ヘソ天きーちゃん
ちゅぽちゅぽ音を立てて私を呼んでいたころのきーちゃんは、午後になると決まってお腹を上にして浮いていた。音を出すには水面でぱくぱくしなくちゃいけないから、それでお腹に空気が入り過ぎていて浮いていたんだ、と私は考えている。
転覆金魚のふーちゃん🌈を長く面倒見ていたので、沈む系の転覆病は見慣れていた。でも、きーちゃんは浮く系だったから、だいぶ心配した。
一時期、転覆病に効果のあるというクロレラをごはんにあげていたことがある。
確かに、きーちゃんのお腹の調子は良くなったし、みどり色の良きうんぴをしていた。でもクロレラには問題があって、一錠が大きいから砕く必要があったし、それを水槽に入れると、ぜんぶ粉になってしまった。最終的にはうんぴも粉になってしまうから始末が悪くて、やめた。
その後、きーちゃんが学習し、ちゅぽちゅぽをやめたら浮かなくなった。
でも、最近、きーちゃんはお腹を上にして寝ていることがある。
初めて見たときは、きーちゃん◯んじゃった!と、心臓が止まりそうになった。
何回か見ているうちに、こりゃ転覆じゃないかも、と私は思うようになった。犬とか猫が飼い主を信用して仰向けで寝てしまう、いわゆる「ヘソ天」なのではないかと。
きーちゃんは、ふつうのときはお腹を上にして過ごすことはない。ひっくり返るのは、体の力が抜け切って寝ているときだけ。
もしこれが転覆病でなくて、「ヘソ天」だとしたら、私は嬉しい。きーちゃんに信用してもらってる、ってことだから。飼い主だから、そう思いたいだけなのかもしれないけど。
ねー、きーちゃん、そうだよね?
そう聞いてみた。
きーちゃんは、うぜー、って顔して寝た。