お勧め映画『妹の恋人』
この映画は、若き日のジョニー・デップと、
メアリー・スチュアート・マスターソンがW主演したものだ。
私はこの映画の、ラストシーンが好きだ。
紆余曲折を経て、アパートで同居を始めた、サム(ジョニー・デップ)とジューン(メアリー・スチュアート・マスターソン)。
そこに、2つの花束を抱えた、ジューンの兄・ベニーが訪れる。
1つを、自分の恋人に渡し、もう1つをジューンに…というところで、ベニーの足が止まる。
ジューンは、サムと一緒に、ホットサンドを焼いていた。
サムが編み出した、アイロンでパンを焼く方法で。
幸せそうな、そして真剣な2人の姿に、ベニーはそっと、花束を玄関に置いて、去る。
映画のラストに、主役の2人は、後ろ姿しか見せない。
それでも、今2人が幸せなのだと、伝わってくる。
ベニーとジューンは、幼い頃、両親を交通事故で亡くし、以来、2人で暮らしてきた。
ジューンは、統合失調症で、度々、警察のご厄介になることがあり、
また、主治医からは、施設に入所させることを勧められていた。
ベニーは、ジューンに掛かり切りで、せっかく女性からディナーに誘われても、断るしかない。
そんなある日、ベニーとジューンは、サムと出会う。
ジューンが、ベニーの友人とやったポーカーで、負けたのをいいことに、その友人は、最近、自分の所に転がり込んできた、いとこのサムを押し付けようとしたのだ。
押し問答の末、ベニー達の家に、住むことになった、サム。
彼は、文字が上手く書けない。
バスター・キートンに憧れて、大道芸が得意。
ある日、サムが、大音量でロックを聞きながら、部屋の掃除をしていると、
大きな音が苦手なジューンに、怒られてしまう。
出て行ったサムがいた場所は、家の目の前のポスト。
その上に、ぽつんと座って、ジューンが許してくれるのを、待っていた。
そこから、2人は惹かれ合っていく。
それまで、何人もの家政婦を追い出してきたジューンが、
サムならいい、と言い出した。
そして、サムは、家政婦(?)として、ジューン達の家で暮らし始める。
ジューンは、ガーデニングをしたり、油絵を描いたり、落ち着いて生活出来ることもある。
また、聡明でもある。
サムが、母親へ手紙を書くのに、四苦八苦しているのを見て、代筆したジューンの手紙の内容は、完璧。
最も、世間の常識には疎く、宛名も書かないまま、封筒に入れて、ポストに出してしまうけれど。
惹かれ合う2人は、やがて結ばれる。
それをベニーに報告した途端、サムは激怒したベニーに追い出されてしまう。
反発するジューン。
しかし、ベニーの気持ちも分かる。
自分は、ジューンのために、なかなか恋愛も出来ず、やっと出来た恋人とも、ジューンが原因で上手くいかない。
それなのに。
そう思っても、無理はない。
追い出されたサムは、木に登ってやり過ごし、
夜中にジューンを迎えに来る。
逃げ出す2人。
しかし、慣れないバスの中で、ジューンの発作が出てしまう。
警察が出動し、ジューンとサムを乗せた救急車を、たまたま見かけたベニー。
後を追い、サムに詰め寄るベニー。
サムは言う。
あんたは、他の人とは違うと思っていた。
でも、結局、同じだ。
悩むベニー。
そしてベニーは、働き始めた、サムの元を訪れる。
2人が向かったのは、ジューンが入院した病院。
しかし、ジューンが、会いたくないと言う。
そこで、サムが得意の大道芸を使って、隙を作り、ベニーは何とか、ジューンと面会する。
ジューンは「兄さんは、私を病人扱いしかしない」と、冷めた目でベニーを見る。
そこへ、主治医が現れ、決死の潜入も失敗に終わる。
主治医、ベニー、ジューンで話し合っている時。
ジューンは、窓の外を見て、声を上げそうになる。
サムが、清掃用のブランコに乗って、手を振っていたからだ。
サムはそこから落ち、足を骨折してしまう。
退院手続きを済ませたベニーとジューン。
外に出ると、車椅子に乗った、サムがいた。
静かに抱き合う、サムとジューン。
ベニーも、心は決まった。
そして、サムとジューンの同居生活が始まる。
とても純粋なラブストーリーに、精神障害というテーマを絡めながらも、重たくはない。
ジューンの衣装も、素敵だ。
そして、オープニングとエンディングに流れる、プロクレイマーズの曲が、映画を引き立てる。
ジョニー・デップ、メアリー・スチュアート・マスターソンのファンの方には、是非観て頂きたい一作だ。
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