「忘れられなかった人と塗り替えられた想い」

忘れられない人がいた。

彼に出会ったのは、まだ私が若かった頃。運命のような恋だった。
それなのに、あの時の私は環境や状況に流され、自分の気持ちに蓋をして、別の人を選んだ。好きでもない人と付き合い、そして結婚をした。
“これが正しい選択なんだ”と自分に言い聞かせる日々。けれど、心の奥底ではずっと彼を思い続けていた。


記憶を上書きする恋

時が流れ、何十年という歳月が過ぎても、彼の存在は私の中に消えることはなかった。忘れようとしたこともある。でも無理だった。むしろ、忘れたくなかった。
彼の笑顔、仕草、声――すべてが私の心に深く刻み込まれていた。

一生、私はこの気持ちを抱えたまま、現実と自分に嘘をついて生きていくのだろう。そう思っていた。
けれど――。

ある日、全てが覆された。

運命のような出会いだった。最初はただの偶然だと思っていた。でも、その一瞬が私の心に稲妻のような衝撃を走らせた。
彼以上に好きになれる人などいないと信じて疑わなかった私の気持ちが、一瞬で書き換えられたのだ。

その人は、私がこれまで出会った誰よりも特別だった。
彼との時間がただ過ぎていくたび、忘れられなかったあの人の記憶が、静かに霞んでいくのを感じた。
驚きと戸惑いの中で、私ははっきりと気付いた。
この人こそが、私にとって“運命”なのだと。

けれど、世間はそう簡単には許してくれないだろう。
人の目は冷たく、私たちの関係を否定する声も聞こえてくる。
「そんな感情を抱くなんて許されない」「家庭を壊すようなことをするなんて最低だ」
そんな声に耳を塞ぎたくなる。

でも、私は信じたい。
人の心に“許されない恋”なんてないのだと。
人を好きになる気持ちは誰にも縛られないはずだと。

誰かにどう思われようと、この恋だけは大切にしたい。
それがどれほど難しくても、この気持ちは私にとって生きる意味そのものだから。

彼に出会えたこと、彼を愛せたこと――それだけで、私は人生をやり直す勇気を持てる。
だから私は、自分の心に嘘をつかない。
彼への想いを、これからも胸に抱き続ける。

この恋は、たとえ誰に否定されても、私にとって“本当の自由”だから。