「仮面」ライダー 藤岡弘、さんと聞いて、みなさんはどんな印象を持たれるでしょうか。 おそらく多くの人が『仮面ライダー』を思い浮かべたと思います。 劇中で藤岡さん演じる主人公は、悪の結社にバッタの能力を持つ改造人間にされてしまいました。そのため戦闘時には仮面ライダーに変身して、その能力を発揮します。 この「変身スーツ」で顔から体まで隠すことで強大な能力を使用できるという設定は、現在ではヒーローものの定番となっています。 また、『ウルトラマン』は宇宙人であるウル
しまったと思った時には、男はごくんと口の中のものを飲みこんでいた。 忙しい仕事の短い昼休み。混み合った定食屋で、やっと順番が回ってきた時には、昼休みの終わりまで三十分もなかった。 男は腹が減っていたこともあって、かきこむように箸を進め、最後の一口を運んだ瞬間、米粒の上に小さな虫のような黒い影が見えた。 だが、機械のごとく反復運動を続けていた腕と喉は止まらず、男は虫を飲みこんでしまった。 男はしばらく固まっていたが、すぐにグラスに入った水をあおった。気休めにでもなにか
はじめに 先日、偽の議員バッジを付けた男が中央官庁に侵入して逮捕されていたという事件が報道されました。 幸い侵入されただけのようだったのと、国葬もあったため、メディアはこの事件をあっさりとした報道しただけで済ませてしまった。 いや、済ませなきゃならなかったのか……。と疑いたくなるほど、あっさりでした。 「身分制」が支配する日本 けれど、「これヤバくない?」と思った人は多かったと思います。 国民にはマイナンバーカードを作れ作れと言っておきながら、国の中枢が全
男がコンビニで立ち読みしていると、隣に客が立った。本棚の横にあるコピー機に用があるらしい。 男は隣の客をちらりと見た。 上着のフードを目深に被っているが、肩幅の大きさから同性だとわかる。背もあまり変わらないくらいだ。 客は財布から1枚のカードを取り出し、印刷台に置くと印刷ボタンを押した。 紙が出てくるのと同時に着信音が鳴った。 客は上着からスマホを取って電話に出ると、印刷した紙を持ってそのまま店を出ていく。 男はすぐに客が忘れ物をしていることに気づいた。が、相手
すべては視聴率から 海外と比べてもカット数が多い日本のテレビドラマ。なぜこんなにカット数が増えてしまったのでしょう。 1977年頃からテレビ業界に視聴率が導入され、以後、視聴率争いが過熱していきます。 しかし、90年頃から段々と視聴率は下がっていきました。 業界はどうにか視聴者の気を引こうといろいろと工夫を凝らし、今ではおなじみのワイプやテロップ、CMまたぎの引き延ばしもだいたいこの頃から始まりました。 そして、起きてしまったのが「ポケモンショック」
カットと長回し 前回、日本のテレビドラマは海外に比べて、カット数が多いと説明しました。 カット数が多いと画面に疾走感を出すことができます。緊迫した雰囲気でパッ、パッ、パッと画面が切り替わると、息つく暇もないって感じが出ますよね。 また、短い時間で画面が切り替わるので、視聴者を飽きさせない演出もできます。 一方、カットの少ない長回しは1台のカメラで長い時間撮っていく方法です。ニュースの中継や映画『カメラを止めるな』などがその例です。 こちらはカメラが1台なのでどうし
はじめに 最近「テレビドラマがつまらなくなった」という声はよく聞きますが、その原因を演技力、経済面、ストーリーの他に論じているものをあまり見かけないので、それ以外の要因を自分なりに調べてみました。 始めは90年代、2000年始め頃の作品と比べて、直近のドラマはセリフ量が多いのではないかと思いました。しかし、簡単に調べてみたところ、たいしてセリフ量は変わらなかった。じゃあ、何が変わったのか。 ずばり、カメラと役者が動かなくなった‼ 金田一少年の例
半妖半人は弱者である 前回、日本のゾンビものは半妖半人になった女性を守るのが主人公の条件であり、半妖半人とは子供、女性、老人、神様と交信できる人だとお話ししました。 これに加えて、半妖半人は弱者でもあります。 神様と交信できる存在が本当に弱者なのか。神様と交信できるなら、呪術や霊力で民を支配できそうですもんね。 歴史の扱い 日本の歴史上、こういった霊能力者は畏(おそ)れられると同時に、「賤民(せんみん)」として差別されてきました。 女性は月経やお産の際には隔離
日本におけるゾンビ映画 最近、2016年に公開した韓国映画『新感染 ファイナルエクスプレス』をみました。韓国らしさが存分に出ていておもしろかったです。韓国版のゾンビ映画として、とてもよくできていたと思います。 そこで、日本のゾンビものはどうだろうと、2019年公開の『アイアムアヒーロー』をみてみました。以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。 日本のゾンビものの共通点 『アイアムアヒーロー』は同名漫画を原作とした映画で、中年男が突然ゾンビ(作中ではズキュンと呼ば