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1話 顔合わせ

※最初に言っておくが、筆者は自他共に認める犬派である。

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私は、家具ブランド「LOWYA」の撮影関連を担う部署に属する一社員だ。撮影のスケジュール管理やらコーディネートの企画を行う傍ら、特集ページのライティング業務やその他文章を書く業務を任されている。

そんな私に、ある日突然、本企画の担当である同僚のKから開発日記をブログで連載配信したいんだ。書いて?と雑な依頼を受けて、いつも通り、特に内容も聞かずに二つ返事でやりますよ。と私は答えた。

このあと地獄を見るとも知らないで…。

さて、こんな私が途中参戦でZOOM会議に参加したことからこのお話は始まる…。

私が参加する遥か前からこの企画は始動しており、今回の会議が第一回目の“企画開発会議”だそうだ。前以てざっくりと企画の内容は知らされており、猫にまみれたある意味キマっている資料にも一通り目を通してこの日を迎えた。

概要はこうだ。

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猫家具…猫家具か…。
私をアサインした同僚のKも生粋の犬派ということもあり、仕事上お互い絡みがあり、プライベートでも飲みに行ったりとそこそこ仲は良い。今までもその飲みの場であったり、普段話す世間話の中で犬談義に大いに花を咲かせて、お互い愛犬の写真を見せ合ったり、犬のあれこれで仲良くなったといっても過言ではない。

はずだった…。のに猫?猫なの?

Kは突然記憶を失ったんだ。そうだ。猫に頭を蹴られでもして記憶を落としたんだ。ポローンって。自転車の鍵を落とすくらいの感覚で。と自分に言い聞かせながら、任せてもらった仕事だ。頑張ろう。という気持ちと、正直なぜこの企画のライターとして私がお呼ばれしたのか分からん。という思考がハーフアンドハーフ。

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さて、どうなることやら。と思っていたのも束の間。
今回の企画の主役であるニャンフルエンサー(ちょっともうこの時点でなんか怖い)と呼ばれる猫とその飼い主さんとの顔合わせの前に、まずはスタッフ側で挨拶をしようとのことで、初のWEB会議が始まった。

参加者は記憶喪失のKと私、そして画面の向こうには20代後半くらいだろうか?どこか猫っぽい顔をしたハツラツとした女性が一人と、これまた猫っぽいシュッとした進行役の男性が一人。
ハキハキと自己紹介をしてくれて非常に感じが良い。が、なぜなのだろう。長いこと猫に触れ、猫のことばかり考えていると似てくるものなのだろうか…。どうやらこの二人が今回のイカれた企画の首謀者。ではなく、
猫の猫による猫のためのコラボレーション家具を作ろうという"素晴らしい企画"の立案者らしい。

それぞれの自己紹介もそこそこに、先ほどの猫顔の女性がタヌキのようなシルエットの何かを卓上にドンっ!と乗せてニャンニャン喋り始めた。
(ヤバい。笑いそう。)
猫と二人羽織するようにして、チェルシーという名のタヌktr…猫になりきって「このプロジェクトを何としても成功させるのニャ」と高らかに宣言。

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私はきっと何かヤバいところに迷い込んでしまったんだ…。
この狂気じみた空間に呼び出されたことに危機感を感じて今すぐにでもブラウザを閉じたかった…(笑)。

第2話に続く…。



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