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愚直に詩を書き写す

 毎朝早く起きて朝食前に、詩を書き写している。詩を味わうための方法の一つとしてやろうと決めた。ただ読むだけでなく、手を動かして書いていくことで、言葉と言葉の連なりが時間差で入ってくる。私は割と上滑りな活字の追い方をしてしまうので、この方法でじっくりと読むことができるようになった。まあ、時間がかかるというデメリットもあるけれど、一つの詩に向き合う時間は充分取りたいと思っている。もちろん、全ての詩をそうやって読む訳ではない。対象は、私がこれまで食わず嫌いだった詩で、時間をかけて読み込みたいと思うものだ。
 私が考えもしない比喩や形容、言い回し、初めての単語、はっとする構成、そういうものに出会ったときのワクワクが止まらなくて、三日坊主で終わらずにいる。このままいくと詩集を一冊丸々書き写してしまいそうだ。
 それに、書き写すことで、私の手はいつのまにか言葉の海を泳ぎ出す。自作の詩のモチーフがノートの余白にこぼれ出していく。こう書くと、写している詩に強く影響を受けて真似の域を脱せなくなるのではないかと思われる方もいるだろう。結論から言えば、私にはそんな力量はないので、書き写している詩に似せることは到底できない。絵画で言えば、油絵を鉛筆で模写してるようなものだから。ただ、ああ、美しいなと思った文字の流れを感じて、そのたゆたいに身をゆだねて詩世界を遊覧していく、そんな感じだ。それが詩に結実するかどうかは、また別の話。
 

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