観戦記者:八木⑩ #指す将順位戦6th A級2組 そうざいさんvs面妖流さん戦観戦記
この観戦記で10報目である。とりあえず三日坊主ではないことを祝っておきたい。8月も終わる29日20時から行われた指す将順位戦の様子をお送りする。
とりあえず趣向を変えて、まずはこちらの図をご覧いただこう。
次の一手問題である。
毎度おなじみ面妖流さんは1-4となり、これもまた勝負の世界であると本人も言っていた。ただ、A3としては、下の入れ替え戦に来るととても脅威なので、なんというか、バフがかかってくるような気がするので、なんとしても避けていただきたい。そういえば、他の人が入れ替え戦に来ようとも、誰でも脅威ではあるのだけれども、ここぞの馬鹿力は強く感じているためである。
一方のそうざいさんは、指す将順位戦初参加であり、第五局まででは開幕二連敗としたものの、その後2連勝と上がり調子である。本局勝つと上のほうも見えてくるので、ワクワクである。
さて対局のほうであるけれども、今回は八木の日曜日の時間の取れなさを危惧してくださり、対局の様子を動画で撮影くださっていたナカアオさんがその様子を提供してくださったので、本観戦記の参考とさせていただいた。ついてはスペシャルサンクスとしてこの場を借りて感謝させていただく。ありがとう。こういういろいろな人に支えられて観戦記を書くということはなんという贅沢なことなんだろうね。
さて、そろそろ上手の次の一手はおわかりいただけただろうか、これ以降はネタバレになるので、まだ考えたい人はこの先は読まないほうがよろしい。
スペースを埋めるために、特に理由はないけれども、最近youtubeでルパン三世がおすすめされる話を書いておく。どうやらシーズン6を放送するらしい。それのプロモーションで、よりすぐりの回を公式がブロードキャスト(使い方あっているか知らない)しており、とても懐かしい気持ちで視聴している。ただ、仕事のおともには当然ならない。おもしろいぞ。
そろそろよいだろう。まずは最初の部分を飛ばしてこちらの図から話を始めたいと思う。テーマはなんとか時間を作って対局控室に入った八木がみたものとは!
開始約4分後であり、消費時間は先手そうざいさん2分。後手面妖流さんは1分半。
角換わりという陣形はやってみるとなかなか面白いものなのであるけれども、プロの手順や棋譜などを勉強していればいるほど定跡化されたレールは結構続いているものである。分岐が何個かあって、一手一手考えがそこまで必要な場合がなく、分岐の後はどちらかというと必然手が続いているため、するする進む。それこそ流しそうめんのようである。とはいっても、終局前に対局室に入り込めて幸運である。
もちろん、あと13手進むと最初の図に合流する。ここまでの感想としては、どちらかが倒れていてもおかしくない、という感覚である。この角打ちは同飛車ととると、この陣形で飛車を渡すわけにはいかない。ただ、先手は持ち駒がなく、この手に攻めの望みをかけている、ということになるだろう。後手はここをなんとかいなして反撃をしかけるという感じである。後手は入城を目指すため、上から入る形を考える。△4四銀として、先手は攻めが止まってしまうとまずい。まずは▲5二ととして、△3三玉を見てからB面攻撃▲7二角成である。
飛車は上に逃げても▲7三馬などがあるので、奥深く△3一飛車。ただ先手の攻めも躍動感がある。▲4五桂馬。ホットケーキは▲5三から殺到康光であるのでこういう桂馬はほっておいてはいけない。△同銀。▲同馬。
4五馬のパワーが強すぎるので、これをなんとかしたい。
△5四金。
ここで先手は一息の読みを入れて、▲4一銀。
本観戦記の伏線である。よく矢倉系の3二金に対する攻撃である。悪い手になることはあまりない。昔、渡辺先生も言ってた。後手は初志貫徹の△4五金▲同歩。
運命はかわることはないのだけれども、ここで後手の気分になって次の一手を考えてほしい。
本譜では約14秒の考慮で△5五角。これで最初の図に合流する。
控室ではこの時点の評価として後手がよさそうという雰囲気がでてきた。
しかしながら、先手はここで15分の中の約2割弱を使い、
それこそ「そうざいマジック」を放つ。
これ以上観戦記を続けるのも野暮だと思っている。ただ、指す将順位戦のなかでも一、二を争う必殺の一撃である。
せっかくであるので、追いかけておきたい。野暮であるけれども。まずは取る手から。将棋は基本的には取る手から考えたほうがいいって知り合いの有段者も言ってた。
次の継続手が気が付きにくい。王様を△2三玉とすれば、とられそうな飛車が活躍し、▲2四歩→2三歩成がある。ということは犠打が必要だし、なんなら金が欲しい、そう、あった。質ゴマとなっていてる。▲3二銀成である。
同志社大学でも、同玉でも▲2三金である。本譜は同志社大学に▲2三金を見て後手の投了となった。
投了図以下同玉とするよりないが、上述の▲2四歩→2三歩成以下飛車をとるなどして詰みである。
SOUZAIマジック恐るべしである。残っている時間がなかなかであるけれども、これこそ将棋は恐ろしい。何気ない序中盤からも隙がないか見る癖をつけていきたい。(了)
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