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ChatGPTは擬似相関を推測できるか?

ふと疑問になったので、試してみました。

出題は下記のとおりです。

アメリカの各都市をサンプルとしたとき、教会の数と犯罪数の相関係数を算出したところ、高い正の相関の値がでました。理由について考察してください。

GPT3.5の回答

教会の数と犯罪数の間に高い正の相関が観察された場合、以下のような考察ができますが、これらは一般的な傾向であり、具体的な都市や地域によって異なる可能性があります。

1. 社会的な規範と道徳的価値観: 教会は宗教的な信仰と倫理的な価値観を促進する場所です。教会の存在が多い都市では、宗教的な教えや道徳的な価値観に基づいた行動が一般的になる可能性があります。これにより、人々がより社会的に責任を持ち、犯罪行為を減らす傾向が生まれることがあります。

2. 社会的な結びつきと支援体制: 教会はコミュニティの中心として機能し、人々を結びつける場所です。教会に参加することで、人々は社会的な結びつきを築き、支援体制を形成することができます。このような結びつきや支援は、犯罪行為を抑制する効果があるとされています。例えば、信仰共同体が犯罪に対して警戒心を持ち、犯罪予防活動や地域の安全確保に取り組むことがあります。

3. 社会的な経済的要因: 教会が多い都市は一般的に社会的な経済的要因によっても影響を受ける可能性があります。経済的に安定した地域では、教会の存在が多くなる傾向があります。経済的に安定した地域では、教育水準が高く、雇用機会があり、住環境が良いことが多いため、犯罪発生率が低くなることがあります。

以上の要因が相まって、教会の数と犯罪数の間に高い正の相関が観察される可能性があります。ただし、相関関係は因果関係を意味するものではなく、他の要因も考慮する必要があります。また、具体的な都市や地域によっては、この関係が異なる場合もあります。

GPT3.5

正の相関だと言明してプロンプトをしているにも関わらず、負の相関だと捉えて回答してしまいました。残念な結果です。

では、賢いと言われるChatGPT4ではどうでしょうか?

GPT4の回答

この質問は、アメリカの都市における教会の数と犯罪数の間に高い正の相関があるという前提に基づいています。まず、相関関係は因果関係を示さないことを理解するのが重要です。つまり、都市に教会が多いからといって犯罪が増える、またはその逆とは言えません。

考えられる理由についていくつか提案しますが、これらはあくまで推測であり、詳細な研究や分析が必要です。

1. **都市の大きさ**: 一般的に、都市が大きくなると、その地域の教会の数だけでなく、犯罪の数も増える傾向があるかもしれません。これは単純に人口が増えると、その中で起こる事象の絶対数が増えるからです。この場合、教会の数と犯罪数の間に見られる相関は、実際には両者が共に人口サイズに関連しているために生じている可能性があります。

2. **社会経済的要因**: また、教会の数が多い地域は、一部の社会経済的課題を抱えている可能性があります。例えば、教会はコミュニティの支援、特に貧困や社会的排除に苦しむ人々の支援を提供するために存在します。したがって、それらの問題が多く存在する場所には、教会も多く存在するかもしれません。さらに、これらの社会経済的課題は犯罪率とも相関している可能性があります。

3. **宗教的信念と行動**: 最後に、教会の多い地域では、住民の多くが宗教的な信念を持っている可能性があります。一部の研究では、宗教的な信念が犯罪との関連性に影響を及ぼすと提案されています。しかし、この関係性は複雑で、一概には解釈できません。

以上のような要因を考慮すると、教会の数と犯罪の数の間に高い正の相関が見られる理由がいくつか考えられます。しかし、これらの要因が実際に相関を説明しているかどうかを確認するには、より詳細なデータと専門的な分析が必要です。

GPT4

おぉ、理解してるっぽいです。そこで追加の質問。

これらの説明からすると、この相関はどういうタイプの相関と呼ばれますか?

この相関は「偽相関」または「スプリウス(spurious)相関」と呼ばれるものである可能性があります。スプリウス相関は、二つの変数間に見られる統計的な関連性が、実際には第三の変数によって説明される場合に使用される用語です。

上記の例では、都市の大きさ(人口)や社会経済的要因などがこの第三の変数となり、教会の数と犯罪の数という二つの変数間の関連性を誤って解釈してしまう可能性があると説明しました。つまり、教会の数と犯罪の数が直接的に関連しているわけではなく、他の一つまたは複数の変数が関連性を介している可能性があります。

ただし、偽相関と断定するためには、詳細な統計的分析が必要で、その結果に基づいて初めて結論を導くことができます。

GPT4


たしかに、GPT4は、3.5より賢いのでしょうね。

個人的に気に入っている、Claude2にも訊ねてみました。

はい、教会の数と犯罪数の正の相関には次のような理由が考えられます。

- 人口が多い都市ほど教会の数も多く、犯罪数も多いため正の相関が出る。人口そのものがコントロール変数となっている可能性がある。

- 教会の数が直接犯罪数を増加させているわけではない。第三の変数が両方に影響している可能性がある。例えば、貧困率の高い地域は教会の数も多く、犯罪数も多いといった関係性があるかもしれない。

- データのサンプリングや統計解析の方法に問題があった可能性がある。相関係数だけで因果関係を判断することはできない。

- 教会の数と犯罪数のデータを正確に取れていない可能性がある。例えば、小規模な教会がデータに含まれていないなどのバイアスがあるかもしれない。

- 教会の数と犯罪数の関係には複雑な社会的・文化的要因が影響している可能性が高い。単純に相関関係だけから判断することは困難である。

以上のように、必ずしも教会の数が直接犯罪数を増加させているとは限らないため、単純な相関関係から因果関係を導くことはできません。より詳細な分析が必要です。

Claude 2

やっぱりClaude 2は賢いですね。

GPT4にも訊ねた下記の質問も投げかけました。

これらの説明からすると、この相関はどういうタイプの相関と呼ばれますか?

この相関は「偽の相関(spurious correlation)」と呼ばれるタイプの相関関係だと思います。

偽の相関とは、二つの変数に実際には因果関係がないにも関わらず、統計上有意な相関が見られることを指します。

この例の場合、教会の数と犯罪数に直接的な因果関係はないものの、第三の変数(人口、貧困率など)の影響で両者の間に正の相関が生じている可能性が高いです。

したがって、この相関関係から「教会の数が増えると犯罪が増える」という因果関係を導くことは誤りであり、これは典型的な「偽の相関」の一例だと言えます。

単なる相関関係から因果関係を判断することはできません。相関が見られたからといって、必ずしも因果があるとは限りません。偽の相関に陥らないためには、第三の変数の影響やより詳細な分析が必要不可欠です。

Claude 2

しっかりした回答です。

注意点ですが、この教会の数と犯罪数の正の相関は有名な例なので、その解説を学習していて回答している可能性が高いと思われます。

その点で、本当に、疑似相関を見破るような考察ができるかは、さらに検討する必要があるでしょうね。

以前の記事でとりあげたように、推論は実はLLMsは得意でないという論文もありましたので、疑似相関を見破ることができるという結論に飛びつかないでください。


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