「心に思うままの人生を歩む」江角悠子さんが、やりたいことを見つけて、それを叶えていくためにしてきたこと
「やりたいこと、好きなことをして生きていきたい」。
誰もが一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。フリーライター歴18年という江角悠子さんは、自身のライター塾を主宰したり、45歳からヒップホップダンスを習い始めたり、いくつになっても新しいことにチャレンジし、やりたいことを実現させています。
まさに自分の好きなことをして生きているように見える江角さんに、やりたいことを実現させるために心がけていることを伺いました。
今年でフリーライターとして18年目を迎える江角さんは、雑誌やWEBで記事を執筆するかたわら、企業でライティング講座をしたり大学で非常勤講師を務めたりと、多忙な日々を送っています。
順風満帆、常に自分のやりたいことに正直に、臆することなくチャレンジして成功しているように見える江角さん。ところが、「自分の気持ちを意識できるようになったのは、ここ3〜4年です」と言います。
「子育てがうまくいかなかった時期に、自分だけではどうにも解決できないと感じて、カウンセリングに通い始めました」
そこで先生から、「あなたはどうしたいの?」「何でそう思ったの?」、いろいろなことを質問されることによって、初めて自分の気持ちと向き合うようになったそうです。
それまでは、「こうした方が相手が喜ぶだろう」「どうすれば、この場を波風立たせずに丸く収めることができるのか」と無意識にまわりに合わせることばかりを優先。自分が本当はどうしたいのか、考えることすらなかったと言います。ですが、そのことを認識してから、気持ちが少しずつ変化していったのだとか。
自分の本音に気付くようになって訪れた変化
無意識に我慢してきたことも、一度、「自分は我慢している」と気付くこと。そうすることで、「本当はやりたくないけど、あえてやる」と自分で選択することができる。
「自分が選べることを知っただけで、気持ちがずいぶん楽になりました」と江角さんは言います。
「仕事への意識もガラッと変わりました」。それまでは、仕事を依頼されるとスケジュールが立て込んでいても、希望の金額でなくてもすべて受けていたそうです。「断ったらもう二度と仕事をもらえないのではないか」という恐怖心から断ることができず(断るという選択肢もなく)、心身ともに消耗してしまうこともあったようです。
ところが、自分の気持ちに意識を向けられるようになってから、「断ることができるようになった」と。「自分で選んでいい」と思えるようになったことが、仕事への取り組み方に大きな影響を与えたようです。
本当にやりたいと思った仕事をやるようにすると、納得して仕事ができるため、時間にも心にも余裕が生まれる。結果として、「仕事の質にも、収入にも変化がでてきた」と江角さんは言います。
「瞑想」~自分と向き合う~
「どんなに忙しくても、意識的に自分と向き合う時間を作るようにしています」
10年ほど前にヨガを習い始めたことがきっかけで始めた「瞑想」。以来5〜6年続けてきて、今では、朝の欠かせないルーティンとなっているそうです。
瞑想をするときは、その日の気分に合わせて好きな香りのお香を選ぶことからスタート。あぐらをかいて床に座り、ろうそくの火を見つめながら呼吸を整え、ゆっくりと1から10まで数える。「自分の呼吸だけに意識して集中しようとするのですが、気付くとまったく別の思考が浮かんでくるのが不思議」と言います。そのうち、心が落ち着いてくるのが、なんとも気持ちいいそうです。
瞑想している中で「自分の気持ちに気付く」こともあるようです。「まだ実際起こってもいないことを勝手に想像して先取りして悩んでいる自分」に気付いたときは、とてもびっくりしたそうです。
「本当は30分くらいかけてじっくりやりたいのですが、5〜10分やるだけでも気持ちが全然違います」と江角さん。
まだ誰も起きてこない朝、自分のためだけの時間を作り、静かに自分と向き合う。自分だけの時間を作ることは、自分を大事にすることにも繋がります。
普段は忙しくて見落としてしまいがちな自分の本音を、江角さんは、朝の瞑想時間の中で聞き出しているのかもしれません。
幸せになるために、まず、すること
江角さんが主宰する「京都ライター塾」のテーマは、「書いて、しあわせになる」です。
「『書く』技術を学び、ライターとして仕事ができるようになっても、幸せでないと意味がない」と江角さんは言っています。
「『自分の幸せ』『本当になりたい自分』を知らないと、幸せになれないので、講座の中では、教材の「自己分析ノート」を活用して、自分と向き合うワークをしてもらいます」。このワークが、毎回受講生の中で大好評とのことです。
「私も以前はそうでしたが、どうなったら自分は幸せなのか、知らない人が多い気がします。世間的な幸せの形が、必ずしも自分の幸せと同じとは限りません。自分がどう在りたいのか、心の声を聞くことをまず最初にやらないと、本来目指している幸せとは違う方向に進んでしまうこともあるのではないでしょうか」と江角さん。
「自分の気持ちに蓋をして、ずっと心の声を聞くことをしてこなかった」と感じている人もいるかもしれません。
そんな方に向けて何かアドバイスをいただければと江角さんに尋ねてみたところ、返ってきた答えは意外にも、「自分の食べたいものを食べる」ということでした。
「せめてランチだけでも、家族が食べたいものでもなく、値段でもなく、今、自分が一番食べたいものを心の声のまま食べてほしいですね」と笑顔で答えてくれました。
自分だけの幸せ
江角さんの話を伺って印象的だったのは、江角さんが自分と向き合うことを意識する中で、そのたびに「気付き」がある、ということでした。
「自分の気持ちに気付くこと」は、自分のやりたいことを見つける第一歩。
当たり前と言えば当たり前のことですが、このことに肚落ちしないうちは、やりたいことも見つけられないように感じます。
(今回のインタビューを通してそんな当たり前のことに気付かせていただき目からウロコの気分です)
「そのときどきに感じる、ほんの小さな心の声に気付く」ことを丁寧に積み重ねてきた江角さんだからこそ、本当に自分のやりたいことを実現してこられたのでしょう。その姿がとても自然体で、私たちの目にはキラキラと映るのかもしれません。
「今日は何が食べたいかな?」と自分に問いかける。
そういった自分への問いを日々繰り返していくことで、本当にやりたいことが見えてくる。
「やりたいことを叶えるにはどうしたらいい?」また自分に問いかけ、知恵を働かせ、行動する。
その積み重ねによって、「自分だけの幸せ」を見つけることができるのではないでしょうか。
【プロフィール】
エッセイスト・ライター 江角 悠子(えずみ ゆうこ)
京都在住26年。ライター歴は18年。大学の非常勤講師は今年で7年目。
「京都 とっておきの雑貨屋さん」「京都 カフェ日和」等、書籍・雑誌・WEBの京都特集で記事を執筆。オザケンは永遠の王子。
15歳男児と9歳女児の母。