みんな大好き!中二病の中国人名(否定形が入る名前)
日本人でも簡単につけられるカッコいい中国人名の付け方の記事である。タイトル通り否定形の入る中二病めいたカッコいい名前の実例を多数挙げる。参考にして欲しい。
無の入る名前
失敗すると僧侶っぽくなることだけ注意しよう。ちゃんとネットでもいいので、現代を生きている実在の僧侶と被らないようにしよう。
無忌
無の入る名で最もメジャーである。歴史上では戦国の信陵君魏無忌や唐の長孫無忌、創作では金庸『倚天屠龍記』の主人公張無忌など。魏無忌という名前の登場人物はいくつかの作品で被るくらい無忌という名はよく使われている。張姓さえ避ければ他はどんな姓と合わせてもいい。
無涯
これ!という創作の人物はいない(有名な作品の人物はいるけれど、私の知っている範囲外)のだけれども、たびたびよく見る名である。意味は「はてがない」「はてしない」である。仙人っぽさがある。本名じゃなさそう。
無極
創作ではゲームの『剣網3』の聶無極、小説『闘羅大陸』の趙無極など。意味は「無限」である。本名じゃなさそう。
無名
創作物でちょくちょく見る。たぶん本名じゃない。
無双
金庸の小説『神鵰剣俠』の陸無双(ツンデレ美少女)が有名過ぎて、無双という名は可愛い女の子という印象になってしまった。女性キャラに使って欲しい。
無敵
創作では『闘羅大陸』の楊無敵など。楊姓と合わさって厄介そうなおじさんという雰囲気が強く感じられる。明らかに本名じゃない。自分で無敵を名乗っている。
その他、無の入る名前
・無知 歴史上の春秋の公孫無知や秦末の魏無知が有名。ひどい名だと思うだろうが、赤子という意味だと思われる。当時は名として「嬰」が流行っていたので、少しひねった名となる。創作でも見たことがある。※嬰の字の本来の意味は「首飾り」であったので首飾りの意味で付けられた人もいたと思われる。
・無恤 歴史上の春秋の趙襄子こと趙無恤が有名。現代中国では恤の字はあまりなじみがなく、T恤(Tシャツ)などの当て字として使われている。似たような意味の名前に「無憂」がある。無憂は創作で見たことがある。
・無傷 高校の漢文で鴻門の会を習ったならば知っているだろう、曹無傷と同じなのは縁起が悪い。
・無垢 創作物で見たことはある。人名よりも剣の名として見ることが多い。
・無宇、無詭、無野、無彊、無畏など 歴史上、実際にいた人物の名である。
不の入る名前
不の入る名はただの否定でない場合も多い。ちなみに現代人でも稀にいる。
不易
名としては「不変」「永遠」という意味。創作で見たことがある。現実にもいるらしいけれども、道号とからしい。
不凡
そのままの意味である。仙侠物のモブで見かける。
他、不の入る名前
・不害
歴史上では戦国の申不害が有名。名前の意味はそのままだと思われる。
・不韋
歴史上では戦国末の呂不韋が有名。意味は諸説ある。
・不疑
歴史上、前漢時代にとても多い名前である。少なくとも4人知っている。調べたらもっといたくらい多い。創作にも登場する。
・不群、不悔、不敗
金庸は不の入る名前が好きである。不凡も金庸作品に登場している。
・不辰、不逝、不信、不佞、不識
歴史上実際にいた人物の名前である。不の入る名のバリエーションは無限である。
否定形の入る名は時代性がある
無〇や不〇、今回は記事にしなかった去〇、辟〇という名は春秋戦国~前漢ではよくある名で、基本的には〇に入る漢字を打ち消す形となって、子や一族の災難を避ける意味で盛んにつけられていた。今回紹介した「無忌」「無恤」「無畏」や紹介しなかった「去疾」「去病」「辟彊(疆)」(辟彊は開彊拓土の意味だとも言われている)などである。割合を出したわけではないのではっきりとは言えないけれども、前漢時代の史書に残っている人の50~70人に1人はこういう感じの名前がついていたと思う。
これらの名は王莽後、つまり前漢と後漢の間で激減した名でもある。三国志が好きな人なら、三国時代にはこういう名をあまり見ないので分かるだろう。(周不疑くらいしかいないんじゃないかな)
「無敵」や「不敗」などの強気な名前は歴史上探せばいるかもしれないけれども、基本的には創作物にしかないものだと思っていい。
名の選び方、創作の仕方
作品のリアリティラインによって名を選んで欲しい。現実の古代中国寄りにしたいのであれば、史実の人物に付けられている名がいいし、俺TUEEEEものであれば「無敵」「不敗」などの不遜な名や逆に「不才」や「不識」などの謙虚さが強そうに感じさせる系でもいい。
無の付く名はなかなか新しいものが出てこないのだけれども、不の付く名は無限に創作できる。そのためには、辞書を買うことを強くお勧めする。図書館で調べるのもいい。
おまけ。否定形ではないけれど同じノリの名
・敗
不敗、求敗、敗天など。ちなみに「敗天」のときの「敗」は破るの意味であることに注意。武侠物に多い。
・忘
忘生、忘情、忘憂など。忘れる、亡くすという意味で使われている。ただし、僧名や道号っぽくなる。仙侠物でよく見る。
・塵
そのまま1文字で使う事が多い。この場合の意味は俗世くらいの意味。中国のファンタジー作品などではとても多い名である。主人公+主要キャラに多い名のランキング5位以内に入っていると思う。ジャンルは問わない。女性でもたまにいる。
・帰
帰真、帰塵など。これはやや高度である。何に帰るのか、何が帰るのかなどを深く考える詩的なセンスが問われる。道号っぽくなる。また、帰姓も存在する。
・殤
この字の意味は是非辞書などで調べて欲しい。中国人曰く「小学生が考えたようなカッコいい名前」に使われていた。ちなみに歴史上の人物でこの字が使われた名の人は実際にいる。(多分諡号だけど)小学生が考えたようなカッコいい名前にしたい場合にどうぞ。
また、中国の創作では「悲」「冷」「寒」などを名に使うことがある。ちなみに、「雨」「冰(氷)」は現代人の名前としてごくごく普通に使われるので、中二ではない。
おまけのおまけ。ダサい名前の付け方。(男性のみ)
まあ、日本人が付ける中国人名はだいたいダサい(大きめの主語)のだけれども、そんな日本人でも分かりやすく、わざとらしくダサい名前を付ける方法がある。
1つ目は、生まれたときの体の特徴をそのまま名にすることだ。歴史上実在した例としては「黒臀」「黒肩」(蒙古斑やあざがあったと思われる)や「大目」「大眼」など、髪が黒いや禿げている、牛みたいな鳴き声などちょっとそれはどうかと思う名前もあったそう。
2つ目はわざわざ書く必要もないかもしれない。数字を名に付けるである。モブっぽい姓に一、二、三……と付ければいい。すぐ退場しそうなモブにちょうどいい。中国の作家もよくこの方法で名前を付けている。