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スターバックス〜ハッピー・ママ

私の週末の楽しみは、朝のスターバックスで一人、ゆっくり過ごすことでした。
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私がスターバックスへ出かけるとき、ママはいつも「私にも買ってきて」と言った。

ある朝、いつものようにコーヒー買って帰ってくると、
「それ310円もしたのね。いつも買ってきてもらっていたけど、今度、お金を払うわ。」と言った。どうして値段を知ったのだろう。

りえ
「ママ、まさか一人でスターバックスへ行ったの?」
ママ
「そう。昨日行ってきた。」
りえ
「わー、すごい!」
ママ
「あのメモを見せて、これ、くださいって言ったの。」

そういえば、しばらく前にママにメモを書いてあげたのを思い出す。毎日、日中は一人で過ごしているママに、たまには気分転換にスターバックスでお茶でもしてみたら?と勧めた。ママは注文の仕方がわからないと言うので、メモを書いてあげたのだった。

ママ
「『こちらでお飲みになりますか』って聞かれたから、『いいえ、持ち帰ります。ここの雰囲気は落ち着かないから、家に持って帰って、ゆっくり飲みます』って言ったの。」

りえ
「お店の人にここは落ち着かないなんて、普通は言えないわよ。」
ママ
「あ、そうか」
りえ
「それにしても一人でよく行ったね。やったね!」と拍手をすると、ママも自分で自分に拍手をする。
「そうよ、ママも1つずつ開拓してるんだから。」と、人生はまだまだこれからと言う顔をした。

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喫茶店やレストランに一人で入ったことのない母が、八十代にして初めて、メモを握りしめて一人でカフェに入ったに姿が目に浮かぶようでした。

ハッピー・ママのハッピー娘

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