5話 恐怖の猫家具開発会議 ~遊び場篇~
◼︎主な登場人物
猫女:猫に狂った企業の代表(チェルシーの翻訳者)
猫男:猫に狂った企業の社員 / 進行役
ディレクター K:LOWYAの酒好き女性Staff(犬派)
ライター J:没個性的な30手前ライター(無論犬派)
前回の食卓系家具会議から一週間ほど経ち、今回の猫家具開発会議が執り行われたわけだが、この異様な雰囲気に少しずつ慣れてきている私がいる。
(どうしてしまったんだろうか…。)
会議が始まる前にコーヒーを淹れ、鏡の前で髪を整えたらなんの気無しに猫耳を装着してPCの前に座り、コーヒーを一口すする。一つおかしな工程を挟んでいるものの、これが私のルーティンになっている。
(普通の顔してやってる自分が怖い。)
さて、今日もWEB会議に入るといつもの光景が広がっていた。
(もう慣れたもんよ。)
猫女はチェルシーとニャンニャン。ディレクター Kはお気に入りの猫耳をつけて、ルンルンした表情を浮かべている。うん。平常運転だ。猫男は…と猫男の枠に目を移すと、彼もまた猫耳をつけてご機嫌そうだが、普段の部屋と異なる背景に私は違和感を感じた。
(ん?この人カフェに居ない?)
「あれ?猫男さんどちらにいらっしゃるんですか?」と聞くと、猫男は
「あ、○スです。○スバーガー。外打ち合わせに出たまま、この会議に参加しています。」
(いやいやいやいや、ちょっと待ってw猫耳つけたまま外出るな。職質されなかった?)
「外で猫耳つけてて大丈夫ですか?」と間髪入れずに聞いたら、猫男の流石の返しだ。
「清々しい気分です。」
(なんかもう僕も清々しいです。)
ちょっと異常だけどこれが平常運転のメンバーたちとなんだかんだ楽しく話しているとニャンバサダーのみなさんがポコポコと参加してきてくれた。
ハキハキと快活な雰囲気の @nocoa2525 さん 、 ほわほわという擬音がぴったりな獣医学生の @norwegian_sasashiranoah さん、最後にデザイナー業をされているとのことでセンス良さげな @kurokina_ch さん。こちらの3名が、猫が楽しみながら、運動も兼ねて遊んでくれる遊び場猫家具のアイデアマンだ。挨拶を交わして程なくすると、いつも通り流暢な猫男の進行がサラサラっと始まった。
(ほんとこれだけ聞いていると、仕事できる普通の男性なんだよなー。)
今回の会議もアイデア出しパートが非常に充実していた印象でよく覚えている。とにかくニャンバサダーのみなさんが真剣。猫女と猫男がちょっとふざけて場を和ませようとフランクなことを言おうものなら、キリっと2人に睨みをきかせているようにも見えた。
「もっと真剣に猫の事を考えようよ!」と言わんばかりに。
さながら、猫が敵を威嚇するときのシャーーーっていうヤツ。
(彼ら3人のシャーーーが聞こえた気がした。)
ちょっとシュンとした二人をよそにアイデア出しは加速。
ベースは収納棚で皆が団結。そこにアップデートを施していく流れが出来上がり、上部や下部にキャットスリットをあしらったものはどうだ?という意見や、引き出し部分に爪研ぎを貼れるスペースを作ったらどうだ、など。。さらに@nocoa2525 さん 、@norwegian_sasashiranoah さんが口を揃えて言っていたのは、どの角度からも猫と飼い主の双方が楽しめる必要があるということ。猫は実際に遊んでくれて、飼い主はその姿を色々な角度からニンマリ見ていたいらしい。感心したのは、猫が面白がってくれる仕掛けをつけるのはもちろん。安全面を考慮して、落下を防ぐバーをつけるべきだ。といった案も考えられていたことだ。
(ディレクター K、この企画にぴったりのニャンバサダーさん達を選出したな。うん。)
さらに驚くべきは、@kurokina_ch さんの熱の入れよう。事前に資料を作成して今回の会議に参加してくれていたのだが、筆者はもはや引くを通り越して尊敬なのか屈服なのか、とりあえずすっごいこの人。となってしまった。その姿勢も去ることながら、資料の内容も素晴らしかった。参考となる商品写真や関連してバズったTwitterのつぶやき、ご自身で描いた構想図まで添付されていたのだ。
アイデアとしては狭いところに隠れるのが好きな猫の特性を活かした猫かまくら的なものや、キャットタワーを横にして、いたるところに穴が配されたトンネル。遊びながら疲れたらそのまま寝ることもできるハンモックなど多岐にわたるものだった。
(こ、この人…猫愛恐るべし…。)
皆が @kurokina_ch さんのプレゼンテーションにあっけにとられ、ほんの少し沈黙が流れたが、すぐに全員がスタンディングオベーションしてんの?くらいの拍手を彼女に浴びせた。猫女と猫男は涙を流しているんじゃないか?というほど賞賛して、ディレクター Kも「まじでか。この人…」みたいな顔。私も一緒になって拍手をしてしまっていた。
(猫を想ってここまで…素敵。)
そんな猫愛がすごいアイデアの数々に対して皆で議論を重ねた結果、遊び場系猫家具のゴールはじゃらしやら何やらを収納できるスペースを備えた、キャットウォーク付きシェルフを作ることに着地した。
お約束の“ALL FOR CATS コール”により今回の猫家具会議は終了。「お疲れ様でしたー。」とニャンバサダーのみなさんは退席していき、我々スタッフも少し雑談をしてから解散した。
前回の食卓系猫家具の開発会議と同様に、とても白熱した会議だった…。
皆の言っていることを一言も聞き逃すまい! と必死になってメモを取っていたからか、すごく集中して体力を持っていかれた感覚だったが、不思議と何かスポーツをした後のような爽快感と充実感に包まれていた。これが猫狂の人々のおかげで味わえたとは思いたくないものだ…。
第六話に続く…。
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