読書メモ:絶対役立つ社会心理学
基本情報
『絶対役立つ社会心理学 日常の中の「あるある」と「なるほど」を探す』
藤田哲也 監修
村井潤一郎 編著
2018年10月30日
大学時代に「投票行動」の講義を取っており、合理的に考えると「人が投票に行くことを説明できない」ということ(投票することで合理的に得られるメリットがないため)を習っており、その解として社会心理学的アプローチで研究がされているというところまで講義で聞いており、続きが気になり手に取った一冊。
内容的には、社会心理学に触れたことがある人に向けになっており、初学者向けには書かれていない。
また、目的であった投票行動に関しても記載はされていなかった。
構成
第1章 自己・態度ー自分自身や物事を理解する心
第2章 認知・感情ー社会でつながる心の仕組み
第3章 対人行動ー勘定的になるとき、感情的になるとき
第4章 対人関係ー他者との絆は諸刃の剣
第5章 対人コミュニケーションー伝えること・伝わることの再考
第6章 マス・コミュニケーションーメディアと社会現象を追う
第7章 文化ー文化で成り立つ健康な心
第8章 環境ー環境を知って環境を使う
感想
「絶対役立つ」というタイトルに編著の村井さんがモヤモヤしたものがあったことが冒頭に書かれているが、監修の藤田さんと議論して納得して(社会心理学を勉強したことがある人向けにする)書かれたということだけあり、復習や振り返りにはとっても読み応えがあった。
後半に進むにつれ、心理学から社会心理学になっていき、非常にイメージしやすかったのは、「第6章のマス・コミュニケーションーメディアと社会現象を追う」の章である。
この中で、スキャンダルの心理学が解説されており、芸能人のスキャンダルを取り上げている。
一番炎上するのは、イメージのよかった人が不倫等のスキャンダルを起こすパターンであり、それはファン心理として「イメージ」を支持・重視されているため一番ダメージが大きい。
仕事(俳優であれば演技、歌手であれば歌)を評価しているような場合、ファンが離れていく理由は減るが、イメージ先行の場合は、そのイメージが壊れるため、ファンも離れやすいということである。
話は少し逸れるが、オリンピックの終わりがけにフワちゃんの暴言→オールナイトニッポン0降板・芸能活動休止、ランジャタイ伊藤の未成年との不適切な関係(年齢までして偽造されていたらどうしようもないとは思うが)等、相変わらずスキャンダルは続いている。
フワちゃんに関しては、好感度抜群のやす子に対してかばいようのない暴言を吐いており、ここぞとばかりに叩かれている。
社会心理学っぽい分析をすると、今までフワちゃんに対して勝手にイメージ先行で本当はあまり好きではなかったけど、一般的なイメージがよいから支持していた人が離れていき(離れるのは個人の自由だから問題ない)、その際にここぞとばかりに叩いているような印象である。
世間的なお盆という休みの時期とも重なり、時間もあることも一因ではないだろうか。
Xのポストを見ていると、フワちゃんのラジオを聞いていたフワギャルの人達は擁護することなく、しっかり反省してまたラジオをやって欲しいというものが多かったように思う。
一番最初は、ワタナベの芸人だったが、世に出たのはYouTuberとしてだと考えるとしっかりと反省して、もう一度YouTuberとして一からやり直せばよいのではないかと思う。
本書の話から逸れてしまったが、「文化」の話もとても参考になっており、欧米と日本の文化的背景を考えると、完全な心理実験はできないというのも非常に勉強になった。
(どうしても文化的な違いを実験上、排除することができないため)
一度勉強していたことでも、当然忘れてしまうのでこうやって振り返り・復習することもおもしろいと思った一冊であった。