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推理小説という世界が開けたあの日を振り返る

2020年に入っても私の肩書きは変わらず大学院生のままで,これまで同様研究なんかをしている.自分で言うのも何だが,冬は大学以外に外に出るモチベーションが減少し,プライベートで外出する回数が激減する.そしてたまに外に出たタイミングで,次回の外出日までの"冬眠"材料である本を買って帰るのである.本のジャンルはある程度定まっていて,推理小説ものが多い.
そういえば,初めてミステリを読み出してからもう10年くらいになる.最近読んでいるミステリは読み終わってしばらく経つと,内容が薄れてしまうが,初めて読んだミステリの内容は今も抜けないものである.今日は,そんな10年ほど前の,ミステリ好きになる要因にもなった本を紹介しようと思う.

一体何の本を最初に読んだのかと言うと,西村京太郎作,「裏切りの特急サンダーバード」である.ドラマでもお馴染みだが十津川警部シリーズの一作で,確かこの本を買う前日にこのシリーズの別作品がドラマで放映されていて,それを見たから本屋で見た時,著者名に見覚えがあったのだろう,作品名をあまり確認せずとりあえずレジへと持って行った.(確か表紙のデザインが良さげだったから手にとったような気もするが,ここはうろ覚えである)
その当時は知る由もないが,この作品はシリーズを通してもアクション的な視点が多い作品で,実はシリーズを熟知していなくても,鉄道の知識がなくても,楽しく読める本だった.もし,これ以外の作品を最初に読んでいたらここまで小説好きになれたかどうかはわからない.そのくらいこの本は良かったのだ.大まかな話を述べようと思う.もちろん内容は過剰なネタバレを避けて薄く書いていくつもりだが,読む方によっては見たくない部分もあるかもしれない.まっさらな状態でお読みになりたい方については,この先は適宜読む箇所を取捨選択していただくようお願いいたします.

当時の私は,この本に夢中になってしまって5時間ほどぶっ続けで読んだ.今となってはどこからそんな集中力が湧いてきたのか当時の私に質問したいくらいだ.現在はそんな集中力は研究時でも発揮できない.

まず,冒頭から私をのめり込ませた.推理小説なので犯人側,被害者側,警察的視点は少なからずある.当時の私は推理小説を読む経験が皆無だったこともあり,犯人側目線から話がスタートする切り口は新鮮だった.そしてシリーズの代名詞でもある鉄道が入る.その中での駆け引きもぜひ読んでもらいたい,この辺りでアクション要素?が含まれていたので,私を飽きさせなかった.

また,一般的なミステリものは,連続で事件が必然的に起こることが多々あるが,この作品は連続して起こるトリガーが他とは違った.ここの発想には当時の私も「あぁ〜,そこかぁ」と言う声が思わず出たほどだ.しかもそのことを今もなお鮮明に覚えている.

この辺りで感想は止めておくが,これを読んだことで現在の私があることは自明である.この経験から他の作品にも目を通すようになり,他の作家さんの作品にも手を伸ばすようになり,自分も少し書いてみたくもなったりした.
こんな一流な作品は無理だが,せっかく書くなら当時私が感じたようなワクワク感を,文章を通して伝えてみたいし,そこに文章を執筆する真の価値があるのではないだろうか.

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