今、保育士を辞めないで。~あなたの資格を活かせる場面は増えていく~「児童福祉司」としての可能性
現代社会の中にはびこる子ども虐待の実態
子どもへの悲惨な虐待事件。多いのは内縁関係にある男女の間で連れ子が虐待されるケース。
よく見る例として、母親が親である前に彼に対するオンナになってしまい、彼が子どもに辛くあたることを防ぎきれないどころか、一緒になって虐待しているケースが多くみられます。
社会環境の変化や価値観の多様性、複雑性、要因は色々あるのでしょうが、子どもの虐待にいかなる理由も許されることはありません。
保育士こそ児童福祉司にむいているのではないかという発想
一方、子どもにとって最後の砦ともいわれる児童相談所にも問題があると思われます。
最近は近所からの通報によって児童相談所が介入することも増えてきたのですが、それでも悲惨な死亡事件などが後を絶たないのは、実はそこで働く「児童福祉司」が、勤続3年程度の実践経験が浅い人も少なくない点が指摘されています。
例えば虐待事件などで児童相談所の職員が家庭訪問しても子どもの異変に気付かなかったというケースが結構あります。
死亡事件になって初めて、その子の体重が普通の子どもの半分程度だったことが報道され、
「そんなに瘦せていたのなら、家庭訪問時に発見できたでしょう?」
という疑問が残るわけですが、悲しいかな現場実践の経験の浅い児童福祉司だった場合に見落とした可能性があるというわけなのです。
保育園に勤務する保育士なら皆が肌感覚で分かっている子どもの身長体重。
問題なく発育できているかどうか、毎月の健康診断ではもちろん、日々のふれあいのなかで保育士ならば虐待の兆候が体にないか気を付けて子どもたちの様子を観察しています。
この刷り込まれた毎日のトレーニングが保育士たちの方が卓越しているのではないか、保育士こそ児童福祉司になるべきではという発想が生まれてくるのもやむを得ません。
現場を肌感覚で知る保育士の経験を、国が高く評価し始めた
国会が児童福祉法等改正にむけて大きく動き出しました。
虐待対応などについての専門性を向上させるために新たな認定資格制度を創設する動きが具体的になってきたのです。
新たな認定資格のイメージは、
1日に何十という子どもの症例を見る保育士の業務を4年間真剣に取り組めば、相当の症例を頭と体に叩き込めるでしょう。
そこで培った経験は代えがたい能力として子どもや親の支援に役立つことでしょう。
似たような例として保育士資格が実務経験年数基準に入れられたものに「公認心理師」があります。
子どものいじめ問題などに端を発したスクールカウンセラーなどはこれまで臨床心理士以外は特に定まった資格がありませんでしたが、福祉心理カウンセラーとして活躍できる資格の基礎を保育士経験者も有していると認められて受験資格があるということになりました。
保育士の皆さんが持っている保育士資格は今改めて見直されようとしています。
目の前の子どもたちに向き合ってきたからこそ得られた貴重な経験をベースに、新たなやりがいを求めることもできる時代の到来です。
だから…保育士の仕事をもう辞めたいと悩んでいるあなたに、あともう少しだけ踏ん張ってみてほしいのです。
今度は自分のキャリアを高めるためという理由だっていいんです。
是非、今、目の前にいる子どもたちの課題に引き続き向き合ってみてほしいのです、一施設、最低4年間は。