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きっかけは一本の電話

我が家に警察が来た。
ものすごくおもしろい出来事があったのだ。

いや当時はなんもおもしろくない、今だから笑えるけど。

きっかけは午後にかかってきた電話。
私は五人家族でおじいちゃんとおばあちゃん、お母さん、お父さんと一緒に住んでいる。

その電話がきたときはおじいちゃんとおばあちゃんの三人でいた。もう結末からお話ししちゃうとその電話は詐欺電話だった。

おばあちゃんずいぶん長電話しているなあ、
と思っていたら何言ってるかわからないから代わりにに出てくれと困り顔で言われた。

市役所から還付金のお知らせらしかった。
銀行から通達がきたらお知らせしたいから
すぐにつながる連絡先を教えてほしいという。

おばあちゃんはその時点で
めちゃくちゃ詐欺を疑っていた
(すごくいつも疑り深いの。
私もそこは似てるかも)けど、
断り方がわからなかったみたい。

連絡なら同じ番号でよかろう、と思うし
話してみたら相手の言っていることは筋が通ってなかった。

なんか変だなーと思ったし、
実際そういってみたら
相手の怒りポイントに
ふれたらしくすごく怒っていた。

でもこのとき怒られたのが、
とんちんかんな私は
おばあちゃんがずーっと話しているのに
連絡先を教えてくれないからなんだな、
と長い時間かけてることで
いら立ってると思ってしまった。

それはたしかなんだけどでも
よくよく考えれば、
たとえ長時間電話したとして
私たちは怒られる立場ではない。
なんせ市民ですからね。

なんで怒られてるんだ?
あんたがたの仕事なのにそれをぶつけてくんな
と思うと同時に
めちゃ長い時間かけてしまって
申し訳ないなという気持ちがあった。

相手の理不尽さはよくわかるのに、
それを指摘するための強い言葉を言いたくはなかったし、怒られて気付かぬうちに焦り自分がわるいのだ、という気持ちにもなった。

市役所の人だ、
だから良識のある人と思い込んでいたから強い言葉をぶつけられなかったというのもある。

けど市役所の人というような立場や肩書のある人、公務員だから正しい、
偉いというものではないし、
その肩書をもっているから多少のことが許される、従わされるべきだというのは違うのだ。

そう知っているのに実際に目の前にするとなんにも心の余裕がなくなる。
私は立場とか肩書にほんと弱い。
年齢とか名称で色めがねするのなくせって思ってはいるんだけどなあ。

その後お父さんたちが電話のことを知ると
家の周りに電話をかけてきた人たちがいて
様子みてるかもしれないからと
警察に話を聞きに来てもらった。
おばあちゃんとお父さんがお話をしてた。

おばあちゃんが高齢だから
というのもあるんだろうけど
警察の方は詐欺に遭わないための対策を
何回も丁寧に説明してくれた。
うちの地域にはこういう被害に遭ってる家が何件かあるらしかった。
そう知った今だから
お父さんの判断すごいと言えるけど
そのときはそこまでしなくてもいいのにと
思ってた。
なにかあったら遅いから
ちょっとした違和感で連絡してほしいし
危ないと思ったら警察を呼ぶと言ってほしいとのこと。念のためが大事なんだね。
今までこんな身近に警察と関わることが少なくて気付かなかったけど
私たち市民の安全のために働いていて、
いざというとき頼れる。
公務員ってかっこいい。

またこれは土曜日のことで、
それまで知らなかったんだけど
土日は市役所って空いてないんだって。
初めからおかしいことに気付くべきだった。
知らないってこわいな~。

それから正直不動産というドラマについて。
たまたまちょっと見て
詳しい内容を全然知らないけど、
そこで出てきたディーン・フジオカ(たぶんやり手の役)が家を売るために使う手口として心理学を使っていた。

たとえば
なにかをもらったら返さねば
という心理を利用する返報性の原理、
何度も見たり聞いたりすることで好意をもつ単純接触効果、
選択肢が三つあると真ん中のものを選びやすいゴルディロックス効果、
人は周りと同じことをやりたがる、ハーディング効果など。

営業の人はツールとして知っているだろうし、消費者の私たちだって買わせようとしている、やらせようとしているとわかるのにそれでもだまされてしまうことはある。今回のは権威効果、確証バイアス、ハーディング効果、焦って冷静に判断できなくなった。詐欺だって気付いてからあーってなる。

だから心理学を学んでいる人はこわい。宗教の人、なぜあんなに好かれるのか、カルトの洗脳についても人間性・人柄だって少なからず影響しているかもしれない、けど心理学を使って人の心につけ込むのが上手だからだ。

心理原理の名称は本当にどうだっていいけど
このときこういう心理が働くというしくみは知っておいて損はないはず。
知らずに何もできないよりも、知っていて対策を立てられる、準備ができるというのでは全然違う。私ももっともっと勉強していく。疑うこと、そのために冷静に判断できる状態をもっておきたい。一旦待つ、ストップをかけること。

めちゃめちゃついでのはなし、
そのかかってきた電話は市役所の人ではなく
おばあちゃんのメモによれば
厚生労働省と名乗ったらしい。
もっとマシな嘘をついてくれ。
さすがに笑う、おもしろい人。





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