロールパズルと倉庫番の解き方の違いを掴むまでなかなか苦戦しました。
解いていく中で意識した、倉庫番とは違うこのロールパズルの考え方について紹介します。
まず「(1)境界でループできる」ということ。普通の移動の時にはこの境界でワープして歩数を削減するのを楽しんでいたりしていたのですが、パズルを解くときは最序盤のうちは意外と頭から抜け落ちていたので、これはちゃんと意識するようにしました。
次に「(2)離れたものも移動する」ということ。倉庫番は「ものと隣り合って押す」というのが基本なのですが、「ジェマは列ごと動かすので隣り合っていなくても列に乗っていれば影響を受ける」という事実があるため、「必ずしも移動させたいものの隣に立つ必要はない」という考えが抜け落ちがちだったので、これも意識するようにしました。
そして「(3)ジェマの後ろも移動する」ということ。倉庫番の意識だと「ものを前に押す」ことばかり考えがちだったのですが、実際にはジェマの後ろにものを置くことで「ものを引っ張る」ということもできます。この前後まとめて丸ごと移動できるということの気づきは、考え方を倉庫番からロールパズルへ切り替える大事なポイントでした。
基本的なことではありますが、このシンプルな要素で倉庫番とは結構違うパズル体験になっているのは、なかなかにパズルの奥深さを感じさせるものでした。
・巧みなパズルの設計
アレンジャーのパズルは、その基本システムだけではなくそこに追加される各種ギミックも面白いものでした。ストーリーや場所に合わせた様々な形のギミックがバリエーション豊かに用意されており、そのどれもがちょうどよく階段を登れるような難易度バランスになっていました。それでいて、全体としてはコンパクトに収められており、飽きさせないような作りとなっているのには感心しました。難しいものはしっかりと悩みましたし、それでもしばらく色々試していたらひらめくことができるくらいの気持ちいい難易度感でした。
・世界がパズル
この作品では、ジェマの移動がパズル要素になっているため、ダンジョンだけではなく街のようなフィールドやそれらをつなぐ道もパズル要素になっています。街の中でもジェマが移動すれば、影響を受けるものは様々に動くので、気がつくと思いもよらないところにものが移動していたなんてことがあります。
個人的に、このフィールドもパズルになっているということに関して、いいなと思ったポイントがあります。それは「通行止めの置き方」です。この作品では「ある一方向から押すと道が繋がる」という明示的なショートカットのマスがあるのですが、それとは別に「道の形とものの配置が噛み合っているため今は通れず、反対側に行って配置を崩せば通れる」というタイプのショートカットも用意されています。このタイプの通行止めが置かれていることで、より世界のあらゆるところがパズルになっているという感覚が増すように感じられて、お気に入りのポイントとなっています。
◼︎ ストーリーの話
面白いパズルを堪能できるこの作品ですが、ストーリーも密度高くコンパクトにまとめられている面白いものでした。
街を出た後の旅の流れは、ただ目的地に向かって直進するわけではなく、元いたところに戻ってきたり、ジェマの行動が思いもよらない結果をもたらしてしまったりと、山あり谷ありの物語となっています。ジェマが旅の中で出会う人たちも癖のある人が多く、短いストーリーの中でもキャラクターの個性が印象的に光るようになっています。また、物語全体を通して登場する「よどみ」やその周りの話は分かりやすく教訓的で、サクッと遊べる作品ながら心に残るものもある作りとなっているのはいいポイントだなと感じさせられました。
◼︎ システムの話
この作品をプレーしていると、システム周りで色々な親切心を垣間見ることができたので、そちらも紹介したいと思います。
・キー配置の話
この作品をプレーする時に通常使うキーは、移動4方向とアクションボタン1つの5つです。キーボードの場合、アクションボタンはデフォルトでxキーとなっていて十字キーと合わせて操作するのですが、実はWASD移動も可能で、エンターキーにもアクションボタンが設定されています。そのため、右手片手プレー(十字キーとエンターキー)や左手片手プレー(WASDとxキー)をすることができます。実際、姿勢を崩しながらだらっとプレーをしていた時にこの機能をフル活用していました。
・パズルのアシストの話
パズルが特徴的なこの作品ですが、ダンジョンのパズルやボス戦など、ある程度のパズルに関しては、プレー中の設定からアシストをONにすることでスキップすることができるようになっています。このアシストをONにしてもパズルがなくなるというわけではなく、ワープポイントが設置されそれを選択することでスキップができるという方式が採用されています。そのため、アシストをONにしていてもパズルへ挑戦することは可能であり、スキップもスキップでワープが軽快なためサクサク進行でき、落とし込み方が上手いなと思わされました。この機能はクリア後に全実績を埋める時にとても活用させてもらいました。
◼︎ 気になるところ
この『アレンジャー・ロールパズリングの旅』という作品に関して気になるところもいくつかありましたのでこちらも記したいと思います。
・クリアした時のカウンターをどこかでみたい
この作品には設定で、「ゲーム内タイマー」と「歩数計」の二つのカウンターをプレー中に表示する機能があります。この二つのカウンターはゲーム中で表示はされるものの、クリアした時の記録を後から見れるところが(今のところ)ないので、これが見れたら嬉しいなぁと思っています。
特に最後のパズルの後、会話シーンがしばらく続いてからエンディングに入るまでの間もタイマーは進み続けているのですが、エンディングに入る時に画面が明転してカウンターも見えなくなっていくので、タイムについてはプレーしている時もざっくりとしか分からないのが勿体無いなぁと思っていました。
プレー中にカウンターが見れるだけでもありがたいのですが、エンディング終了時にクリア時間と歩数が表示されたり、どこかで最短クリアタイムと最小クリア歩数が見れるところがあると、こういう記録を見るのが好きなのでさらにありがたいなと思いました。
・最小歩数クリアは一体どのくらい?
先にもお話しした通り、この作品には歩数カウンターがあります。セーブごとに独立したカウンターなので、物語の始まりからクリアまで何歩かかったを見ることができます。となると気になるのは、クリアの最小歩数が一体どのくらいなのかということ。境界でループできるジェマの移動を使えば、ループできることを知っている道は歩数がかなり減るため、どのくらいまで減るんだろうということが気になります。
◼︎ プレーの記録
最後に、『アレンジャー・ロールパズリングの旅』のプレーの記録を残しておきます。
まず、初見クリアまでは、ゲーム内タイマーでおよそ5時間11分、歩数は21424歩かかり、実績の取得状況は18/36とちょうど半分でした。寄り道となる神殿は谷のみクリアしていて、ジャングルは解放条件の3つ中1つのみクリアして残り2つは分からず、森に至っては完全スルーという結果でした。
その後、実績解放のために実績名と獲得条件のヒントを見て2周目に挑み、33/36まで実績を取得してクリアとなりました。残ったのは、最初の街の2つ(花・カモ)とコンガラインでした。
そして、全ての実績の獲得方法を調べた上で、アシスト有りで全実績を獲得しながらなるべく早くクリアを狙う3周目を行い、およそ2時間24分、13143歩でのクリアとなりました。
その後は、ヘッダー画像のような並び替えを作ったりする楽しみ方もしていました。
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