【Netflix】観客への感情のリンク-映画「パワー・オブ・ザ・ドッグ」感想
どうもそこそこ映画好きな限界大学生TJです
今回はNetflixオリジナル映画で2022年アカデミー賞では最多ノミネート記録したパワー・オブ・ザ・ドッグ(2021)を今更ながら見たので途中ネタバレありでぶっちゃけレビューしていきます
前回のレビューはこちらから
あらすじ・キャスト
監督は「ピアノ・レッスン」で女性初のパルムドールを受賞したジェーン・カンピオン
主演はマーベルの「ドクター・ストレンジ」などで活躍中で自分も好きな俳優の1人でもあるベネディクト・カンバーバッチ
その他出演にキルステン・ダンスト、ジェシー・プレモンス、コディ・スミット=マクフィーなど
所感(ネタバレなし)
観る前は、近年ありがちな女性(社会的弱者)のリベンジムービー的なストーリーかと思ったが、実際はかなり内面的で文学的
分かりやすいアクションシーンなどは無くエンタメ性はほぼ置き去りであえて映画玄人や審査員に思いっきりターゲットを絞ってきたなーという印象を受けた
これがNetflixが配信される、裏を返せばNetflixでしか配信できない(大衆向けでないため)というのは時代の流れを感じさせる
※ここからはネタバレを含んでいく
これから見られる方はご注意ください
正直な感想
ここからは恐れず、正直な感想に入っていく
映画ファンからの評価は比較的高い今作だが、個人的にはぶっちゃけ微妙
つまらないとまでは言わないがTJ的採点をさせていただくなら☆2.5/5 とさせて頂く(☆4~が傑作)
良かった点
主演ベネディクト・カンバーバッチの圧倒的存在感はやはり必見
「クーリエ:最高機密の運び屋」(2020)などでも演技力の高さはひしひしと感じさせれてはいたが今作でも素晴らしい
細い体から繰り出される威圧的で圧倒的な存在感が劇中の不穏な音楽と相まって作品に張り詰めた緊張感を与えてくれる
またラストの少し余白を残した終わらせ方も個人的にgood
TJ的な持論ではあるが、映画のラストは説明し過ぎず、少し余白を残すべきである
そうすることで観客の中に余韻を与える隙間を作ることができる
根拠は「ショーシャンクの空に」、「インセプション」、「君の名は」など
微妙だった点
登場人物と観客の感情のリンクがあまりにも欠如しているのではないかと感じた点はマイナス
壮大な自然とは裏腹に今作ではおそらく意図的に登場人物の感情を観客に説明していない
登場人物間でも本来の人物像を偽ってふるまっているため劇中で登場人物たちが本心では何を考えているのかが読み取りずらく感情移入がしずらい
ストーリーも全編通してローテンポで、終始弱火でコトコト煮込んでいる感じ
ラストは主人公フィルが牧場にやって来ていた弟の妻ローズの息子ピーターに殺される、実は支配していたようで気がついたら支配されていたという中々衝撃的なラストを迎えるが、観客(私)と登場人物たちと感情のリンクが途切れているためそこに対してのカタルシスが十分に感じられず、盛り上がりに対していまいち乗り切れなかった
フィルの死をそこまで悲劇的には描いていないことからもそもそも監督自身はこの映画を単なる復讐劇としては消化したくなかったのかも知れないが、それにしてもストーリーラインがかなり不鮮明
この映画の核となる従来の男性らしさに対するアンチテーゼや欲望の解放という部分は新鮮さもあって悪くないだけに、結局監督の伝えたいメッセージ性がぼやけてしまっているように感じてしまう
※そもそもこのメッセージ自体の読み取りを間違えていたら申し訳ないが…
総評
作品というのは観客と登場人物たちの感情がリンクしている時に初めて感動やら恐怖やら興奮やらの心の揺さぶり(感情の起伏)を受けるのだと思うが、今作はそのリンクが薄かったのではないだろうか
今作を一言で表すならある意味では純文学的
好き嫌いはハッキリするタイプの作品で、自分の口には合わなかった
こんな感じで今回はなんて事ない大学生がパワー・オブ・ドッグをレビューさせて頂いた
今後もちょこちょこと映画のレビュー、紹介もしていくので是非スキ、フォローの方をお願いしたい
では!