【#43 : 素の自分であるということ】

素の自分でいるって、まるで風のように自由な感覚かもしれません。ありのままの自分をそのまま受け入れるというのは、簡単なようでいて、とても繊細で難しいこと。日常の中で、私たちは知らず知らずのうちに色々な仮面をかぶっているものです。周りに合わせたり、誰かの期待に応えようとしたり。それは、社会の中で生きるために必要なことかもしれません。でも、ふと立ち止まって、自分自身と向き合うとき、「これが本当の私なの？」と問いかけたくなる瞬間が訪れます。

素の自分。それは、特別な何かを目指すことでも、完璧であろうとすることでもありません。むしろ、何も飾らず、何も足さず、ただそこに在る自分を感じること。私たちが誰かと向き合うとき、いつも完璧でなければならないという思いがどこかに潜んでいる。でも、その思いを少しだけ手放してみると、自然と心が軽くなるんです。風が吹き抜けるように、肩の力がふっと抜ける瞬間。そこに、素の自分が静かに息づいているのです。

素の自分でいることを恐れる気持ちも理解できます。それは、誰かに受け入れられなかったり、理解されなかったりする不安があるから。でも、実はその不安こそが、私たちを縛っている鎖のようなもの。素の自分でいることで、周りとのつながりが自然体になり、本当の心の交流が生まれるのかもしれません。自分を無理に作り上げるのではなく、少しずつ解きほぐしていくことで、本当に大切な何かが見えてくることがあります。

素の自分でいるということは、他者に対してだけではなく、自分自身に対しても優しくなることです。誰かの期待に応えるための自分を捨てて、自分自身の声に耳を傾ける。時には弱さを認め、時には迷うことも、間違うことも許してあげること。それが、素の自分であるということではないでしょうか。

心の中にある小さな声、それに耳を澄ませる瞬間はとても大切です。その声は、時にとても静かで、見過ごしてしまいがちなもの。でも、その声に気づいてあげることが、自分らしさを取り戻す第一歩なんです。素の自分でいること、それは何かを演じる必要もなく、ただありのままの姿でいること。まるで花が自然に咲くように、自分自身がそこにあるだけで十分なんです。

私たちは、日々の中で多くの選択を迫られ、その都度自分の姿を変えることもあるでしょう。でも、どこかで素の自分を忘れてしまわないようにしたいものです。外の世界がどんなに変わろうとも、自分の内側にある静かな空間だけは守り続けて。素の自分でいられる瞬間、それはとても静かで、だけど豊かで満たされた時間です。

だから、たまにはその仮面をそっと外して、素の自分を感じてみることが大切です。無理に何かを作り上げるのではなく、ただ「私」であること。その感覚に包まれるとき、私たちはきっと、もっと軽やかに、もっと自由に生きられるのかもしれません。素の自分でいること、それは何か特別な力を発揮することではなく、ただそのままでいる美しさを受け入れることなのです。