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人材育成がうまくいけば・・・
高校時代の友達からLINEが来た。
仕事の成果が評価され、大きなイベントを任されることになったという。
しかし、仕事に多くの時間を割かねばならず
年末生まれたばかりの二人目の子供にも会えない日々。
上の子の幼稚園の発表会は奥さんがとった動画で見る。
「休めるときに休むのも能力じゃない?」と奥さんから心配され
謎の蕁麻疹が全身にでき始めているという。
育休の話を出したが、なんかなかったことにされたんだよね・・とも。
元々上を目指すことに長けていた友達。
ユーモアもあってストレスフリーな生活を自ら作っていく余裕のあるタイプだった。
機転が効き、応用力も判断力も旬をとらえているタイプ。まだYouTubeのない時代に、今では当たり前になっているだろうドッキリ企画のようなことを高校で実践し、毎日友達を笑わせていた。流行りとは違う一歩先に行ける人。
もちろん就職してからもその才能はどんどん発揮され、スピード出世。若くして社長や会長と会食したり海外に視察に行ったりと多くの「名誉」をもらっているようだった。
しかし、一人の人間で背負える「名誉」にも限度がある。
承認欲求を盾に優秀な人材から会社の利益・成長を削り出すような感じ。
心配でたまらない。
以前にも過労で入院したことがあるから。
大手の企業だし、これまで培ってきたキャリア・実績を考えれば、と思い伝えた。
「条件を選んで給料変わらず転職できる場所も見つけられるぐらいのキャリアがあると思う。今の会社をステップに選択肢を広げてみたら? 心身大切だよ。」
「うん、そうだな。ありがとう。」
なんとなく、自分が放ったのは、求めている言葉じゃなかったらしいのを感じる。
きっとイベント含め休みなく「責任」「迷惑」というものも背負わされているんだろう。そんな選択肢を考える余地すらないのかもしれない。
人材育成が計画的に機能していれば、一人の人への負荷がどんどん膨らむことが防げるはず。理想なのはわかっているが、友達がその渦中にいると、切実に感じる。奥さんも高校生の時の同級生というかクラスメートだったし。
「教育」のノウハウは、今後より一層、社会のトップを走る企業ほど重要になってくるのかな、と思ったりする。
実績も求められ、人材育成も求められる現場の管理職をしている彼。
優先順位から、人材育成は社員たちの「自ら学ぶ意志」に任せるしかない。それぐらい忙しい日々。
彼を人材育成のシステムを構築する、という仕事だけに専念させればきっと大きな結果を残すだろうに。もったいないな。
彼の上司が、彼に仕事をふっていくことが「人材育成」のモデルで、「ほら、実績を出せるようになっただろう」という成功例にしていて、それが慣例化して、そうならない人材は個人の責任だ、意欲が足りないからだ、となっているとしたら、、、ちょっと未来は暗い。
彼が全体を俯瞰できる地位に出世するまで踏ん張らせるための言葉か
彼の今を救うために今すぐ視野を広げるための言葉か
これから連絡がきたときに選択を迫られそうだ。
あ、でも、自分は友達という立場だから、そもそもそんな意見を求めていないのかもしれない。単純に馬鹿話ができたり、自分の方の近況を報告したり、そんなことも大切なのかもしれない。
うーん、難しい。
でも一つ明確にあるのは、
とても心配だ、ということ。