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小説『本好きの下剋上』の魅力を語り尽くす!

こんにちは!
ワタシの大好きな作品、「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~」について、今までもたくさんの記事を書いてきました。今更ではありますが、作品の魅力についてを語りたいと思います。

本作品は香月美夜先生によるライトノベルで、全33巻にわたる、壮大な異世界ファンタジーです。この作品、シリアス展開の中にもププッと笑えるコミカルさが絶妙な塩梅なんです!何度も10回以上読み返していますが、毎回新しい発見がありつつ、笑って泣ける!読後の高揚感はたまりません。心が動かされることは読書の醍醐味ですから、そんな作品に出会えたことを感謝しています。

イラストは、椎名唯先生。本当に美麗な絵を描かれる先生で、表紙も挿絵も本当に素晴らしいです。

あらすじ

最初に、ワタシなりのあらすじを紹介します。

図書館司書の就職が決まっていた本好き大学生の本須麗乃もとすうらの不慮の事故で地震で本棚の下敷き異世界の主人公マインに転生した所からお話は始まります。マインは5歳の貧民兵士の娘で、彼女の周りには本はもとより、紙も文字も存在しません。おまけに虚弱体質で。そんな絶望の中「本がなければ作ればいい」と奮起。まずは紙作り、本作り。そして、"司書"になるためには手段を選んでいられません!新たな人生を目標に向かって奔走する物語です。

見た目は子供頭脳は大人なマインの行く手には、様々なとんでもない出来事が次々と起こります。この世界で大切なもの(人)が増えていく中、他人を巻き込んだり、誰もが思いもよらない手段で問題を解決したりするうちに、「兵士の娘」→「神殿の巫女見習い」→「領主の養女」→「貴族院の自称図書委員」→「女神の化身」と取り巻く環境も立場も下剋上していき、影響を及ぼす範囲も物語のスケールもどんどん大きくなっていきます。彼女は大切なものを守り切れるのか?辿り着く先にはどんな未来が待っているのかーーー。

といった感じです。どうでしょうか?話の大枠は伝わったでしょうか?
そして、ここからは、本作品の魅力について語っていきます。

緻密で奥深い設定

衣食住はもちろん、文化、政治、歴史、魔術、神様の存在など、香月先生が創るユルゲンシュミットという世界は、緻密に、奥深く設計されています。ふぁんぶっくのQ&Aでは、本編では語られない設定まで触れられており、その熟考された世界観に脱帽しますよ。

魅力的なキャラクターと書き分け

語るまでもありません。個性的で魅力的なキャラクターは名作の条件ですから!強いていえばその数の多さ。香月先生は各キャラクターの持つバックボーンやものの考え方、性格などに基づいて文章を書き分ける天才だと思っています。

段階を踏んで世界が膨らんでいく

物語が進む中で自然な流れでもって、順を追って設定を膨らませていきます。様々な情報が小出しに織り交ぜられていき、章が進むごとに、魔法があり神様がいる世界観がどんどん表現されていくのです。段階を経ているので、この複雑な設定の物語でも、読者を置き去りにせず、ちゃんと物語に没入させてくれます。

見事な伏線回収に脱帽

お話の中にたくさんの伏線が散りばめられ、読み進めるほどに、大きく、小さく伏線回収されていきます。その度に驚かされ、何度も心を奪われました。作中に忍ばされた伏線が10巻先で鮮やかに回収される。なんてこともザラですから、本当に油断なりません。それが痛快で面白いんです。

ワタシがこの作品中で、最も衝撃的な伏線回収に完全にノックアウトされたというお話はコチラの記事に書きました。


主人公視点で進む物語

本編は常に一人称視点で描かれています。主人公のマイン(後のローゼマイン)の視点ですね。マインは、目標に向かって突き進む女の子で、人たらしで、大切なものを守るためには手段を選ばない、とってもパワフルな性格。それでいて体力がなくて虚弱でもあります。よく周りから「考えなし」と怒られていますね(笑)そんな彼女から見える世界が描かれているので、彼女のいない場面や、理解できないことは、語られません。そうすることで、彼女を取り巻く環境が変化する毎に、世界の見え方や、物事への理解度がガラリと変わったりするのも面白いです。

他者視点で奥行きが倍増!

各巻のプロローグ、エピローグ、短編は、他者視点(主人公以外)のお話になっています。本編では知らされなかった事実が判明したり、主人公がいない場面、主人公が勘違いしている内容が訂正されたりと、物語に奥行きが増量し、各キャラクターへの理解度も深まります。

繰り返される言葉やシチュエーション

キャラ付けのための口癖というのはもちろんあります。例えば、マインの「ノー!」とか「しょんぼりへにょん」とか。フェルディナンド様の「さもありなん」とか「まったく、君は」とか。そのキャラクターを魅力的にする言葉ですね。

それとは別に同じ台詞やシチュエーションが繰り返し使われることで、読者に言葉や情景をすり込んでいき、大切な場面で大きな意味となっていく。この仕掛けは長編ならではの醍醐味かもしれません。

例えば、ベンノさんの「お金は取れる時に、取れるところから取れるだけ、取っておくものだ」とか、フェルディナンドの「私は勝てない勝負はしない主義だ」とか。ニマニマしますよね。そして婚約の魔石に刻まれた言葉は、まさに繰り返し繰り返し、この作品の大切な場面で語られる言葉であって、ずっどーんっと大きく心を揺さぶられ、号泣しました。

最後に 

ここまで、『本好きの下剋上』の魅力を語ってきました。
香月先生の紡ぐ、作品の世界設定の緻密さとか、たくさんの魅力的なキャラクターとか、伏線が張り巡らされたストーリー展開の面白さとか、段階を経て世界観を膨らませてくれることで、この複雑な物語についていけるやり方とか、同じ言葉を繰り返すことでその言葉の含ませた思いを読者に感じさせて、心を動かす手腕とか。本編をマイン(ローゼマイン)の一人称視点で綴ることで、敢えて明かされないことがあって、たまに他者視点が挟まることで物語が多面的になりさらに深まるのこととか。
この物語の面白さ、香月先生の凄腕ぶりを少しでも、伝えることにつながっているといいなーと思います。

最後の最後に。

ワタシの書いた「本好きの下剋上」に関する記事はここにまとめています。ご興味あれば、是非!!


最後までお読みくださり、ありがとう存じます。

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