主人公の条件②~日本のゾンビの正体~
半妖半人は弱者である
前回、日本のゾンビものは半妖半人になった女性を守るのが主人公の条件であり、半妖半人とは子供、女性、老人、神様と交信できる人だとお話ししました。
これに加えて、半妖半人は弱者でもあります。
神様と交信できる存在が本当に弱者なのか。神様と交信できるなら、呪術や霊力で民を支配できそうですもんね。
歴史の扱い
日本の歴史上、こういった霊能力者は畏(おそ)れられると同時に、「賤民(せんみん)」として差別されてきました。
女性は月経やお産の際には隔離されていたというのはよく知られています。貧しい家では子供は間引きの対象になるし、売られることもありました。老人も例外ではなかったでしょう。
また、霊能力者は体に欠損があったり、障害があったりする者が選ばれることも多くありました。他とは違うということで選ばれたのでしょう。
日本だからこそ生まれた半ゾンビ
弱者を見捨てないのは、あらゆる物語における主人公の条件ですよね。ゾンビものでもそれは変わらず、主人公は弱者を表する半妖半人を守ることになります。
私はゾンビものを多くみてきたわけではありませんが、これまでみた海外のもので半分人間、半分ゾンビのキャラクターを見たことはありません。
半妖半人は、日本だからこそ生まれたキャラクターだと思います。
これからの日本のゾンビ
1つおもしろいのは、海外のゾンビものに老人は出てきますが、超高齢化社会の日本のものにはほとんど出てきません。老人はみな等しく逃げ遅れて感染したという設定になっているのでしょうか。
もちろん、ここには作り手側の事情が大きく関わっていると思いますが、老人の仮の姿でもある半妖半人を出すことで、なんとかそこら辺の溝を埋めているのかなあとも思います。
しかし、半妖半人だけをいつまでも使い続けるわけにはいきません。
日本は島国でどこからでも海へ出られること、川が多いこと、災害が多いことなどを考えれば、アメリカの後追いではない新しいゾンビものが作れるかもしれませんね。
ありがとうございました。
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